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三木谷氏が本気で驚いた「楽天モバイル×楽天市場」のシナジーとは

 楽天グループは、ECサイト「楽天市場」の出店店舗を対象としたイベント「楽天EXPO2022」を、21日に開催した。

 リアル会場とオンラインでの同時開催となった「楽天EXPO2022」では、同社代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏による講演が実施され、講演は報道陣向けにも公開された。

 講演の内容は主に「楽天市場」に関するものだったが、楽天モバイルと「楽天市場」のシナジー効果も紹介された。そこで本稿では、モバイル分野に関する内容などをお届けする。

三木谷氏

エコシステムの拡大を推し進める楽天グループ

 講演の冒頭で、円安やコロナ禍などの昨今の情勢に触れ、「不確実な時代」と形容した三木谷氏は、「価値の再定義や、付加価値の創造が重要」と語る。

 デジタル化が進む社会において“付加価値”をもたらすものとして、同氏は楽天グループのエコシステムにまつわる数字を披露した。

 同グループの2021年度国内EC流通総額は5兆円にのぼり、実に5万6000店舗が「楽天市場」へ出店。また、「楽天カード」の発行枚数は2600万枚となっている。

 楽天グループのサービスに関して、グローバルでの利用者は16億人となり、サービスの数は70以上。「生活のすべてに関わっている」と、三木谷氏は胸を張る。

 7月には、ポイントプログラム「楽天ポイント」の累計発行ポイント数が3兆ポイントを突破。2002年のサービス開始以来、累計発行ポイント数は順調に推移している。

 楽天グループでは、「金融サービスとショッピングサービスのシナジー効果は特に大きい」として、決済サービス「楽天ペイ」や「楽天カード」「楽天銀行」などの金融サービスと、「楽天市場」の連携を強めている。こうした取り組みにより、“フィンテック経済圏”としての拡大を図っていく。

楽天モバイルに関連する数字は?

 講演のなかで三木谷氏は、楽天グループが力を入れている分野のひとつとして、楽天モバイルに関するさまざまな数字も披露した。

 2020年に“第4のキャリア”として携帯電話事業に参入した楽天モバイルは、ゼロから自社回線エリアの構築を進めてきた。2022年4月時点で、4G LTEの人口カバー率は97%に到達している。

 7月には新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」が発表されたが、発表以降、楽天モバイルの回線をメイン回線として利用するユーザーや、多くのデータ容量を使うユーザーが増えた、と三木谷氏。

 楽天モバイルをメイン回線として利用するユーザーは8.3ポイント増加。また、2022年6月のデータ使用量として、20GB以上使うユーザーは5.7ポイント増加したという。

 楽天エコシステムのユーザーを増やすうえで、楽天モバイルは重要な役割を果たしているようだ。

 楽天モバイルの契約者のうち、これまで楽天のサービスを利用したことがないユーザーの割合(累計)は、2022年6月時点で21.5%。楽天モバイルが、楽天のサービスへの“入り口”として機能していることをうかがわせる。

 逆に、楽天のサービスの既存ユーザーのなかで、楽天モバイルの認知度や存在感も高まりつつある。過去1年以内に楽天グループのサービスを利用したユーザーのうち、楽天モバイルを契約しているユーザーは、11.3%にのぼることが示された(2022年3月時点)。

 三木谷氏は、「楽天モバイルを契約すると、『楽天市場』でより多くの買い物をするようになる」というデータも披露した。

 2020年3月~2021年6月の楽天モバイルの契約者(1年以上の利用者)を対象とした調査で、「楽天市場」における年間流通総額は、楽天モバイルの契約後に54%増加している、という結果になった。

 「(この数字が出たとき)さすがに良すぎる数字なのではと思った」と三木谷氏。同氏が続けて「精査に精査を重ねたが、何度やってもこの数字になった」と語ったとおり、驚きを隠せない結果だったようだ。

 三木谷氏は、楽天モバイルユーザーの「楽天市場」利用率が約80%となっていることを受け、「残りの20%のユーザーに、『楽天市場』を使ってもらえるようにしたい」と語り、今後への意欲を見せた。

【お詫びと訂正 2022/07/21 23:27】
 記事初出時、「楽天ポイント」の累計発行ポイント数の推移に関して、「右肩上がり」と表現しておりましたが、的確ではないと判断し修正いたしました。お詫びいたします。