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第110回:Palm OS とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


PDA向けに提供されるOS

PEG-NX70V
 Palm OSはアメリカのPalm Source社より提供されている、主にPDA向けに使われているOSです。Palm Computingから発売されているPalmシリーズのほか、ソニーのCLIEシリーズ、ハンドスプリング社のVisor、日本IBM社によるWorkPadシリーズなどのPDAで採用されています。世界のPDA市場で約70%のシェアを占めるメジャーなOSです。

 当然、このPalm OSを搭載したPDAにはそれぞれ互換性があり、Palm OS用に作られたソフトなら、上に挙げたどのハードウェアでも、原則的に同じように使うことができます。このOSの最新版は「Palm OS 5」と呼ばれるバージョンで、このOSを搭載したソニーの新型CLIE「PEG-NX70V」が10月19日に発売される、と発表されたことがニュースになっています。


シンプル、軽快、そしてGraffiti

 Palm OSで利用されているGraffitiの「A」「B」「C」の入力例。Palmでは「Graffiti」と呼ばれるアルファベットによく似た一筆書き入力パターンを利用して、スタイラスを画面上で動かすことで文字を入力する。1日もあれば簡単に入力方法を習得することができるだろう。
 Palm OSの特徴は非常にシンプルで、軽いこと。そしてパソコンとの連携も容易なこと、「Graffiti」と呼ばれる独特の文字入力方式を持っていること、などが挙げられます。

 オリジナルのPalm OSが生まれたのは1996年5月。US Robotics社のPalm Computing部門によって登場した「Palm Pilot 1000/5000」用としてでした。その名の通り「Palm Pilot」は手のひらサイズのPDAで、160x160ピクセル白黒液晶画面を搭載し、住所録やメモ、スケジュール管理などのソフトも標準で用意されていました。

 「HotSync」と呼ばれるパソコンとPDAを接続して、簡単に互いのデータをアップデートする仕組みも備えられています。この「Palm Pilot」は画面は多少粗いのですが、その少ない画素数のためか、動作も非常に軽快でアメリカを中心に大ヒットしました。

 Palm OSを搭載したPDAのCPUにはモトローラ社のDragonBallシリーズが採用されています。DragonBallシリーズは、かつてワークステーションやMacintoshなどで利用されていた「68000」シリーズのアーキテクチャを改良し、赤外線通信などのインタフェースI/Oも内蔵したマイクロコンピュータで、オリジナルのPalm OSも68000アーキテクチャを利用したPDA向けソフトウエアとなっています。

 ちなみに、Palm OSの開発元であるUS Robotics社のPalm Computing部門は、Palm以前に発売されていたAppleの「Newton Message Pad」などのPDA向けに開発されていた手書き認識ソフト「Graffity」を開発していたPalm Computing社が、US Robotics社に買収されてできた部門です。Palm OSに搭載されている手書き文字認識ソフト「Graffiti」は「Graffity」が改良されたものです。なお、US Robotics社は後に3Com社に買収されたました。Palm部門は分社化されてPalm Computing社となり、さらに名称を変更してPalm社になっています。

 「Graffiti」はPalmの大きな特徴となる機能で、一筆書きを利用したペンでの文字入力を行なう仕組みです。アルファベットによく似た一筆書きのパターンを利用して文字を入力します。手書き認識というと、普通は文字をそのまま入力してコンピューターにそれを認識させるという方法が取られることが多いのですが、逆にコンピューターにとって分かりやすいパターンを用意し、コンピューターと人間の両方に認識しやすい方法を使うことで、動作も軽く、誤認識の少ない文字入力を実現させたというのが、「Graffiti」のエポックメイキングな点だと言ってもいいでしょう。

 なお、このPalm OS自体は、現在では、Palm社の子会社であるPalm Source社から各社に提供されています。よってPalm社のPalmシリーズだけでなく、他社のPalm互換PDAにも搭載されているのは先に述べたとおりです。


新たなアーキテクチャに基づいたPalm OS 5

 Palm OS 5はPalm OSの最新のバージョンです。アーキテクチャが変更されて、それまでの68000アーキテクチャを採用したCPUではなく、組み込み機器などでよく利用されるRISC CPU、ARM 4Tアーキテクチャプロセッサで動作する32bit OSとなりました。

 ちなみに、今回発表されたPalm OS 5を搭載する新型CLIEのCPUもこれまでのDragonBallから、Intel XScaleプロセッサ「PXA250」に変更されています。XScaleはARM v5アーキテクチャと互換のあるマイクロプロセッサシリーズです。(なお、モトローラのDragonBallシリーズマイクロコンピュータにも68000アーキテクチャではなくARMアーキテクチャを採用した新しいシリーズもあります)。

 このPalm OS 5では、320×320ピクセルのカラー表示をサポートし、128bit RC4による暗号化機能、SSL 3.0などのセキュリティ機能、WAV形式のサウンド再生、IEEE 802.11bなども新たにサポートされました。これまでのPalmは軽快さを重視していたためか、このような動作が重くなりがちな機能はサポートされていませんでしたが、CPUパワーが大きくなったためか、ついにこれらの機能もサポートされるようになりました。

 またこのPalm OS 5は、内部に「PACE(Palm Application Compatibility Environment)」と呼ばれるエミュレーション環境を備えており、これまで提供されてきたPalm OS向けソフトウェアの多くを、Palm OS 5上で動作させることができます。この「PACE」はかなり高速で、ARMシリーズのCPUパワーもあって、従来の68000アーキテクチャに則ったPalm OSで動作させるよりも、同じアプリケーションを高速に実行させることができる場合もままあるそうです。


パーム矢内氏「Palm OS 5はネイティブでなくとも速い」
Palm OS 5を搭載した新型CLIE「PEG-NX70V」


(大和 哲)
2002/10/08 12:34

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