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第107回:QRコード とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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ケータイで利用されはじめたQRコード
QRコードは「2次元コード」のひとつで、新しい世代のバーコードです。2次元コードにもいくつかの方式があるのですが、このQRコードは、1994年にデンソーが開発し、日本の工業の標準規格であるJIS規格(JIS X 0510)、国際的な標準であるISO規格(ISO/IEC18004)としても採用されている規格です。このQRコードは、携帯電話でも様々に活用されはじめています。
たとえば、先日発売されたJ-フォンの「J-SH09」には、内蔵のカメラでこのQRコードとJANコードを読み取る機能があります。
この機能を使うとJ-SH09で、印刷されたりブラウン管に表示されているバーコードを読み取って、データを電話帳に入力したり、URL情報を入手してWebにアクセスする、などということもできるようになっています。
また、このQRコードは自分でデータを作ることも可能です。たとえば、「QRコードde遊ぼっ!」というWebサイトでは、好きな文章を入力すると、その文章を埋め込んだQRコードを作ることができるようになっています。この機能を使って、たとえばJ-SH09で読み取ると自分の名前などをアドレス帳に入力してもらえるように名刺用のQRコードなどというものも作ることが可能になっています。
また、携帯電話でのQRコードの利用ということでは、NTTドコモの「コンビエン」やコカコーラとドコモが行なっている「Cmode(シーモ)」などもあります。こちらは逆に、画面上へQRコードを表示させて他の機械で読み取らせることでチケットなどの代わりに使う、というタイプのサービスです。
コンビエンはコンビニエンスストアの店頭で携帯電話料金を支払える、というサービスなのですが、支払いの際にiモード端末の画面上へQRコードを表示させます。このQRコードを店頭にある読み取り機で読ませることで、コンビニ側はいくら料金を請求すればいいかが分かるわけです。
また、Cmodeも同じく携帯電話の画面にQRコードを表示させます。このコードを自販機に読み取らせることで、自販機からジュースやチケットなどを買うことができるようになっています。
マトリクス2次元バーコードのひとつ、QRコード
バーコードにはいくつかの方式がありますが、このQRコードはマトリックス式の2次元コードの一種です。より多くの情報を、より小さく、より速く読み取りできることが特徴です。
バーコードというものは、簡単にいうと「0」「1」で構成されるデジタルデータを紙に印刷したものです。これを光学的に読み取って、コンピューターや携帯電話の内部で相当するデータに変換しており、たとえば携帯電話の「電話帳データ」であれば、読み取ったデータを文字コードに変換し、それを画面に表示して、ユーザーに「電話帳へこのデータを登録するかどうか」を尋ねる、という仕組みになっています。
これまでよく使われているバーコードとして、商品の箱などに、縦に棒(バー)が何列も、ある規則に基づいたパターンで描かれているものを思い浮かべるかと思います。これは「1次元コード」と呼ばれるタイプのバーコードです。一般に日本で使われているのはJAN(Japanese Article Number/日本の商品番号のこと)コードというタイプのものですが、これでは、線がある部分がデジタルデータの「1」、線のない部分がデジタルデータの「0」を意味しています。
これに対し、マトリックス式の2次元コードでは、「セル」と呼ばれるマス目の色で情報を表します。そのため同じ面積を使うコードでも1次元バーコードに比べて、非常に多くの情報を入れることができます。商品の箱に印刷されているJANコードでは13ケタ分の数字のデータしか入っていませんが、QRコードでは数字だけでなく英字漢字なども含めて1800文字(数字だけにするなら約7000桁)と、非常に多くのデータを記録できます。
これだけ多くのデータが読めるようになると、いろいろな応用に使うことができます。これまでのバーコードでは、単純に商品の商品番号だけをバーコードには記録しておいて、もし読みとった商品の名称などを知りたい場合には、読み取ったバーコードリーダーが接続されている別のコンピュータなどのデータを調べてこなければなりませんでした。このため応用例というと、読み取ったコードを戦闘力に見立てたゲーム程度しかありませんでした。
しかしQRコードでは、商品コードだけでなく、商品の名前や特徴など、より多くの情報をコード内に入れることが可能なため、コンサートのチケット代わりにコンサートの日時や席次、購入した人の名前を入れることもできます。携帯電話のアドレス帳登録用データというのも、多くの情報を記録しておける2次元コードだからこそできる、というわけです。この情報量の多さが、携帯電話でも使えるような応用範囲の広さを生んでいるわけです。
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QRコードはJANコードのなどに比べると非常に多くの情報を記録でき、住所、メールアドレス程度ならそのまま収めることもできる。そのため、非常に広い応用が考えられそうだ。
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また、QRコードの「QR」はQuick Response(速い応答)の略なのですが、読み取りに手間がかからないのも特徴の1つです。QRコードには「切り出しシンボル」と呼ばれるマークがあって、これを読み取りする機械が判断することで、360゜全方向から読み取りができるようになっています。もし、コードが変な位置にあってもイチイチ読み取り機の向きを変える、というようなことをする必要はないわけです。さらに、誤り訂正機能も実装されており、データの中に、内容を検証するためのデータを書いておくことで、もしコードの一部が読めなくても読み取り機がデータを復元して識別することができるのです。
もし「J-SH09」を手に入れることができたら、カメラを逆さにしたり、わざとコードに落書きなどをして、読み取ってみてください。携帯電話は、それなりの悪条件でもコードを読み取ってくれることがお分かりいただけるでしょう。
・ QRコード ドットコム(デンソー)
http://www.denso.co.jp/EAP/qrcode/
・ QRコードde遊ぼっ!
http://qr.vitalbit.com/
・ コンビエン(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/service/keitai/combien.html
・ Cmode(シーモ)
http://www.cmode.jp/
・ J-SH09(J-フォン)
http://www.j-phone.com/kisyu/jsh09/index.html
・ Webサイト上でQRコードを作成「QRコードde遊ぼっ!」
・ ドコモ、iモード端末を使ってコンビニで携帯電話料金支払い
・ iモードを財布代わりに自販機からコカ・コーラを買おう
・ J-SH09(メロウシルバー)
・ J-フォン、31万画素CCDカメラ搭載で動画撮影も可能な「J-SH09」
(大和 哲)
2002/09/10 11:08
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