三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

「iPhone 17 Pro」のカメラをチェック、3つの48MPカメラがもたらす新たな撮影体験とは

 今年もアップル「iPhone」の新製品が登場した。薄型の「iPhone Air」、ベーシック機の「iPhone 17」、そしてハイエンド機の「iPhone 17 Pro」と「iPhone 17 Pro Max」だ。今回は「iPhone 17 Pro」をレビューしたい。なお端末の詳細や価格、スペックなどは、本誌別記事を参照いただきたい。

3つの48MPカメラ

 「iPhone 17 Pro」の48MPFusionカメラシステムは、メイン、超広角、望遠のすべてに48メガピクセルセンサーを搭載している。ようやく望遠カメラにも48MPが採用され、ライバルであるAndroidハイエンド機に追いついたかたちだ。

 メインカメラは2.44μmのクアッドピクセルセンサーとf/1.78のレンズ、第2世代センサーシフト光学式手ぶれ補正を組み合わせている。デフォルトでは24MPの高精細な写真を記録できるほか、ProRAWモードでは48MPの緻密なディテールを捉えることが可能。

 望遠カメラも48MP化されたことで、メインカメラと同様のピクセルビニング技術に対応。4つのピクセルを1つとして扱うことで受光量を増やし、光量不足になりがちな望遠撮影でも、ノイズを抑えた明るい12MPの写真を撮影できる。

 さらにこの高画素センサーの中央部分を切り出すことにより、画質劣化の少ない望遠撮影が可能に。光学4倍(100mm相当)に加え、センサー中央部をクロップすることで光学品質の8倍(200mm相当)ズームを実現。つまり「光学8倍ズーム」ではなく、光学品質を保ったクロップズームだ。

アウトカメラのスペック
項目内容
メインカメラ解像度:48MP、焦点距離:24mm(1倍)/48mm(2倍クロップ)、絞り値:f/1.78、ピクセルサイズ: 2.44μm、手ぶれ補正:第2世代センサーシフト光学式手ぶれ補正
超広角カメラ解像度:48MP、焦点距離:13mm(0.5倍)、絞り値: f/2.2、ピクセルサイズ:1.4μm、機能:マクロ撮影対応
望遠カメラ解像度:48MP、焦点距離(光学): 100mm(4倍)、焦点距離(クロップ):200mm(8倍光学品質ズーム)、絞り値:f/2.8、ピクセルサイズ:1.4μm、手ぶれ補正:3Dセンサーシフト光学式手ぶれ補正+オートフォーカス

「iPhone 17 Pro」各カメラ描写はいかに?

 それぞれの写る範囲はこのとおり。

0.5x
1x
2x
4x
8x
40x(デジタルズーム最大時)。

 多摩川の河川敷から二子玉川にある楽天本社ビルを狙ってみた。各カメラにおける表現の違いがおさえられいい印象だ。

撮影画面はかなり変化した。各モード、設定画面へのアクセスが複雑になった印象。慣れが解決してくれるか?

「iPhone 17 Pro」でブラブラ実写スナップ

 以前のモデルと大差なく撮影が楽しめる「iPhone 17 Pro」。スクリーンも明るく視認性も高いので、フレーミングもしやすい。動作もキビキビしており、やや発熱するボディが心配だが、機種変更してもスッと違和感なく使用できるだろう。ただ全体的に露出がオーバー気味なのと暖色傾向なのが気になった。

クロネコを撮った。が、アングルを少し変えただけでコロコロと変化してしまうホワイトバランスは問題だ
望遠カメラは使いやすくなった。前モデルの5倍はちょっと長すぎた。2、4,8倍とでロコモコを撮ったが、これくらいのレンジの方が使いやすい
(モデル:吹)
24MPと48MPでの描写比較。どちらも問題のない写り。48MPの方が当然ながらモデルの衣装などディテール感が豊富である(モデル:吹)
ポートレートモードでのカット。やや前髪部分の境界判定がアヤシいが、まずまずの被写体分離である。ボケなどコントロールの呼び出しが面倒になったのが残念だ。撮影後にカメラロール内で調整した方がよさそうだ(モデル:吹)
空を背景にモデルを撮った。HDRが働き、顔も空も適正な明るさになった。スキントーンもまずまずだがやや暖色傾向か(モデル:吹)
秋葉原でのカット。インテリジェントビルと電車を超広角カメラで封じ込めた。電源スイッチのダブルクリックでサッと立ち上がるカメラ機能はシャッターチャンスに強い
(モデル:吹)
フロントカメラはスクエア形状のセンサーを採用し、「18MPセンターフレームカメラ」となった。これにより縦に持ったままでも横長の写真を撮影するなど、これまでにない自由なフレーミングが可能に。 また「デュアルキャプチャ」という新機能で、リアカメラとフロントカメラで同時に動画を撮影できるようになった。たとえばこのように風景を撮りながら自分のリアクションも一緒に記録することが可能だ。 ただこれはFilmicの「DoubleTake」というアプリで以前から可能だった。こちらはピクチャインピクチャ、分割撮影などができもっと多彩だ。そういえば4つ全部のカメラで撮影ができるようになるはずだったが、2つのままアップデートされず……
日が傾きかけた河川敷でのカット。広角カメラの描写が当然ながら一番いい。モデルの顔周り、衣装、そして背景までなかなかの描写に感じる(モデル:吹)
「ナイトモード」もAndroid機に肩を並べるまでになった。もっとも高感度特性の向上により、都心部の夜間ではなかなかこのモードが発動しない。ただ点光源に対するフレアやゴーストの発生は劇的に改善されていないので撮影時に留意することが必要だ
マクロモードで線路脇にある突起に迫った。パースを活かした近接撮影が楽しめる。フードなどの撮影では自機の影が写ってしまうことが多いので、新しくなった望遠カメラをテレマクロ的に使うのがいいだろう
新しくなった望遠カメラは街中の撮影が楽しい。気になった被写体をそっとキャプチャーする感じがイイ。やれた庇、壊れた手すり、渋い壁の描写がいい。ただ若干色味が暖色系に感じられる
浅草の商店を撮った。数多くの帽子などが陳列されているが、どれもシャープでしっかりと写しとられている
雷門横で出会ったイヌ。クリクリした目玉と毛並み、カゴの描写がいい。誰でも気軽にスナップ撮影を楽しめるカメラに仕上がっている
雨が降り出しそうな浅草。その感じをうまく「iPhone 17 Pro」はキャプチャーしてくれた。ようやく3つのカメラが48MPになり、超広角から望遠までまんべんなく一定品質の写真を楽しめるようになったと言えよう

「iPhone 17 Pro」まとめ

 望遠カメラにようやく手が入れられ、全部のカメラで整ったクオリティの写真が撮影できるようになったのが「iPhone 17 Pro」のいいところである。 一方、無骨で高級感のない外観デザインや、ツートン処理の部分など、今までのアップル製品とは異なる印象を受ける人も多い。実際に手にして仕上がりを確認してから買うことをオススメしたい。

 昨年鳴り物入りで登場した「カメラコントロール」だが、今年もやはり使いにくく感じた。もっぱらカメラの起動で使うのみであった。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau