iPhone駆け込み寺
9月10日のアップル発表会まとめ、iPhone 17/17 ProやiPhone Air、Apple Watch、AirPods Pro 3などを一挙発表
2025年9月10日 12:52
iPhoneラインナップに変化。Plusの代わりに「iPhone Air」が登場
iPhoneはラインナップが一部刷新され、Plusモデルの代わりにAirモデルが登場している。ラインナップはiPhone 17、iPhone Air、iPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Maxの4モデル。
iPhone AirはほかのiPhoneシリーズと異なり、ナンバリングが付けられていない。同じくナンバリングが付けられなかったiPhoneシリーズとしては、iPhone SEがある。アップル製品において「Air」の呼称は、MacBook AirやiPad Airなど、Proほどのスペックは持たないが、薄さや軽さを実現したモデルに用いられる傾向がある。
iPhone Airも薄さを優先させたモデルとして位置づけられている。ディスプレイサイズは6.5インチで、スタンダードモデルとProモデルの6.3インチ、Pro Maxモデルの6.9インチの中間サイズとなっているが、iPhone 16 Plusの6.7インチよりは少し小さい。
また、スタンダードモデルのiPhone 17も大きさが変更されていて、ディスプレイサイズはiPhone 17 Proと同じ6.3インチとなっている。スタンダードモデルがより高性能化しているが、一方でProモデルもデザイン変更などで従来モデルとの差別化をしている。
価格はProはやや値上げ、スタンダードはやや値下げ
今回発表されたiPhoneのストレージ容量は、いずれのモデルも最小で256GBとなり、128GBモデルは廃止された。iPhone 16シリーズの初出時価格と比較すると、Proモデルは5000円の値上げとなるが、256GBモデル同士で比較すると、スタンダードモデルは実質的には1万円の値下げとなっている。
iPhone AirはiPhone 16 Plusよりも5000円ほど高い。しかしシングルカメラなど一部スペックが省略されているものの、カメラ以外のスペックはスタンダードモデル並み、プロセッサなど一部はスタンダードモデル以上・Pro未満なので、コストパフォーマンスはPlusモデルより向上したと見ることもできる。
256GBモデルの価格は、iPhone 17は12万9800円、iPhone Airは15万9800円、iPhone 17 Proは17万9800円、iPhone 17 Pro Maxは19万4800円。
iPhone 16シリーズの256GBモデルの初出時価格は、iPhone 16は13万9800円、iPhone 16 Plusは15万4800円、iPhone 16 Proは17万4800円、iPhone 16 Pro Maxは18万9800円。
iPhone 17は256GB/512GBの2モデル、iPhone AirとiPhone 17 Proは256GB/512GB/1TBの3モデル、iPhone 17 Pro Maxは256GB/512GB/1TB/2TBの4モデル。2TBのiPhoneは今回初登場で、価格は32万9800円となる。
いずれのiPhoneも発売は9月19日で予約注文の受け付け開始は9月12日21時から。
iPhone Airは薄さ重視のための特殊なデザインと仕様
iPhone Airの厚さは5.64mmと、過去のiPhoneと比較しても最薄となっている。ちなみにAirの次に薄いモデルは2014年発売のiPhone 6(厚さ6.9mm)。当時は非接触充電がなかったため、背面も金属を採用することでボディが薄く作られていた。
iPhone Airは薄さを実現するために、デザインも特殊なものを採用している。基本的な構成はiPhone 16シリーズまでと同様で、側面に金属フレーム、前後にガラスパネルとなっているが、金属フレームにはiPhone 16 Proなどと同様にチタニウム合金を採用している。iPhone 17 Pro/17 Pro Maxではアルミニウム合金に戻ったため、今年のモデルではiPhone Airが唯一、チタニウム合金フレームを採用する。
側面の金属フレームは鏡面仕上げとなる。背面はCeramic Shieldで従来のiPhoneの4倍の耐亀裂性能、前面はCeramic Shield 2で従来の3倍の耐擦傷性能を持つなど、耐久性が高いこともアピールされている。
