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初音ミクも登場、NTTの最新技術てんこ盛り「超歌舞伎」が歌舞伎座で上演中

東京・歌舞伎座

 NTT(持株)は、松竹が東京・歌舞伎座で上演している「超歌舞伎」に、次世代ネットワーク構想「IOWN(アイオン)」などによる新たな舞台演出を提供している。

 超歌舞伎は「十二月大歌舞伎」の中の演目「今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)」として上演され、佐藤四郎兵衛忠信を演じるのは中村獅童、美玖姫を演じるのはバーチャルキャラクターの初音ミク。十二月大歌舞伎は12月26日に千秋楽を迎える。

 超歌舞伎が初めて上演されたのは、2016年4月の「ニコニコ超会議2016」。以降は京都南座などでも上演され、8年目となる今回、歌舞伎座における初公演が実現した。

 超歌舞伎では、NTTが3月に提供を開始した次世代の通信ネットワーク「APN IOWN1.0」を活用することで、リアルタイムでのCG演出を実施。APNで接続された遠隔地における演者の動きを、リアルタイムで歌舞伎座の舞台上のCG(初音ミク)に反映させる。これにより、初音ミクと共演者による息の合った演出が実現する。

 また、APN IOWN1.0を用いた演出は、開演前や幕間の「裸眼XRあいせき」にも適用される。対象のチケットを購入した人が体験できるサービスで、特別なゴーグルなどを装着せずに、鏡の中でリアルタイムに反応する初音ミクとのやり取りを楽しめる。

(C)CFM
じゃんけんのリクエストに応じ、チョキを出す初音ミク(C)CFM
「歌舞伎の決めポーズを」というリクエストにも対応(C)CFM

 今昔饗宴千本桜において登場する桜の木の映像には、NTTの「3D点群メディア処理技術」が活用される。LiDARセンサーから得られる点群データをもとに、リアルな空間を仮想空間上に再現。舞台美術を手掛ける中嶋正留氏の監修のもと、雄大さと繊細さをあわせ持つ桜の木が映し出される。

 “もうひとりの中村獅童”として登場するデジタルツイン「獅童ツイン」は今回、英語でのあいさつに初挑戦。NTTのデジタルツイン技術「Another Me」によって生まれた獅童ツインが話す英語は、中村獅童本人による少量の日本語音声に基づいてAIで生成したもの。NTTのクロスリンガル音声合成技術が活用されている。

 筆者は今回、実際に超歌舞伎を鑑賞した。伝統芸能と最新技術が融合した演出はもちろんのこと、観客も巻き込んで盛り上がる終盤の迫力に圧倒された。ぜひその魅力を歌舞伎座で体験してほしい。

NTTが手掛けるnwm(ヌーム)のイヤホンを用いたガイド解説があるので、歌舞伎初心者でも安心