当然、このPalm OSを搭載したPDAにはそれぞれ互換性があり、Palm OS用に作られたソフトなら、上に挙げたどのハードウェアでも、原則的に同じように使うことができます。このOSの最新版は「Palm OS 5」と呼ばれるバージョンで、このOSを搭載したソニーの新型CLIE「PEG-NX70V」が10月19日に発売される、と発表されたことがニュースになっています。
Palm OS 5はPalm OSの最新のバージョンです。アーキテクチャが変更されて、それまでの68000アーキテクチャを採用したCPUではなく、組み込み機器などでよく利用されるRISC CPU、ARM 4Tアーキテクチャプロセッサで動作する32bit OSとなりました。
ちなみに、今回発表されたPalm OS 5を搭載する新型CLIEのCPUもこれまでのDragonBallから、Intel XScaleプロセッサ「PXA250」に変更されています。XScaleはARM v5アーキテクチャと互換のあるマイクロプロセッサシリーズです。(なお、モトローラのDragonBallシリーズマイクロコンピュータにも68000アーキテクチャではなくARMアーキテクチャを採用した新しいシリーズもあります)。
このPalm OS 5では、320×320ピクセルのカラー表示をサポートし、128bit RC4による暗号化機能、SSL 3.0などのセキュリティ機能、WAV形式のサウンド再生、IEEE 802.11bなども新たにサポートされました。これまでのPalmは軽快さを重視していたためか、このような動作が重くなりがちな機能はサポートされていませんでしたが、CPUパワーが大きくなったためか、ついにこれらの機能もサポートされるようになりました。
またこのPalm OS 5は、内部に「PACE(Palm Application Compatibility Environment)」と呼ばれるエミュレーション環境を備えており、これまで提供されてきたPalm OS向けソフトウェアの多くを、Palm OS 5上で動作させることができます。この「PACE」はかなり高速で、ARMシリーズのCPUパワーもあって、従来の68000アーキテクチャに則ったPalm OSで動作させるよりも、同じアプリケーションを高速に実行させることができる場合もままあるそうです。
・ パーム矢内氏「Palm OS 5はネイティブでなくとも速い」
・ Palm OS 5を搭載した新型CLIE「PEG-NX70V」