カラーバリエーションはスカイブルー、ライトゴールド、クラウドホワイト、スペースブラックの4色で、スペースブラック以外は白に近い薄い色味で軽快さを表現している。
従来モデル同様、背面のカメラ部の周辺には凸部があるが、iPhone Airはこの凸部が横幅いっぱいまで広がっている。内部構造的には、この凸部にメインの基板を内蔵させることで、薄さとバッテリ容量を両立させている。厚みの5.64mmはこの凸部以外のところと見られる。
薄型化の代償のひとつとして、iPhone Airの背面カメラはシングル構成となっている。このカメラは48MPのFusionメインカメラで、画角は26mm相当、f/1.6、ピクセルサイズは1μm(クアッドピクセル時は2μm)、100%のフォーカスピクセル、センサーシフト型の光学式手ぶれ補正など、スペック面ではiPhone 17のメイン広角カメラと同等となっている。
超広角カメラを搭載しないため、26mm相当よりも広い画角での撮影ができないほか、マクロ撮影や空間写真撮影にも対応しない。また、iPhone AirはプロセッサにA19 Proを搭載しているが、ProRAWやProRes RAWなど、静止画・動画のRAW撮影にも対応しない。
同じくシングルカメラ構成のiPhone 16eではポートレートモードでの撮影時、ソフトウェア処理での被写界深度コントロールが使えたが、人物以外では使えないなどの制限があった。iPhone Airでは「次世代のポートレート」とされているが、機能上の制限がどのようになっているかは不明。
フロントカメラはほかのモデル同様に「センターフレームフロントカメラ」に強化されている(後述)。顔認証のFace IDに対応するTrueDepthテクノロジーを搭載し、見た目は最新iPhone同様のDynamic Islandデザインを採用している。
薄型化を実現するために、iPhone AirはeSIM専用モデルで展開される。アップルの公式サイトによると、日本版においてもiPhone 17シリーズはいずれのモデルも物理SIMカード非対応のeSIM専用モデルが販売されるが、欧州などではiPhone Air以外は物理SIMカード対応モデルが販売される(アメリカでは従来モデルからeSIM専用で展開中)。
iPhone Airのサイズは156.2×74.7×5.64mmで重さは165g。サイズとしてはディスプレイサイズが6.7インチになる前の大型Proモデル、iPhone 11 Pro MaxやiPhone XS Max(ともに6.5インチ搭載モデル)を薄くしたような形で、これらのモデルが226gと208gなのに対してだいぶ軽量化されている。
より小さなモデルと比較すると、165gは現行ラインナップでは最軽量となるが、6.1インチディスプレイのiPhone 16eの167gや前モデルのiPhone 16の170gと大差はない。
ディスプレイサイズは6.5インチで解像度は2736×1260ピクセル。OLEDの「Super Retina XDRディスプレイ」で、最大120HzのProMotionテクノロジーや最大3000ニトなど、Proモデルと同等のスペックとなっている。ちなみにiPhone 17シリーズではスタンダードモデルもProモデルと同等スペックのディスプレイを搭載するので、ProMotionや3000ニトといったスペックは共通となっている。
従来モデルでは横持ち時のステレオスピーカーとするために、本体下端側にもスピーカーを搭載しているが、iPhone Airではこれが省略され、スピーカーは上端側のみになっている。側面のアクションボタンやカメラコントロールは省略されていない。
省電力化にも注力されていて、プロセッサにはiPhone 17 Proと同じA19 Proを採用する。ただしiPhone Air搭載のA19 ProはGPUコア数が少ない。また、放熱を重視した設計となっているProモデルと比べると、ピークパフォーマンスの持続時間が短いとみられる。ProチップではあるがUSB 3には対応せず、最大480MbpsのUSB 2.0仕様となる。
モデムチップにはiPhone 16eに採用されたC1チップを強化したC1Xチップを搭載。Wi-FiやBluetoothにはN1チップというアップル独自設計のチップが採用されていて、こちらも省電力化に貢献しているという。
