ひとり当たりいくら支払っているか
ARPUとはAverage Revenue Per User、つまり「ユーザーごとの収益平均」の略です。これは企業がユーザー1人当たりから平均いくらのお金を受け取っているかを示しています。携帯電話の場合は利用料金も月単位ですので、1契約当たりの月間平均収入額を示されることが多いようです。読みとしては「あーぷー」または「あるぷ」と発音されているようです。
たとえば、8月2日の記事ではNTTドコモの携帯・自動車電話のユーザーに関するARPUがニュースとなって掲載されています。それによれば、2002年度 第1四半期(4~6月)実績で音声利用とiモード利用を含めた総合ARPUは「8150円/月・契約」となっており、内訳としてはiモード利用分が「1630円/月・契約」、音声利用分が「6520円/月・契約」となっています。
株式会社は、自社の株主やこれから株を買うであろう投資家に対して、自分たちの事業がどのようになっているか判断してもらうために、財務状況などの情報を提供しています。これをIR(Investor Relations)情報というのですが、このARPUは携帯電話事業者のIR資料には欠かせない数値です。
また、このARPUという値は、衛星放送やネットワーク関係、コンテンツ配信事業の決算発表資料などに欠かせない数値で、1契約者あたりの収入額として、よくSAC(1加入者あたりの獲得費用)などの数値と並んで掲載されています。
様々な指標から見る携帯電話・移動通信事業
携帯電話事業の動向を把握するための数値としては、他には「MOU(Monthly minutes of use・月間利用時間)」という数値もあります。
これは、利用者が月にどのくらいの時間、携帯電話を使っているのかを示す数値で、単位は分/月・契約(ひと月、1契約者あたり分)です。2002年度 第1四半期(4~6月)実績のMOUSの数値は「169分/月・契約」ということになっています。
ちなみにこれらの数値はドコモのIR資料に掲載されているのですが、これらARPU、MOUや契約者数を年度別に見てみると、これまで携帯電話・移動体通信が経済的にどのように成長してきたのかがよくわかります。
たとえば月間のARPUに関しては
1996年 |
15,720 |
1999年 |
10,800 |
2002年1Q |
8,150 |
(円/月・契約)
と徐々に減っていますが、月間のMOUに関しては、
1996年 |
170 |
1999年 |
164 |
2002年1Q |
169 |
(分/月・契約)
とほとんど変わっていません。つまり、利用時間に関してはほとんど変わっていないにもかかわらず値下げなどの効果で1ユーザー当たりの収入は減っている、ということになるわけです。
ただし、携帯電話はユーザー数に関して、
1996年 |
4,936 |
1999年 |
23,897 |
2002年1Q |
41,462 |
(千契約)
と大幅に増えてきており、これがこれまでのこの産業の躍進の原動力となってきました。ちなみにNTTドコモの1年間の利益(純利益)に関しても、IR資料によれば
1996年 |
21,379 |
1999年 |
204,815 |
2002年1Q |
401,755 |
(百万円)
というふうに増加してきたことがわかります。
・ NTTドコモ アニュアルレポート2001年3月期
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/anual/01.html
・ ドコモ、FOMAのARPUが大幅減
・ KDDIが第1四半期のARPU公表、1xユーザーのARPUは1万円強
(大和 哲)
2002/08/20 12:18
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