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楽天の三木谷氏「衛星通信サービスのスピードは最大2Mbpsに」、楽天イベントでの講演まとめ
2022年9月28日 13:22
楽天グループの代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏は、オンラインイベント「Rakuten Optimism 2022」に登壇し、メインキーノートとして講演を行った。
本稿では、講演の内容をお届けする。
「Rakuten Optimism」は、楽天グループが開催する最大級のイベント。「Rakuten Optimism 2022」は9月28日と29日の2日間で開催され、さまざまなジャンルに関する講演が実施される。
「Rakuten Optimism 2022」のテーマは「Tech & Green(技術と環境)」。三木谷氏は冒頭で、昨今の国際情勢や環境問題に触れつつ、世界中の誰もが同じ情報へ平等にアクセスできるインターネット技術の進歩について紹介。「テクノロジーを使って、いかに発展的に環境をキープしていくかということが大きな課題で、楽天グループとしてもそこに貢献していきたい」とコメントした。
楽天は1997年に、「楽天市場」でEC事業をスタートした。三木谷氏は、「今のコンピューターの性能がフェラーリだとすると、当時は三輪車くらいのパフォーマンス。でも、誰でも簡単にネットショップを開設できますよ、そしてそれを集めて商店街を作りましょう、というコンセプトでビジネスを始めた」と紹介した。
2021年には、国内EC流通総額が5兆円を突破。三木谷氏は、将来的には「この5兆円という数字が将来的に増えていくだけでなく、オンラインとオフラインの店舗の融合なども進んでいく」と期待をのぞかせる。
続いて同氏は、楽天グループにおけるデータ使用量の数字として、150PB(ペタバイト)という数字を披露。「天文学的な数字になりつつあり、その処理をするために、大幅な投資をしてきた」と語った。特に、大規模なセール「楽天スーパーSALE」では、1秒間の処理が約50倍になるという。
楽天グループ全体のエコシステムとしては、グローバルでの流通総額が約30兆円になる。累計の発行ポイントも3兆円分を超えた。
三木谷氏が「世界に有数のエコシステム」とアピールする楽天グループのサービスの特徴は、同じIDやポイントを通じて、カードや銀行、保険や証券といった、さまざまなサービスがつながっていること。同氏は今後について、「IDやポイントだけでなく、技術面でもプラットフォームをオープン化していきたい」と意欲を見せる。
楽天グループは、グローバルでビジネスを展開していくうえで、インド拠点の開発など、グローバル人材の採用などにも力を入れている。
三木谷氏は、楽天グループにとっての「大きな挑戦」として、楽天モバイルの事業を紹介。「楽天は特徴のある会社だと思う。新しいものにどんどん挑戦する、時には無謀と言われるようなプロジェクトにも取り組む」と語り、そのひとつが楽天モバイルである、とした。
楽天モバイルは「携帯市場の民主化」を掲げ、2017年に携帯電話事業への参入を発表。三木谷氏は、「楽天モバイルの参入以来、家計における携帯電話料金は下がっている」とアピールする。
続いて同氏は、「楽天モバイルが作っているのは『未来のネットワーク』。これは、たとえばエリクソンさんやノキアさんなどのように、いわゆる専門機器で使っていたネットワークを、基本的にすべてクラウドベースのソフトウェアに置き換えるもの」として、完全仮想化・クラウドネイティブなモバイルネットワークについて紹介した。
楽天モバイルの契約回線数は、2022年6月末時点で546万回線。三木谷氏は、「たとえばドコモさんのように、モバイルサービスを提供している会社が新しいエコシステムを作るような事例はある。我々はインターネットのエコシステムを持っていて、携帯のサービスを始めた。この逆流が、大きなシナジーを生む」と強調した。
楽天エコシステムにおけるモバイル契約者の割合は、2022年3月時点で11.3%。また、楽天モバイルの契約によって楽天市場における年間流通総額が増加しているというデータを披露した三木谷氏は、「エコシステムが完全に機能している」と自信を見せる。
100%のエリアカバーを目指す取り組みとして、楽天は、衛星を活用した「スペースモバイル」プロジェクトも進める。三木谷氏は、「山間部などでも電波をキャッチできるようなことを実現したい。また、これを世界に展開していきたい」と語った。
同氏は、すでに衛星の打ち上げに成功したこと、通信スピードはYouTubeを鑑賞できる2Mbps程度になると説明。
同氏は「衛星を打ち上げまして、今月中には」と発言したが、楽天モバイル広報によれば「スペースモバイルプロジェクトによる国内での商用化は、これまでの計画と変わらず2023年以降の提供となる。国内での試験も予定している。実施時期については案内できるタイミングでお伝えする。通信スピードについては、具体的には伝えていないが、インターネット接続やYouTubeを観る分には問題ないスピードを見込んでいる。通信については、今後の試験で検証していく」という。
通信インフラのグローバル展開を推し進めるべく、楽天が立ち上げたのが「楽天シンフォニー」。次世代モバイルネットワークに必要なソリューションをすべて自社開発しており、約115の顧客を相手にビジネスを進めている。
三木谷氏は続いて、通信会社向けのクラウドサービスや、テクノロジーを活用した医療分野での挑戦、楽天グループとしての環境問題への取り組みなどを紹介。「楽天グループは、Tech & Green(技術と環境)で日本と世界をリードし、人々と社会をエンパワーメントしていく」と語り、今後への意欲を見せた。