このため、モバイル通信の対応バンドの抜けはC1チップに近いが、iPhone 16eで非対応だった4Gのバンド11(国内一部キャリアが使用)にはiPhone Airでは対応している。一方、アメリカでは従来モデルで対応していた5Gのミリ波には、アメリカ版のiPhone Airでも非対応となる。ただし日本国内ではいずれのモデルもミリ波に対応しないので関係はない。
Wi-Fi 7とBluetooth 6、Threads、AirTagなどに使う超広帯域通信に対応する。このあたりはほかのiPhone 17シリーズと同等で、iPhone 16eよりも高性能になっている。NFCなどはもちろん、衛星通信経由の緊急通信などにも対応する。
内蔵バッテリー容量は小さくなっているが、カタログスペックでのビデオ再生時間は最大27時間となっており、iPhone 17の最大30時間と大きな差はない。最大20Wのワイヤレス充電には対応しており、iPhone 16eで省略されたMagSafeの吸着にもiPhone Airは対応している。
iPhone Airの全体的なスペックは、薄型化の代償として「カメラとスピーカーのシングル化」「バッテリー容量の小型化」などのダウングレードされたところもあるが、それ以外のスペックは削られておらず、A19 Proチップを搭載するなど、スペックは「スタンダードモデル以上・Proモデル未満」になっている。
iPhone Air向けの純正アクセサリとして「iPhone Air MagSafeバッテリー」も発売される。こちらはiPhone Airのみに互換性があるとされるMagSafeバッテリーで、iPhone Airを手に持って使っているときにも使用することを想定し、軽量に作られている。容量は大きくなく、iPhone Airの内蔵バッテリの65%を充電できるとされている。
iPhone Airのスペック表のバッテリーも持続時間の欄にはこのバッテリーを併用している場合の時間も併記されている。ワイヤレス充電の出力は最大12W。iPhone Air本体の有線充電と同時に給電可能で、併用することでより高速な充電が可能とされている。
フロントカメラは全モデル「センターフレームフロントカメラ」を採用
ディスプレイ部に搭載するフロントカメラは、新設計の18MPセンターフレームフロントカメラを採用する。これは民生品カメラとしては非常に珍しい、正方形センサーを搭載している。従来モデルは、ディスプレイと同じ方向の縦長(4:3)の12MPセンサーを搭載していた。
正方形センサーを採用し、必要に応じて縦長・横長に切り出して撮影・記録する。これにより、縦に持ったままでも横方向に何人か並ぶような自撮り撮影がしやすくなっている。これは横に持つよりも持ちやすいだけでなく、カメラの位置が目線より少し上で固定されるので、目線を調整しやすいという特徴もある。
画角は従来よりも広げられていて、センサー面積自体も従来の約2倍になっている。これにより、クロップ(切り出し)して撮影することが基本となる。iPadやMacBookのセンターフレームカメラ同様、被写体を検出してクロップ位置を自動調整する。固定状態で使う前提のiPadやMacBookと異なり、手持ち向けの調整もなされている。画角と解像度に余裕のあるセンサーを生かし、走りながら自撮りするといったアクションカメラのような撮影にも対応できるレベルで手ぶれ補正が強化されている。
この18MPセンターフレームフロントカメラはiPhone 17/Air/17 Pro/17 Pro Maxで共通の仕様として搭載される。そのため、機能面ではほぼ同等だが、ProモデルのみProRes撮影に対応し、Airのみシネマティックモードに対応しないという細かい差違がある。
国内は全モデルがeSIM専用に
iPhone Airは全世界でeSIM専用モデルのみの展開となるが、日本国内においてはiPhone 17/17 Pro/17 Pro MaxもeSIM専用モデルで展開される。アメリカなどでは過去モデルからeSIMモデルで展開しているが、日本でのeSIM専用モデル展開は今回が初。
こうしたeSIM専用モデル展開の背景には、eSIM転送機能に対応するキャリアが拡がり、異OS間での転送も可能になったことがあると見られる。また、eSIMには本体紛失時にPINロックをかけていない物理SIMカードが盗難・不正利用され、SMS認証で不正ログインされることを防ぎやすくもするメリットもある。
