インタビュー

mineoはなぜ50GBコースを提供するのか、次の10年に向けた展望とは

 オプテージは3日、MVNOサービス「mineo」で新プラン2種と各種キャンペーンを発表した。

 2024年で10周年を迎えたmineo。2025年は新たに「やっぱり、mineoがいい。」というスローガンを発表。流動性高まるモバイル市場で、長く愛されるサービスを目指す姿勢をより鮮明に打ち出してきた。

今回発表の新プランにある背景と狙いはどこにあるのか。オプテージ モバイル事業推進本部 モバイル事業戦略部長 松田守弘氏、同 モバイル事業統括チームマネージャーの藤井啓治氏、同コンシューマーモバイル戦略チーム チームマネージャーの前田圭介氏に聞いた。

左から藤井氏、前田氏、松田氏

少し先を見据えた「50GB」

 今回、マイピタで発表された「50GBコース」は、月間データ通信容量50GBまで使えるmineo内で最大のデータ容量を利用できるプランとなる。

 松田氏は同プランの提供背景について、昨今の大量化が求められる傾向があることを説明する。「以前から、大きめのプランの必要性を考え始めていた。ユーザーの声としてもたくさんいただいていた」という。一方でマイピタはプランとしては月間20GBまでだが、オプションを適用することで、さらに多くの容量を使うこともできる。

 通信機器ベンダーのなかには、2030年における世界の月間平均データ使用量が、40GBに達するとの見通しを示しているところもある。動画視聴も広がり、スマホでの通信量は増える傾向にある。

 松田氏は、mineoの特長や伸びるデータ通信容量を踏まえて「今すぐに(大容量プラン)が絶対に必要という状況ではないのかと思いつつも、将来的には相当な大容量が必要になるということで50GBコースを新設した」と50GBという容量を提供する意義を話した。

 今回は「マイそく プレミアム」でも、従来の32Kbps~3Mbpsという通信速度から200Kbps~5Mbpsと高速化が図られた。平日昼は最大200Kbps、そのほかは最大5Mbpsという制限という制限があるものの、実質的に使い放題となる。一方でマイピタ 50GBコースでも1.5Mbpsに制限されるものの、使い放題となる「使い放題 Plus」が無料で利用できる。

 どちらを選択すればいいのか迷いそうだが、前田氏は「一番の違いは昼の速度制限。200Kbpsだが、あくまでスマホ決済などの利用でWeb閲覧や動画などを見ないユーザーに(マイそく プレミアムを)お使いいただきたい。会社員の場合、昼に(通信を)使う方が多いので、そういった方にはマイピタが良いのでは」と話す。

 藤井氏は「詳しい方なら『パケット Plus』など、オプションサービスで大容量を利用するというユーザーはマイそくに、それはちょっと難しいという場合はマイピタに、ということもあるかと思います」と語った。

 マイピタ 50GBコースでは、オプション「パケット放題 Plus」「パスケット」「夜間フリー」が無料で利用できるといった特典も付帯する。この狙いについては「mineoは価格と容量だけの勝負ではなく、独自価値を重要視してきた。『パスケット』や『パケット放題 Plus』は他社になく、50GBコースを出して終わりというだけでは、mineoの良さが見えないし、オプションを駆使すればいろいろとおトクになるということを体験してほしかった」(前田氏)のだという。

長く使ってもらうサービスを目指して

 mineoは2024年12月末時点で総回線数133万回線を突破した。法人向けサービスを中心に堅調な伸びが続いているという。そんなmineoの2025年のスローガンは「やっぱり、mineoがいい。」。松田氏は「これまでのmineoらしさも大切にしながら進化を続け、良さをしっかり感じてもらいたい」とスローガンに込めた思いを話す。

 mineoでは2024年、長くサービスを使ってもらうことを念頭に、通信速度の改善や長期特典の変更などを行ってきた。その取り組みの実感を松田氏は「裾野が広がる感じは少しづつ出てきた」と話す。独自のコミュニティサイト「マイネ王」の存在は大きく「なかなか浸透しにくい部分もある」(松田氏)というmineoの特徴を、伝える媒体としての役割を担っているという。

 2024年には、10周年を記念してリアルイベントも開催。現地参加は2700人を超え、ライブ配信も2万8000人ほどが視聴した。松田氏は「マイネ王などに参加していなかった方にも参加いただいたのかなと思う。『こういう(サービスが)あったんだ』という声も実際に聞けた」と松田氏。

 前年には、利用者特典制度の「ファン∞とく」も改定し「mineoコイン」の制度も開始した。使い道の広がりという点で好評だという。一方で「もっと使い道を増やしてほしい」という声もあるといい今後、使えるサービスを増やすなど、サービスのアップデートも検討されている。松田氏は「明確に示せるものは今はありませんが、しかし、mineoの特徴を感じてもらえる使い道はどんどん増やしていくのがいい」と話した。

 通信速度の改善についても「ユーザーが増えるなかでも一定の水準を維持する」として取り組みを続けている。松田氏は「ユーザー数もデータ使用量もどんどん増えている。コースも増やしていきたいと思っているので、そのなかでも通常の使い方なら十分という水準を、コストもおさえつつしっかり狙えるようにしたい」と考えを示した。

次の10年は?

 松田氏は「mineoの特徴はユーザーとの共創。そこを大事にしたい。しかしそれだけではなくベースの価値をしっかり高めたい。そのために(今回のような)新プランを出すなどしています。新しいニーズをしっかりとらえてサービス提供をしていきたい」と話した。

 前田氏は「いかにお客様にワクワクしてもらえるかが重要。単純に〇〇ギガ使えるというスペックだけではなく、いろいろな選択肢を用意して使っていただき『ファン』になっていただくというのがキモ。今後の10年もそこに取り組み進化させていきたい」と語る。

 通信キャリア間のユーザーの流動性は依然として高い水準という。大手サブブランドが30GB帯を強化する動きを見せ、さらなる大容量ニーズの顕在化など新たなトレンドも現れるなか、今後のmineoの動きに注目したい。