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経済産業省、スマホとモバイルバッテリーの回収を義務化へ

 経済産業省は12日、モバイルバッテリーやスマートフォン、加熱式たばこを「指定再資源化製品」に追加指定する案を示した。今後、パブリックコメントを経て、事業者に回収が義務づけられるようになる。

 現在、スマートフォンやモバイルバッテリーは、業界団体による自主的な回収・リサイクルが中心。しかし、こうした取り組みには限界があるとの認識が「指定再資源化製品WG(ワーキンググループ)委員」から示され、より包括的で義務的な制度の必要性が指摘されている。

 モバイルバッテリーは、一般社団法人JBRCが2017年4月から自主回収ルートを整備し、回収量を大幅に増やしてきた。JBRC会員企業の製品は協力店や全国約730の自治体で回収されているが、リチウムイオン電池全般において、非会員企業の製品や変形・膨張したバッテリーは対象外で、安全確保の観点からも、対応方法の検討が続いている。

 また、リチウムイオン電池全体の回収量は2020年以降減少傾向にあり、企業独自の回収や有価取引の拡大が背景とみられる。JBRCは消費者への周知として、使い切った上での排出を呼びかけ、展示会やマスメディア、LINEやYouTubeを活用した啓発活動も行っている。

 スマートフォンについては、「モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)」が全国約8500店舗の携帯電話販売店で回収を行っており、22年間で約1億5000万台を回収した。しかし、リサイクル目的の回収率は9.4%と減少している。背景には、高機能化による長期保管、リユースや中古売却の一般化、製品価格の高騰、買い替えサイクルの長期化がある。MRNはロゴマークやホームページ、カタログ、取扱説明書での情報発信に加え、自治体との連携や店頭案内の強化を予定している。

 製品設計では、防水性や安全性の確保からリチウム蓄電池を簡単に外せる設計は難しいとされる。容易に解体できると非純正電池の使用による事故の懸念があるため、専門的な取り外しによって安全性を担保している。

 WG委員は、自主回収中心の現状には限界があり、とくにリチウム蓄電池を内蔵する一体型製品では安全性を確保しながら回収を促進する必要があると指摘した。その上で、レアメタルを含む小型リチウム蓄電池の回収量拡大という「資源性」と、リサイクル現場での発煙・発火リスク低減という「安全性」の両面から、指定再資源化製品への追加を提案。

 さらに、「資源有効利用促進法」に基づく自主的取り組みには限界があり、EUの欧州電池規則のような義務的な制度の検討が必要だと提言した。