欧州などで売られているnanoSIM対応モデルと比べ、ProモデルのeSIM専用モデルは内蔵バッテリが大きくなっている。
公式サイトで公開されているバッテリーに関する情報によると、ビデオ再生時間はeSIM専用iPhone 17 Proで33時間、物理SIM対応iPhone 17 Proで31時間、eSIM専用iPhone 17 Pro Maxで39時間、物理SIM対応iPhone 17 Pro Maxで37時間とされている。iPhone 17については物理SIM対応/非対応での差はない。
コスパと性能のバランスに優れたiPhone 17
スタンダードモデルとなるiPhone 17は、128GBモデルが廃止されたので最低価格が上がっているが、256GBモデルで比較すると、iPhone 16よりも1万円値下げされている。その一方で性能は向上し、Proモデルと同等となった部分もあるので、コストパフォーマンスは高くなっている。
従来のiPhoneではスタンダードモデルとProモデルでディスプレイスペックが差別化されていたが、iPhone 17シリーズとiPhone Airは大きさと解像度以外のディスプレイスペックは同等になっている。
従来のスタンダードモデルと異なり、iPhone 17では最大120HzのProMotionテクノロジーと常時表示ディスプレイに対応する。ディスプレイの屋外ピーク輝度も2000ニトから3000ニトへ引き上げられた。
また、そもそもディスプレイサイズもiPhone 16の6.1インチから若干大きくなり、Proモデルと同じ6.3インチとなった。解像度も2622×1206ピクセルでProモデルと同等。
ディスプレイサイズ変更に伴い、本体サイズも少し大型化しているが、狭額縁化によってサイズ増は少なめとなっている。iPhone 17のサイズは149.6×71.5×7.95mmで重さは177g。前モデルのiPhone 16は147.6×71.6×7.80mmで重さは170gだった。
基本的なデザインは従来のスタンダードモデルを踏襲し、側面はアルミニウム合金フレーム、背面はガラスで構成される。ただしガラス部は耐久性能が向上している。カメラ周りのデザインもiPhone 16を踏襲し、広角メインカメラと超広角カメラが縦に並び、凸部も縦長のデザインを採用している。大きさが違うため、iPhone 16向けのジャケットケースなどとは互換性はない。
カラーバリエーションはブラック、ホワイト、ミストブルー、セージ、ラベンダーの5色で、ブラックとホワイト以外のカラーはiPhone 16と異なるが、淡い色調かつレンズ周辺の凸部だけ濃くなっているなどのデザインは共通。
背面カメラは従来のスタンダードモデルと同じ、広角メインカメラと超広角カメラのデュアル構成。しかし超広角カメラはiPhone 16の12MPから48MPのFusion超広角カメラへと強化された。これにより、マクロ撮影時にも高い解像度を維持できる。
iPhone 17の超広角カメラは13mm相当、f/2.2、ピクセルサイズは0.7μm(クアッド時1.4μm)でハイブリッドフォーカスピクセルを採用する。画角やレンズの明るさ、センササイズはiPhone 16と変わっていない。スペック上ではピクセルサイズなどを含め、iPhone 16 Proの超広角カメラと同等となっている。
一方で従来のスタンダードモデル同様、望遠カメラやLiDARは搭載せず、RAW撮影にも対応しない。
プロセッサにはA19チップを搭載する。ProモデルやiPhone AirはA19 Proチップを搭載するので、ProではないA19チップを搭載するのはiPhone 17のみ。A19チップはA18チップよりもAI性能が強化されていて、16コアのNeural Engineに加え、GPUの各コアにNeural Acceleratorを追加している。
本体サイズに大きな差異はないものの、前モデルのiPhone 16と比較し、バッテリーの持ちが大きく改善している。カタログスペックのビデオ再生時間は、iPhone 16が最大22時間に対し、iPhone 17は最大30時間となっている。
充電機能も若干強化されていて、従来は20Wアダプタを使うことで30分で最大50%充電とされていたが、iPhone 17は40Wアダプタを使うことで20分で最大50%、30Wアダプタを使うことで30分で最大50%の充電が可能とされている。
Proモデルはデザインを刷新。放熱性能を重視した設計に
