iPhone駆け込み寺
9月10日のアップル発表会まとめ、iPhone 16/iPhone 16 ProシリーズやAirPods 4、Apple Intelligenceなどが一挙発表
2024年9月10日 09:39
アップルは日本時間9月10日午前2時に発表会を開催し、新製品のiPhone 16シリーズとApple Watch Series 10、AirPods 4を発表した。さらにApple Watch Ultra 2とAirPods Maxには新色を追加する。また、新バージョンとなるiOS 18やiPadOS 18、macOS Sequoiaなどが9月17日にリリースされることも明らかにされた。
iPhone 16シリーズは9月13日より予約受付を開始し、20日に発売する。Apple WatchとAirPodsの新製品と新色はすでに予約受付を開始しており、20日に発売する。
iPhoneは引き続きスタンダード/Proの2グレード×2サイズの4モデル構成
iPhone 16シリーズは、従来モデル同様、スタンダードモデルは2サイズ、Proモデルは2サイズの4モデル構成となる。
Proの2モデルはサイズが変更となる。iPhone 15世代まではスタンダードモデルもProモデルも6.1インチと6.7インチの2サイズ(あるいは5.4インチのminiを加えて3サイズ)だったが、iPhone 16 Proは6.3インチ、iPhone 16 Pro Maxは6.9インチと、それぞれ大型化している。
一方のスタンダードモデルはサイズは変更されていないものの、背面のカメラ部のデザインなどが変更されている。
iPhoneの価格は据え置きで12万4800円から
各モデルの価格は、iPhone 16が12万4800円から、iPhone 16 Plusが13万9800円から、iPhone 16 Proが15万9800円から、iPhone 16 Pro Maxが18万9800円から(Pro Maxのみ256GBからで、ほかは128GBから)。
北米での価格はそれぞれ799ドル、899ドル、999ドル、1199ドル。日本でも北米でも初出時の価格はiPhone 15シリーズから変更されていない。日本での税抜き価格を踏まえると、おおむね1ドル142〜145円程度のレートでの価格設定となっている。
旧世代のProモデルは終売となり、iPhone 15/15 Plus、iPhone 14/14 Plus、iPhoen SE(第3世代)は値下げされた廉価モデルとして併売される。
スタンダードモデルも最新世代プロセッサ。Proモデルは強化版
ここ数世代のiPhoneでは、スタンダードモデルは1年前のProモデルのチップを搭載するケースが多かったが、iPhone 16は新世代のA18チップを搭載する。一方のiPhone 16 Proは、さらに強化されたA18 Proチップを搭載して差別化している。
iOS 18の目玉機能でもある生成AIを使ったアシスタント機能「Apple Intelligence」は、個人情報を扱う処理をオンデバイスで実行する形式で、iPhone側のチップが高性能でないと対応できず、現行モデルではiPhone 15 Proのみが対応とされていたが、iPhone 16世代ではProモデルだけでなく、スタンダードモデルでもApple Intelligenceが利用できる。
ただし、Apple Intelligenceは当初、アメリカ英語のみの提供。日本語対応については1年以内としている。またアメリカ英語での提供も年内にベータ版として公開される予定。
A18とA18 Proのスペックは、いずれもCPUが6コア、Neural Engineが16コアだが、GPUはA18が5コア、A18 Proが6コアとなっている。また、A18 ProはA18よりもCPUのキャッシュが大きく、より負荷の高い処理のパフォーマンスを向上させている。
このほかにもA18 Proには独自のメディア処理機能やディスプレイ制御機能などが搭載され、4K 120fpsのProResビデオ撮影やアダプティブリフレッシュレート、常時表示ディスプレイ、最大10GbpsのUSB3アクセス速度などはProモデル独自の機能となっている。
新しいタッチインターフェイス「カメラコントロール」を搭載
iPhone 16シリーズは4モデルともに側面のスイッチ・ボタン・センサー類が変更されている。
まず左側面のスライドスイッチの代わりにiPhone 15 Proで採用された「アクションボタン」は、ProモデルだけでなくiPhone 16/16 Plusにも採用される。
さらに右側面、従来はスリープやSiri起動に使うサイドボタンだけが配置されていたが、iPhone 16シリーズでは4モデルともに新たな「カメラコントロール」が追加される。こちらはメカニカルなボタンではなく、触感フィードバック付きのタッチセンサーで、タップや長押し、スワイプなどの操作に対応する。
このカメラコントロールにより、スリープ状態から素早くカメラを起動したり、新機能である「視覚的インテリジェンス」を起動したり、カメラアプリでズームなどをコントロールしたりできる。
