レビュー
本日12日発売「Xperia 5 III」クイックレビュー
2021年11月12日 06:00
コンパクトなハイエンド
Xperia 5 IIIは、Xperia 1 IIIの姉妹機的な存在で、幾分コンパクトになったボディが特徴だ。ハイエンドモデルでディスプレイの大型化が一般的になる中、比較的コンパクトなハイエンドモデルといえる。
旧モデルとなる「Xperia 5 II」と比較すると、全長で1mm短く、厚さは0.2mm厚くなったが手に持った際に違いを感じるほどではないだろう。165×71×8.2mmというXperia 1 IIIと比べれば、より手に馴染みやすいと感じる人もいるだろう。個人的には。しっかり本体をホールドできるので「落としそう」という不安が少ないのは良いところだ。
望遠に強いカメラ
カメラ構成は、焦点距離16mmと24mmのレンズに加えて、70mm・105mmの可変式望遠レンズの3眼構成。実質的には4眼レンズとして使用することになる。画素数はいずれのレンズも1200万画素(12MP)だ。
数千~1億画素なども見受けられる昨今では、少々見劣りするようにも思えるが、これは実用域で求められる以上に画素数の高いセンサーを採用しないというソニーのこだわりの1つでもあるという。
カメラアプリは「Photography Pro」が搭載されている。ソニーのαやサイバーショットなどを使用しているユーザーにとってはおなじみのインターフェイスでXperia 5 IIIのカメラを扱える。
105mmレンズは、スマートフォンと考えるとかなり遠くの被写体を狙えるので、人によってはもうカメラはXperia 5 IIIだけで十分ということにもなりそうだ。
Xperia 1 IIIに搭載される3D iToFセンサーはオミットされており、リアルタイムトラッキングは利用できないが、ほとんど同等といえるオブジェクトトラッキングを備える。
スピーカーの性能の高さが素敵
ディスプレイは、HDR対応の有機EL。21:9のシネマワイドなアスペクト比は今回も健在だ。暗いところはしっかり暗く、しかし塗りつぶされておらずはっきりとした画を見せてくれる。
加えて、本体スピーカーの性能の高さも特筆に値する。ステレオスピーカーを搭載するスマートフォンは珍しくなくなったが、Xperia 5 IIIのスピーカーは左右のバランスが調整され、しっかりと本体の正面から音が聴こえてくるのを実感できる。なおかつ、高音~低音までくっきりとクリアなサウンドで音量を上げても音割れすることもない。
姉妹機となるXperia 1 IIIでは、構造の見直しで背面の共振の低下、音圧アップを実現しており、Xperia 5 IIIを一歩リードする性能を持っているということだが、それでも本機のスピーカーは、やはり高いレベルに仕上がっていると言える。
そんなメディアプレイヤーとして最適な性能を持つXperia 5 IIIだが、気になるとすればYouTubeのようなコンテンツを楽しむ場面だ。動画サイトなどでよくある16:9のコンテンツの場合は少々横の黒帯が目立ってしまう。
とはいえ、やはり映画とは相性の良い21:9ディスプレイだし、手に馴染むコンパクトさとコンテンツの迫力を犠牲にしない6.1インチというベストなサイズを実現しているボディであることには間違いない。
コンパクトなハイスペックが欲しい人に
本機は、Xperia 1 IIIとほとんど遜色のないカメラ性能を持つ。一方で、ディスプレイサイズはやや小さく、メモリーとストレージはダウングレードするかたちとなる。
Xperia 1 IIIとどちらにしようか悩むという方も多そうだが、価格や性能の違いをどう捉えるか。
美麗なディスプレイにハイクオリティなスピーカーは映像鑑賞にうってつけ。高いカメラ性能は、カメラはたまに使うくらいという人のメインカメラとしてはもちろん、写真を趣味とする人のサブカメラ的な運用にも応えられそうなクオリティ。希少なハイエンドかつコンパクトなハイエンドスマートフォンということで、気になる方はぜひ実機を手にとってみてはいかがだろうか。