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データ通信サービスの「重大事故」、基準を引き上げへ 総務省

 総務省の情報通信審議会は1日、データ通信サービスで障害が発生した際、国への速やかな報告と30日以内の詳細報告の義務が生じる「重大事故」の基準を引き上げる答申案をとりまとめた。本稿では、資料を基に内容を紹介する。

 現在、「1時間以上かつ100万人以上」に影響を与える事故が発生した際に事業者から国に対して報告が必要とされる基準を「1時間以上かつ10万人以上」に引き上げる。音声通信サービス(緊急通報除く)と同等の基準となる。米国では、データ通信サービスは事故報告の対象外となるが、英国やドイツ、フランスなどでは音声通信とデータ通信で同一の報告基準が定められているなど、各国で対応は異なる。

 答申案では、この10年でモバイルデータ通信の契約数はおよそ1.5倍に増加したことやデータ通信サービスの上で展開されるSNSやアプリなどの利用率はこの9年で増加傾向にあることなど、データ通信のインフラとしての地位が高まっていることを指摘。多くのユーザーに影響を及ぼしたと考えられるものの、報告基準に満たない事故が散見されることなどを踏まえて、基準の見直しに至った。

 このほか、メールやテキストメッセージを無料で提供するサービスで、月間アクティブユーザー数1000万人以上の規模の場合、「12時間以上100万人以上」もしくは「24時間以上かつ10万人以上」とされる現行の「重大な事故」に該当する基準を「2時間以上かつ100万人以上」もしくは「4時間以上かつ10万人以上」に引き上げる。

 基準を引き上げた場合、報告義務の生じる事故が増えるため、事業者の負担が増加する。答申案では、事業者の事務負担軽減や合理的な資源配分への配慮として、再発防止のために必要な点は詳細な記述を、必要度合いが低い事柄については簡易な記述もしくは不要とするなどのガイドラインを設定すべきとされた。