「視覚的インテリジェンス」は撮影した画像を生成AIに投げ込む機能で、年内に追加予定の機能となっている。こちらはサードパーティの生成AIも使うことが可能で、GeminiやChatGPTでも利用できるという。
さらに年内にはソフトウェアアップデートにより、フォーカス・露出をロックする2段階シャッターにも対応する予定となっている。
スタンダードモデルはカメラを大幅強化
iPhone 16/16 Plusのメインの広角カメラには48MPピクセルのFusionカメラ、超広角カメラにはマクロ撮影対応の12MPカメラが搭載される。
メインの広角カメラは、iPhone 15 Pro/16 Proの広角カメラとは少しスペックが異なり、焦点距離は26mm相当、クアッドピクセルサイズは2μm、F値はf/1.6となっている。また、広角カメラのみ反射防止レンズコーティングが施されている。48MPになったことで、画質劣化の小さいデジタルズームが利用できるようになる。
スタンダードモデルのカメラ部分のデザインが変更される。従来モデルは2つのレンズが斜めに配置されていたが、iPhone 16/16 Plusでは縦に並ぶように配置される。これもあって、立体的に記録する空間写真と空間ビデオの記録に対応する(Proモデルも対応)。Apple ProRAWの静止画やApple ProResの動画撮影には対応しない。
Proのカメラもさらに強化して差別化
Proモデルのカメラは、従来と同じ3つのレンズと1つのLiDARセンサーで構成される。
メインの広角カメラは、48MPのFusionカメラとなる。スペック上はiPhone 15 Proと変わらず、焦点距離は24mm相当、クアッドピクセルサイズは2.44μm、F値はf/1.78となっている。新たにセンサから信号を転送する速度が2倍になり、シャッターラグなどが軽減しているという。
超広角カメラは、従来の12MPから48MPへと強化された。従来モデルもマクロ撮影は超広角カメラを使っていたが、iPhone 16 Proはマクロ撮影でも48MPの高解像度な記録が可能となっている。しかし解像度が違うだけで、焦点距離は13mm相当、F値はf/2.2などで従来とスペックは変わらない。
望遠カメラの倍率は、iPhone 15 Proは3倍、iPhone 15 Pro Maxは5倍だったが、iPhone 16 Pro/16 Pro Maxはいずれも5倍で共通となっている。焦点距離は120mm相当、ピクセルサイズは1.12μm、F値はf/2.8でiPhone 15 Pro Maxと同じ。内部で反射させて長い焦点距離を小さく収めるテトラプリズムが採用されている。
スタンダードモデルには引き続きLiDARが搭載されないこともあり、ナイトモードでのポートレート撮影はProモデル限定機能となる。
Proモデルはプロ向けRAW撮影機能などで差別化
撮影関連ではProモデルにはスタンダードモデルにはないプロ向けの機能が多数搭載されている。
静止画のApple ProRAW、動画のProResなどRAWフォーマットでの撮影は、iPhone 16世代でもProモデル独占機能となっている。
iPhone 16 ProではProRes動画の撮影が強化され、最大120fpsでの撮影が可能になった。ただし高速な外部ストレージが必要になる。スローモーションも強化され、最大120fpsの4Kドルビービジョンに対応する。
このほかにも機械学習処理を使った音声処理が強化されていて、風切り音の低減やビデオ撮影時にどの範囲の音声を録音するかを選べるオーディオミックス機能、空間オーディオ録音に対応するが、こちらはスタンダードモデルでも対応する。一方でProモデルは高品質な4マイクアレイを搭載し、より高精度な音声収録が可能となっている。
処理能力向上だけでなく冷却や電池の持ちも
A18とA18 Proは第2世代の3ナノテクノロジーを採用し、処理速度と電力効率を向上している。また、機械学習処理に影響の大きいメモリ帯域幅も強化されている。
さらに内部基板に再生アルミニウムを使い、放熱しやすくすることで、iPhone 16ではハイパフォーマンスなゲーム処理が30%長く持続するようになっているという。
A18とA18 ProではGPU性能に差があるが、いずれもハードウェアレイトレーシング処理に対応。現行モデルではA17 Proのみ対応としてリリースされている「バイオハザード7」などのハイパフォーマンスモデル向けゲームも、iPhone 16でプレイできるようになるなど、スタンダードモデルの性能が従来よりも底上げされている。
Proモデルはチタニウムボディ採用
Proモデルはサイズが変わったものの、デザインテイストはiPhone 15 Proから変わらず、引き続きチタニウム製のボディを採用している。
カラーバリエーションとしては、「ブルーチタニウム」が廃止され、代わりに「デザートチタニウム」が採用されている。また、「ナチュラルチタニウム」「ホワイトチタニウム」「ブラックチタニウム」についても、名前は同じもののやや色味が変化している。
ディスプレイサイズが大きくなったことなどにより、サイズも重量も大型化している。
