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第114回:電子ペーパー とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


電子ペーパーとは

電子ペーパーを搭載したICカードなども
 電子ペーパーは、紙のような扱いやすさを兼ね備えた新しいディスプレイデバイスの総称です。今後数年~10年以内に、いくつかの企業や研究機関が製品の出荷や普及をめざして、研究・開発を進めており、今後の発展が期待されています。複数の企業がそれぞれ違う方式での研究開発をすすめているため、特徴やメリットもそれぞれ違うのですが、一般的には

  • 紙のように薄く、軽い
  • 曲げる、丸めることもできるシート状
  • 電気的に書き換えができる
  • コントラストが高く見やすい
  • 安い
  • 低消費電力


    というデバイスをめざして開発されているようです。なお、電力は書き換え時のみ必要で、表示を維持すること自体には電力が必要ないものが多いようです。

     物によって、簡単に書き換えができるもの、専用の機械を使って書き換えをするものなど、様々な形式になっていますが、将来的な応用としては、書き換えが楽なタイプではマイクロコンピュータとの組み合わせなどで、そうでないものは書き換え用の機械との組み合わせで、安価な電子ブックやニュースビューワーとしての利用が期待されています。


    期待されるE Ink方式の電子ペーパー

     電子ペーパーの中でも、一番よく知られていて、普及の期待が高いのが米イー・インクが開発している「E Ink方式」の電子ペーパーでしょう。米イー・インクはルーセント・テクノロジーズや凸版印刷の出資しているベンチャー企業です。

     「E Ink方式」の電子ペーパーは、紙のように薄いディスプレイで、書き換えも簡単に行なえます。電源をオフにしても表示内容が保持されるため、省電力という面で従来のディスプレイに比べて、大きなアドバンテージがあります。

     「E Ink方式」によるディスプレイは、2枚のプラスチックフイルムの間に、文字などが表示される表側に透明電極が配され、背面側に電極とTFT(薄膜トランジスタ)によるスイッチが用意されています。それらの間にプラスに帯電した白い酸化チタン粒子と、マイナスに帯電した黒いカーボンブラック粒子が入ったマイクロカプセルが敷き詰められています。そして電気泳動によって、マイクロカプセルを操作して、画素の白黒を表現させるのです。

     帯電したマイクロカプセルは、電極に電圧をかけるとプラス側に黒い粒子が、マイナス側には白い粒子が引き寄せられます。「E Ink方式」の電子ペーパーには、液晶ディスプレイなどと同様、TFTを使った電極スイッチが敷き詰められており、表示したい場所の電圧をコントロールしてやれば、電子ペーパー上に画像を表示できる仕組みです。ただし、その物性上、書き換えに要する時間は150ミリ秒と、液晶よりも1桁長く時間がかかるという弱点もあります。

     なお、「E Ink方式」は、そのままでは白黒の描画しかできませんが、カラーフィルタと組み合わせることでカラー表示も可能になります。米イー・インクの2番目の大株主である凸版印刷は、液晶ディスプレイなどでも使われるカラーフィルタメーカーとしても有名な企業ですから、この辺も期待してもいいかもしれません。

     なお、10月30日~11月1日の3日間、パシフィコ横浜において開催されたディスプレイや液晶パネルの展示会「LCD/PDP International 2002」では、背面板をガラスではなく、薄い金属板が用いることで「財布やポケットにいれても、充分な柔軟性によって、ある程度の負荷まで耐えることができる」ActiveFlex技術で製造されたディスプレイを搭載したICカードなどの展示もされていたようです。


    【LCD/PDP International 2002】 の凸版ブースで展示されていた電子インクの構造や特長を説明したパネル 電子書籍タイプや手帳に装着して利用するタイプの電子ペーパー

    その他の技術

     E Ink以外のものでもさまざまな方式が研究開発されており、展示会などでコンセプトや試作品が展示されているものもあります。その基礎となる技術も様々な原理が利用されているようです。

     たとえば、キヤノンの「ペーパーライク・ディスプレイ」は厚さ数ミクロンのプラスチックでできた電子ペーパーですが、プラスチックフイルムの間にコピー機などで使われる「トナー」を封じ込めておき、E Inkと同様に電気泳動を利用して、トナーを吸着・離着させることで、文字や画像の表示を行ないます。

     またアメリカのベンチャー企業では、ジリコンメディアの「gyricon」という電子ペーパー技術も有力視されているもののひとつです。元々「gyricon」は、米Xeroxのパロアルト研究所(PARC)で研究されてきたもので、フィルムの間に“ジリコンビーズ”と呼ばれる小さなビーズが入っています。このビーズは白ともう一色が半分ずつ塗装されており、電荷によってビーズを回転させることで、視認させたい部分のビーズは色が塗られた部分を、それ以外の部分は白を見せることで画像を表示させているのです。


    凸版と米イー・インク、柔軟性を活かした「ActiveFlex」技術
    凸版印刷と米イー・インク、電子ペーパーを来年から商用化


    (大和 哲)
    2002/11/05 15:16

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