iPhone 17 Pro/17 Pro Maxは前モデルから大きくデザインが刷新されている。
非接触充電を採用したiPhone 8シリーズ以降、背面はガラス素材が採用されてきたが、iPhone 17 Pro/17 Pro Maxは非接触充電部のある中央と下部がガラス素材で、カメラ周辺の上部は金属という2種類の素材を組み合わせた構成となっている。背面が2種類素材で使い分けられるiPhoneは、日本未発売の初代iPhone以来となる。
カメラ周辺の金属部は、側面や内部のフレームと一体化した「熱間鍛造アルミニウムUnibody」となっている。金属が熱いうちにプレスして形を作る熱間鍛造をした上で、切削で正確な形状に加工し、酸化皮膜処理で仕上げている。一般的に熱間鍛造には金属原子並びを整え、結晶を細かくすることで、強度や靱性を高める効果がある(刀鍛冶がカンカン叩くのは熱間鍛造の典型例)。
このアルミニウムUnibodyのシャーシには、内部で熱を伝達するベイパーチャンバーが溶着されていて、プロセッサなどが発する熱を効率的にボディ全体に分散し、放熱する仕組みになっている。iPhone 16 Proなどが採用していたチタニウム合金に比べると、アルミニウム合金は強度には劣るが、熱伝導率が高いという特徴がある。素材がチタニウム合金からアルミニウム合金に変更されたのは、放熱性能が大きな要因となったと見られる。
放熱性能が向上していることで、従来のモデルよりも長時間、ピークパフォーマンスを維持しやすく、プロセッサの強化と合わせ、最大40%高いパフォーマンスを長く維持できるとされている。
形状としても、カメラ部周辺の凸部がiPhone Airと同様に左右の幅いっぱいまで拡大していて、この部分にカメラ光学系などを収納している。iPhone 17 Proは望遠カメラのセンサー大型化で光学系が大型化し、バッテリー容量を犠牲にしないためにこうしたデザインを採用したと見られる。
プロセッサにはA19 Proを搭載する。iPhone AirもA19 Proを搭載しているが、iPhone 17 Pro/17 Pro Maxが搭載するA19 ProはGPUコア数が6個、iPhone Airが搭載するA19 ProはGPUコア数が5個という差がある。また、放熱性能の差により、iPhone 17 Pro/17 Pro Maxの方が高性能を発揮しやすい。同じA19 Pro搭載モデルでも、RAW撮影やUSB 3対応などにiPhone Airは対応していない。
カメラは広角メインカメラと超広角カメラ、望遠カメラの3つ構成。従来モデル同様にLiDARも搭載している。iPhone 16 Proと比較すると、望遠カメラが12MPから48MPのFusion望遠カメラに強化された。
iPhone 17 Pro/17 Pro Maxが搭載する望遠カメラは、画角は100mm相当(4倍)でf/2.8、ピクセルサイズは0.7μmで3Dセンサシフトの手ぶれ補正を搭載する。光学系は内部で反射させて焦点距離を確保するテトラプリズムを使っている。
iPhone 16 Pro/16 Pro Maxの望遠カメラは120mm相当(5倍)だったので、望遠倍率は下がっている。一方で前モデルのセンサーのピクセルサイズは1.12μmで、iPhone 17 Pro/17 Pro Maxの望遠カメラの12MP時(クアッドピクセル時)の1.4μmの方が縦横の長さで1.25倍、面積で約1.56倍と大型化している。センサーサイズに合わせてレンズも大きくなる必要があるので、光学系の大型化とのバランスをとるために、倍率を4倍としたとみられる。しかし48MPのFusion望遠カメラを搭載するので、12MPのクロップズームが使えて、その場合は200mm相当(8倍)のズーム撮影が可能となる。
なお、iPhone 16 Pro/16 Pro Maxの超広角カメラは、48MPなものの、ほかのカメラのデータも併用するFusionカメラではなかった。一方でiPhone 17 Pro/17 Pro Maxは、広角・超広角・望遠のいずれもFusionカメラとなり、全体で「48MP Pro Fusionカメラシステム」を名乗っている。
広角メインカメラは、発表会でもとくに詳細は語られなかったが、作例の絞りがf/1.78なので、iPhone 16 Proなどと同等以上のカメラを搭載しているとみられる。iPhone 16 Proのメインカメラは、クアッドピクセル時のピクセルサイズが2.44μmという、iPhone 17などのスタンダードモデルが搭載するメインカメラよりセンサーサイズが大きい、より高性能なものになっている。