iPhone 16 Proは149.6×71.5×8.25mmで199g。前モデルのiPhone 15 Proは146.6×70.6×8.25mmで187gだった。
iPhone 16 Pro Maxは163×77.6×8.25mmで227g。前モデルのiPhone 15 Pro Maxは159.9×76.7×8.25mmで221gだった。
スタンダードモデルはサイズ据え置きもやや軽量に
iPhone 16/16 Plusは、iPhone 15世代とサイズなどはほとんど変わっていない。
iPhone 16は147.6×71.6×7.80mmで170g。前モデルのiPhone 15はサイズはまったく同じだが、重さは171gだった。
iPhone 16 Plusは160.9×77.8×7.80mmで199g。前モデルのiPhone 15 Plusはサイズは同じだが、重さは201gだった。
ボディの素材は引き続きフレームがアルミニウムで、全面がセラミックシールドガラス、背面がカラーインフューズドガラス。
カラーバリエーションは青系の「ウルトラマリン」、緑系の「ティール」、前モデルより鮮やかになった「ピンク」、従来はなかった「ホワイト」、前モデルと同じ「ブラック」の5種類。
通信機能としては新たにWi-Fi 7に対応
iPhone 16シリーズは4モデルともに2×2 MIMOのWi-Fi 7に対応する。また、iPhone 15世代ではProモデルのみの対応だったIoT機器向けのメッシュ通信規格「Thread」には4モデルすべてが対応する。
一方、iPhone 15シリーズではProモデルのみ対応だった2周波GPSは、iPhone 16シリーズでもProモデルのみの対応となる。
コネクタはiPhone 15世代同様にUSB-Cを採用する。ただし最大10GbpsのUSB 3の高速通信はProモデルのみが対応。スタンダードモデルは最大480MbpsのUSB 2。いずれのモデルもDisplayPort規格の映像出力が可能。
このほかのBluetoothや衛星経由の緊急通報などの通信機能は従来モデルと同等だが、対応バンド表によると、LTEのバンド46(5GHz帯のUnlicensed LTE)の対応表記がなくなっている。
ジャケットケースは互換性なし。ワイヤレス充電は強化
Proモデルはサイズが変更され、スタンダードモデルはカメラ周りのデザインが変わり、さらにいずれのモデルも側面にカメラコントロールが追加されたこともあり、ジャケットケース製品には互換性はない。
純正のジャケットケースのカメラコントロール部には導電層を重ねたサファイアクリスタルが使われ、ジャケットを装着した状態でもカメラコントロールが使えるようになっている。
iPhone 16シリーズの4モデルはいずれも最大25WのMagSafe充電に対応する(30W以上のアダプタ使用時)。MagSafeだけでなくQiやQi2とも互換性がある。
Apple Watch Series 10は画面サイズの大型化と薄型・軽量化
Apple Watchは新モデルとなるApple Watch Series 10が発表された。価格は5万9800円から。
Series 9に比べると画面サイズの大型化や素材・デザインの一部変更、薄型化がなされ、比較的大きなモデルチェンジとなっている。
サイズは42mmモデルと46mmモデルの2種類構成。Series 9では41mmと45mmだったので、ディスプレイ面が若干大型化している。
ケース素材はアルミニウムとチタニウムの2種類となり、ステンレススチールは廃止された。
Series 9までのアルミニウムケースは、いずれのカラーでもマット処理だったが、Series 10では「ジェットブラック」のみ鏡面仕上げとなっている。「シルバー」と「ローズゴールド」は従来同様にマット仕上げ。アルミニウムはGPSモデルとセルラーモデルの2種類があり、価格は5万9800円から。
チタニウムは「ナチュラル」「ゴールド」「スレート」の3つのカラーバリエーションが用意される。いずれも研磨仕上げ。なお、チタニウムケースはセルラーモデルのみとなり、価格は10万9800円から。
薄型化・軽量化もアピールされている。Series 10の42mmは42×36×9.7mmで重さはアルミニウム・GPSモデルが30g、アルミニウム・セルラーモデルが29.3g、チタニウムモデルが34.4g。ディスプレイは374×446ピクセルで989平方ミリ。
前モデルのSeries 9の41mmモデルは41×35×10.7mmで、重さはアルミニウム・GPSモデルが31.9g、アルミニウム・セルラーモデルが32.1g、ステンレススチールモデルが42.3g、ディスプレイは352×430ピクセルで904平方ミリだったので、ディスプレイが大型化した一方で薄型化・軽量化している。
Series 10の46mmモデルは46×39×9.7mmで重さはアルミニウム・GPSモデルが36.4g、アルミニウム・セルラーモデルが35.3g、チタニウムモデルが41.7g。ディスプレイは416×496ピクセルで1220平方ミリ。
