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新経済連盟、スマホ新法の論点整理 問題行為や不当な制限の防止を訴え

 新経済連盟は、12月18日に施行予定のスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)に向け、同法の主要なチェックポイントを解説する勉強会を開催した。

 スマホ新法は、いわば独占禁止法の「スマホ版」ともいえる法律で、特定のモバイル市場における寡占・独占状況の是正を目的として昨年6月に成立した。4月にはアップル、iTunes、グーグルの3社が指定事業者に指定され、7月末までに各種命令やガイドラインが整備された。

独占的市場構造と問題行為の指摘

 新経済連盟は、モバイル市場の構造において競争上の課題が存在すると指摘する。携帯端末というハードウェアの上にOSが搭載され、そのOS上でアプリストアやブラウザが動作し、さらにそれらを通じてアプリが利用されるという多層的な構造の中で、OS・アプリストア・ブラウザが実質的にアップルとグーグルの寡占状態にあることが背景にある。結果として、両社が自社サービスを優先的に扱う傾向が生まれ、市場の歪みを生じさせてきたとする。

 新経済連盟は、2024年12月の公正取引委員会の検討会で、主に以下の3点を問題行為として挙げた。

高額な手数料とルール強制

 指定事業者がOSやアプリストアでの独占的地位を利用し、高額な手数料を課してきた点が指摘された。加えて、外部サイトへのリンク誘導に際してリンク経路や遷移先を制限したり、特定のAPIしか利用できないようにするなど、自社ルールを実質的に強要できる環境を整えていたという。

ビジネス条件に関する偏務的要求

 アプリ事業者がOS機能の利用を認めてもらう代わりに、指定事業者の自社サービスを利用するよう求められたケースがあったとされる。新経済連盟は、アップルやグーグルがOSやアプリストアに加え決済サービスなども提供していることから、自社サービスの普及を目的としたバーター的な要求だった可能性があるとみている。

OS機能の不当な制限

 アップルやグーグル自身が利用できる機能を、他社が利用できないよう制限する事例があった。たとえばメッセージングサービスにおいて、両社のサービスと他社サービス(SNSやRCSなど)との間で相互互換性が確保されていない点が問題視されている。

 また、通話履歴の扱いにも差があり、OS標準アプリでは他社通話サービス(LINEやFacebookメッセンジャーなど)の履歴が記録されないという不公平な状況が生まれていたという。

 新経済連盟は、こうした問題行為をいかに防ぐかが、スマホ新法の運用において極めて重要だと説明した。

新経済連盟の要請と運用上の課題

 新経済連盟は、法の実効性を高めるため、公正取引委員会に対して要請やパブリックコメントを提出した。特に、指定事業者が毎年提出する遵守報告書について、内容を明確かつ詳細にすること、初回報告を早期に行うことの重要性を訴えた。

 また、指定事業者が特別なルールを設ける際の根拠となる「正当化事由」については、対象を限定すべきと主張。その結果、セキュリティ、プライバシー、青少年保護、法令違反、端末の故障への影響といった項目が認められることとなった。

 一方で、新経済連盟はUI/UX(操作性・体験の統一)を理由とした制約には反対しており、同法ではUI/UXは正当化事由に含まれていないため、この理由による規制継続は認められないと述べた。さらに、正当化事由に該当することの立証責任は、指定事業者が負うべきだと指摘した。

 手数料についても、ガイドラインで示された「合理的な範囲・水準」という表現に対し、欧米では「無料」と明示された事例があることを引き合いに出し、日本の「合理的な水準」という表現の曖昧さを問題視。30%前後の手数料が「合理的」とされ続けないよう、今後は厳しい目で判断基準を見極めていく必要があるとした。

 また、欧米で手数料を取りにくくなった分を日本で補おうとするような「国際的な手数料の付け替え」は本末転倒であり、避けるべきだとも強調した。

法律の執行と今後の動向

 法律の執行にあたり、新経済連盟は、日本国外に本拠を置くアップルやグーグルに対しても確実に法を適用するため、公正取引委員会がしっかりと主導権を握ることが重要だと訴えた。

 また、公正取引委員会が直面する最大の課題として、指定事業者との間の「情報の非対称性」を挙げ、公正な判断のためには十分な情報が必要であると指摘。

 現時点では、同法の施行を機に国内企業が新たにアプリストアやブラウザを立ち上げる動きは見られないものの、外部課金サービスを提供する取り組みは一部で始まっているという。多くの企業は、法施行後にアップルやグーグルが外部決済に関する新しい規約や手数料体系を提示するのを待ち、その内容を踏まえて対応を検討している状況だと説明した。