Proモデル同士の機能としては、引き続き静止画・動画のRAW撮影に対応する。動画側はとくに強化されていて、ProRes RAWに対応するほか、複数カメラを同期させる技術規格のGenlockに対応している。従来からProモデルは商用映像製作現場で使える品質と仕様を実装しているが、そこが引き続き強化されている。
iPhone 17 Pro/17 Pro Maxのフロントカメラは、iPhone 17やiPhone Airと同様に新設計の「18MPセンターフレームフロントカメラ」を搭載する。
このほかの通信機能などの仕様はiPhone 17と基本的に変わらない。iPhone 17やiPhone Air同様、背面のガラス部分はCeramic Shieldを採用して従来の4倍の耐亀裂性能を持ち、前面にはCeramic Shield 2を採用して従来の3倍の耐擦傷性能を持つなど、強靱さは増している。
iPhone 17 Proの本体サイズは、150.0×71.9×8.75mmで重さは206g。iPhone 17 Pro Maxの本体サイズは、163.4×78.0×8.75mmで重さは233g。ディスプレイサイズが同じiPhone 16 Pro/16 Pro Maxに比べると、大きさ・重さともに微増していて、とくに厚みは8.25mmから8.75mmへと増加している。これは金属フレームの構造変更やベイパーチャンバー採用による影響と推定される。
カラーバリエーションはシルバー、コズミックオレンジ、ディープブルーの3色。いずれのモデルも、アルミニウム部分と背面のガラスパネル部分の色系統は似せられている。
純正「クロスボディストラップ」も登場
iPhone AirとiPhone 17シリーズ向けのアップル純正ジャケットケースはiPhone向けの純正ケースとしては初めてストラップホールが備えられ、純正の「クロスボディストラップ」もラインナップされる。
クロスボディストラップは2点支持タイプのショルダーストラップ。ストラップでスマートフォンを吊るす文化は、アジア、とくに日本ではフィーチャーフォン時代から広く一般に浸透しているが、欧米やそのほかの地域ではあまり定着していない。その中でアップルがグローバルの純正品としてショルダーストラップと対応ジャケットケースを用意したのは特筆に値する出来事と言える。
クロスボディストラップの価格は9980円と高価だが、マグネットが埋め込まれていて、スライド構造させて1080〜2080mmの長さ調整が容易にできるようになっている。カラーバリエーションは10種類。
純正ジャケットケースとしては、iPhone 17向けにはシリコーンケースとクリアケース、iPhone Air向けには通常のケースと側面のみのバンパー、iPhone 17 Pro/17 Pro Max向けにはシリコーンケースとテックウーブンケース、クリアケースがラインナップされている。いずれもMagSafeに対応しているが、クリアケースはストラップに対応しない。
Apple Watchも小幅ながら5G対応などのアップデート
iPhoneと同時にApple Watch Series 11も発表された。前モデル同様、46mmと42mmの2サイズ、アルミニウムとチタニウムの2素材、アルミニウムモデルはGPSとGPS+Cellularの2種類がラインナップされる。
チタニウムのカラーバリエーションはSeries 10同様にスレート、ナチュラル、ゴールドの3色だが、アルミニウムのカラーバリエーションはジェットブラック、シルバー、ローズゴールドにスペースグレイが加わっている。価格はGPSモデルが6万4800円から、GPS+Cellularモデルが8万800円からで、付属バンドなどによっても価格が異なる。
基本的な性能はSeries 10とSeries 11で変わらず、S10チップを搭載するのも変わらない。しかし重量が少し増し、バッテリー駆動時間がSeries 10の最大18時間からSeries 11では最大24時間へと強化された。ディスプレイ面のガラスが強化され、アルミニウムモデルのIon−Xガラスは従来の2倍の耐擦傷性能を持つ。
内部の性能で言うと、Series 11のCellularモデルは新たに5Gに対応した。一方でSeries 11では3G通信機能は省かれている(4G LTEは対応)。搭載するセンサーなどは変わっていないが、手首フリックによるジェスチャーはSeries 11の機能とされている。