前モデルのSeries 9の45mmモデルは45×38×10.7mmで重さはアルミニウム・GPSモデルが38.7g、アルミニウム・セルラーモデルが39.0g、ステンレススチールモデルが51.5g、ディスプレイは396×484ピクセルで1143平方ミリ。こちらも軽量化されている。
Series 10の電池の持ちは通常仕様で最大18時間と従来モデルと同等。一方で充電速度が強化されていて、80%充電に従来モデルは約45分かかっていたが、Series 10は約30分となっている。
ディスプレイは大型化しただけでなく、斜めから見たときの視認性が向上している。一方で最大輝度は2000ニトで従来モデルと同様となっている。
センサー類としては新たに水深計と水温センサにも対応する。耐水機能は50mまでで防塵はIP6XとSeries 9と同等。
また、睡眠時無呼吸症候群を示唆する徴候を検出して通知する機能が新たに追加される。こちらの機能はSeries 9およびUltra 2でもOSアップデートにより利用できる。この睡眠時無呼吸症候群の検出機能も、ほかの心電図や心拍異常の検出機能同様、Apple Japan合同会社が日本の管理医療機器販売事業者等としての認可を受けている。
Apple Watch Ultra 2については製品更新されず、新色「ブラック」追加にとどまっている。Series 10は水深計と水温センサを搭載し、46mmモデルのディスプレイサイズはUltraシリーズより大きくなるなど、Series 10とUltra 2との性能差が小さくなった。
一方で通常利用でも最大36時間使える電池の大きさ、最大3000ニトの高輝度ディスプレイ、100mまでの耐水性能とMIL-STD 810H準拠の耐久性、グローブでも操作できるアクションボタンといったエクストリームスポーツにも耐える性能でUltra 2とSeries 10は差別化されている。
新モデルAirPods 4には通常版とANC搭載版の2種類
AirPodsの新製品「AirPods 4」は、通常モデルとアクティブノイズキャンセリング(ANC)搭載モデルの2種類が発売される。通常モデルは2万1800円、ANC搭載モデルは2万9800円。
AirPods 4はどちらのモデルもデザインは共通で、従来のAirPods同様、シリコン製のイヤーチップがない全硬質のデザインとなっている。形状は改善され、より多くの人の耳に自然にフィットするようになったとしている。
AirPods 4に搭載されているチップセットは、AirPods Pro 2と同じ「H2」で、空間オーディオやダイナミックヘッドトラッキング、通話時に周囲の騒音を消す「声を分離」機能、ハンズフリーでの「Hey Siri」起動などに対応する。
一方でANC搭載モデルのみ、アクティブノイズキャンセリングや適応型オーディオ、外部音取り込みモード、会話感知機能を搭載する。
ANC搭載モデルの充電ケースはアップルの「探す」に対応し、遠隔操作で音を鳴らして探すこともできるほか、Apple Watchの充電器もしくはQi規格の充電器が利用できる。USB-Cでの充電も可能。通常モデルの充電ケースは、USB-Cで充電する。
AirPods Proについては新製品は登場していないが、従来はAirPods Pro(第2世代)と表記されていた製品が「AirPods Pro 2」と表記されるようになっている。
AirPods Pro 2はiOS 18のソフトウェアアップデートにより、通話時に周囲の騒音を消す「声を分離」機能や「会話感知」機能が追加される。さらにAirPod Pro 2独自の機能として、目の前に居る人の会話を強調する聴覚補助機能も追加される。
この聴覚補助の機能は難聴をサポートするような機能で、聴覚チェック機能を持つアプリも提供される。この聴覚チェック機能でユーザーの聴覚のパーソナルプロファイルを作成し、軽度から中程度の難聴が認められる人向けに、処方箋不要の簡易的な聴覚補助機能が利用できる。
AirPods Maxについては、「ミッドナイト」「スターライト」「ブルー」「オレンジ」「パープル」の5つのカラーが登場する。
Apple Intelligenceは来月から順次展開
iOS 18.xの目玉機能である生成AIを使ったアシスタント機能の「Apple Intelligence」は、iOS 18.0には搭載されず、10月リリース予定のiOS 18.1やiPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1から提供される。当初はアメリカ英語でのリリースで、12月にはオーストラリアやカナダ、ニュージーランド、南アフリカの英語にも対応する。来年には日本語、中国語、フランス語、スペイン語などへの対応も予定されている。
また、当初提供されるのはApple Intelligenceの初期機能のベータ版で、その後、数ヶ月のあいだに順次機能が追加されていく予定となっている。
Apple Intelligenceが使えるのはiPhone 16シリーズとiPhoen 15 Pro/15 Pro Max、M1チップセット以降を搭載するiPadとMacとなっている。