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楽天G 三木谷氏「楽天モバイル加入者は1.7倍多く買う」――加盟店向け新春カンファレンス

 楽天グループは27日、楽天市場加盟店向けに「楽天 新春カンファレンス 2022」を開催し、同社代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史氏が楽天グループの事業展開について講演した。

代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史氏

国内EC流通総額が5兆円を突破

 三木谷氏は、2021年に楽天グループの国内EC流通総額が5兆円を突破したことを取り上げ「1997年にスタートした(楽天市場の)サービスですが、同時に10兆円を目標にあげさせていただいた」とコメント。

 サービス開始当時のインターネット速度について「14.4kbps、考えると赤ちゃんが歩くようなスピードだったアナログ回線から今は光ファイバーや5G通信で、ワイヤレスでもギガスピードが出るところまで来た」とし、欧米と同じくらいのインターネットが普及している日本においてもECの割合は増えるのではないかという見解を示した。

 実際に2020年の世界のEC化率は17.8%に対し、日本は8.1%にとどまっている。また、国内のEC流通総額も、1兆円から2兆円の増加ペースよりも4兆円、5兆円突破のペースの方が早く、特に4兆円突破からわずか1年で5兆円を突破するという成長速度で拡大している。

 三木谷氏は「地方で働く人にも(ネットショッピングの利便性を考えるユーザーが)増えてくるだろうと考え、いずれEC化率20%に到達するだろう」とし、2030年を待たずして、EC流通総額10兆円の突破を目指すとコメントした。

楽天モバイルから楽天市場への環流が顕著に

 次に三木谷氏は、楽天エコシステムの中核となる「楽天モバイル」について言及した。

 楽天モバイルに加入したユーザーの「楽天市場における1人あたりの平均月間流通総額」を調査したところ、加入前と比較し約1.7倍に増額したという。三木谷氏は当初「正直言ってポイントをいっぱいあげてるから、それで買ってるのかな」という考えがあったようだが、そうではなく継続的な兆候が見られたという。

 楽天モバイルの契約数は急速に拡大しているといい、2021年12月末時点でMNO+MVNOの契約者数は約540万契約だという。

 発行枚数が2500万枚となった「楽天カード」と「楽天モバイル」の普及ペースを比較すると、楽天モバイルの方が約3倍のペースで普及しているという。三木谷氏は「(楽天モバイルの契約数が)2000万、2500万となり、その方々のほとんどが楽天で買い物をしてくれることは、夢物語ではない」と今後への期待を語った。

ライブコマース事業に注力

 再び楽天市場創設時のエピソードを語る三木谷氏は、「最初の月の売上が32万円で、そのうち私(三木谷氏)が18万円くらい使ってたので、実際の売上が月額14万円だった。現在は5兆円まで達成した。店舗の皆さんのお役に立ちたい、お客さんにも楽しんで頂こうという『ショッピングエンターテイメント』というのが基本的なコンセプト」とコメント。

 三木谷氏はまた「2006年にモバイルからの利用比率が将来的に70%くらいいきますよ、とお話をしたとき、皆さんちょっと『ぽかーん』とされていて、そんなことはないだろうと。それが、スマホの登場という革新的なこともあり今年の元旦のモバイル比率が88.4%と、90%近くがモバイルからの利用だった。みんな家にいる元旦でも、モバイルが中心になってきている」とし、モバイルを中心としたユニークな施策を実施しているという。

 その中で取り上げたのは、「ROOM」というサービス。ユーザーが楽天で購入したものや使ったものでよかったと思う商品をポスティングし、アフィリエイトになるという「ショッピングSNS」サービスで、三木谷氏によるとROOMからの購入者数が2年間で2.5倍に成長したとした。Instagramからのリンクや、インフルエンサーの利用も増えてきており、今後このようなプラットフォームに力を入れていくと方針を示した。

 これを踏まえ、米国でも急成長している「ライブコマース」や「送料無料ラインの統一」「AIによる店舗運営の最適化」といった事業を紹介した。

 講演ではこのほか、ドローンや自動配送ロボットによる配送サービス、楽天グループ全体で再生可能エネルギー使用率100%を目指す旨などが披露された。

【訂正】
5兆円の数字について「インターネットショッピングの流通総額」(三木谷氏発言ママ)と記載していましたが、楽天グループ広報部より「国内EC流通総額」が正しい文言という案内があったため、記載内容を改めました。