エクストリームスポーツ向けモデルのApple Watch Ultra 3も発表された。従来のUltraシリーズ同様、49mmサイズ、チタニウムシャーシ、GPS+Cellularモデルのみのラインナップで、価格は12万9800円から。カラーバリエーションはナチュラルとブラックのみ。
前モデルのUltra 2とサイズなどは変わっていないが、狭額縁化でディスプレイが1185平方ミリから1245平方ミリへと若干大型化している。また、Ultra 2はS9チップ搭載だったが、Ultra 3はS10を搭載する。
通信機能はこちらも5Gに対応(3Gは省略)しているほか、新たに単独での衛星通信機能にも対応し、衛星経由での緊急通報が可能となる。バッテリの持ちも強化され、Ultra 2の最大36時間からUltra 3では最大42時間となる。
エントリーモデルのApple Watch SE 3も発表されている。価格はGPSモデルが3万7800円から、GPS+Cellularモデルが4万5800円から。
SE 2では世代遅れのS8チップを搭載していたが、SE 3は最新世代と同じS10チップを搭載する。さらにディスプレイは最大輝度は1000ニトで上位モデルの2000ニトには及ばないものの、常時表示に対応するなど、使い勝手はSeries 11に近くなっている。
SE 3のサイズはSE 2と同じ。Series 11と比べると、本体サイズもディスプレイサイズも小さいが、Series 11のように狭額縁化はされていない。GPS+Cellularモデルでは5Gに対応するが、血中酸素センサーや皮膚温センサー、水温センサー、水深センサーは省かれていて、一部の機能は利用できない。
いずれのApple Watchも発売はiPhoneと同じ9月19日だが、予約注文はすでに開始している。
ノイズキャンセリングなどが強化されたAirPods Pro 3
AirPods Pro 3も発表された。価格は3万9800円、発売日は9月19日。予約注文はすでに受け付けを開始している。
基本的な部分としては、新たな「マルチポート」により空気の流れをコントロールすることで、低音やクリアな声などの音響品質を改善している。また、イヤーチップにはフォーム材の層を加えることで、構造的な遮音性を強化している。イヤーチップは着用感も改善され、付属の5つのサイズから選べるようになっている。
新たに光学式心拍数センサーを搭載し、引き続き搭載する加速度センサーと合わせ、Apple Watchがなくてもワークアウト中の心拍数と消費カロリーを記録できるようになった。汗をかいても壊れないよう、AirPodsシリーズとしては初めて、IP57等級の耐汗耐水性能を実現している(従来モデルはIP54)。
搭載するチップはAirPods Pro 2やAirPods 4と同じH2チップだが、マイクなどの改良もあり、アクティブノイズキャンセリング機能はAirPods Pro 2の最大2倍の性能を発揮する。一方で近くにいる人の声を検知して再生音量を下げて聞こえやすくしたり、通話中は周囲の雑音を分離・低減するといった機能も搭載する。
聴覚補助機能も引き続き搭載し、聴力をモニタリングする機能もあるが、医療機器ではないため補聴器として扱うことはできない。
iOS 26搭載のApple Intelligence対応iPhoneと組み合わせることで、ライブ翻訳機能も利用できる。目の前の話者の声を小さくしつつ、その話者が喋った言葉を翻訳して聞くことができる。自分の喋った言葉は翻訳してiPhoneに表示したり、別のAirPodsがあればそちらに出力することもできる。
こちらの機能はほかのApple Intelligenceの機能同様、ベータ版として提供されるものだが、AirPods Pro 2やAirPods 4でも利用できる。iOS 26リリースのタイミングでは英語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に対応し、今年中に日本語、イタリア語、韓国語、中国語(簡体字)に対応予定。
基本的なデザインは従来モデルを踏襲するが、ヘッドセット部、ケースともに大きさ・重さが変わっている。AirPod Pro 2と比べると、ヘッドセット部の重さは5.3gから5.55gへのやや大きくなったが、ヘッドセット単体での最大利用時間は長くなっている。








































