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KDDI高橋社長「povo 2.0はユーザーをアプローチし続けられる料金プラン」、発表会の質疑まとめ

 KDDIは13日、新製品発表会を開催し、基本料0円「povo 2.0」や、5G関連の新たな取組みなどが発表された。

 本記事では、発表会での主な質疑をご紹介する。

 回答者は、KDDI 代表取締役社長の高橋 誠氏(高ははしご高)、執行役員パーソナル事業本部サービス統括本部副統括本部長の繁田 光平氏、事業創造本部ビジネスインキュベーション推進部部長の中馬 和彦氏、KDDI Digital Life代表取締役社長の秋山 敏郎氏の4人。

左から、KDDI 中馬氏、高橋氏、繁田氏、KDDI Digital Lifeの秋山氏

基本料金0円の「povo 2.0」

――povo 2.0について、想いや今後の展開を詳しく。

高橋氏

 料金プランについては、原点から考えていきたいということで、今までの料金になかったような「オプション」ではなく、トッピングという形となった。

 最初のpovo1.0を始めてみまして、お客様の反応を見ますと、結構いいんですよね。やはり、自分で自在に料金を作っていけるって、これ結構いいなと思いまして、その頃からCircles Life(サークルズライフ、povo提供にあたりKDDIが提携したシンガポールの通信事業者)さんともいろいろお話をして、これ進化やっぱりさせていかなきゃいけないなという風に思いました。

 料金について、さまざまご指摘をいただき、契約をご締結いただくところまで結構すごくフォーカスでやってきたんですよね。で、その後は2年間を使い続けていただければいいって、こういうスタイルのものをやってきたんですけど、やっぱりどうしてもやりたかったのが、契約をしてからそのお客様のことをちゃんと理解をして、お客様にずっとアプローチし続けるような、そんなプランにしたいなあっていう思いがあったんですね。

 で、それを続けていくと基本料金を0円でスタートして、その後にいろんなトッピングで、お客様にいろんなアプローチをしながら使い続けていただけるようなものが本来のサービスの形の一つなのかなと思っています。

 トッピングの種類について、データ容量の料金などは自社で作ったんですが、実はパートナーさんと一緒に、トッピングを作り上げるっていうのをすごくやりたかったんですよね。それは今までお世話になっている加盟店さんであるとか、もう1つはスタートアップの方々です。

 スタートアップの皆様から続々と面白いアイデアが出てきまして、現時点では黄色い傘や電動キックボード、モバイルチャージだけでしたけれども、これまでにたくさんのアイデアを頂いたので、ご期待頂ければなというふうに思っています。

KDDI 代表取締役社長の高橋 誠氏

――「povo 2.0」について、利用者側にリテラシーが求められると感じる。せっかく契約したのに継続利用されなかったり、ユーザーが増えなかったりするのではと感じる。今後利用を広げていく施策などはあるか?

高橋氏

 ある程度リテラシーが必要なプランなのかも知れませんね。

 もちろん、SIMだけ契約して一切利用がない場合もあるかもしれません。

 今回のpovo2.0については、実は2つの層に分かれていくんじゃないかなと思うんですよね。

 1つは本当にアクティブに使って頂ける層、そしてあまり利用されない層。契約いただいてから、お客様にアクティブにお使い頂くということがすごく大事だと思ってるんです。

 で、このアクティブにお使いいただくために、通信会社だけがこう旗を振っていかなければならないと思っていて、たとえば「生活動線の中でpovoを見つけたら、ギガがもらえるなど、お客様にアプローチする、色々な接点を広げていくことが、わかりやすいプランに繋がるんじゃないかなって思いもあります。

 この辺りは本当に我々の1つの挑戦だということで、いろんな方に、アイデアをいただきながら、povoを盛り上げていくのが1番お客様につながるということで、挑んでいきたいと思います。

――povoについて、ある程度2回線目の需要みたいなものは想定されているのか

秋山氏
 おっしゃるとおり、そういった使いかたも可能かというふうに思います。使い方については、お客様の生活スタイルに応じてということになると考えております。

――トッピングは自動更新されるのか?

秋山氏
 当初は、お客様自身でコントロールいただくという形でスタ―トさせていただきたい。

 自動更新機能については、今後、お客様の声を聞きながら考えたいと思っております。

KDDI Digital Life代表取締役社長の秋山 敏郎氏

――3月に開始した「povo 1.0」。今から振り返ってみると、値下げ圧力で「付け焼刃的」というか、その場しのぎで出したプランなのかなという気がするが、今回の2.0はむしろ、KDDIがやりたかったことの本命のプランなのかなという気がする。この一年振り返ってどんな感想を持たれているか?

高橋氏

 povo 1.0については、決して付け焼刃的に作ったわけではなく、一生懸命考えてオプションではなくトッピングという形で、お客様との接し方をもう一度見つめ直した結果の1.0です。今回は、それが進化した形の2.0というふうに、お取りいただきたいと思います。

 今年は結構本当にいろんなことがあって、政府からの要請もあって、色々やって来たんですけれども、「値下げ」自体はお客様の為になるっていうことは当然なんですけれども、経営としては、減益のインパクトありますので、まあこれはあの新規事業とかコスト削減によって、増収を目指していくというふうには思います。

 で、ただ楽天さんが入られてきた時からずっと思ってるんですけど、事業者間の競争こそが、お客様への良いサービスを提供することに繋がるというふうに考えて、やってきました。ただ、我々としても、お客様目線を失いがちであったのかなというふうに思いまして、そういう意味においては、いろんなご指摘が「お客様第一に考える」原点を見つめ直す良い機会を与えてもらったかなというふうに思っています。

 今回のpovo2.0っていうのは、ご契約いただいてから、お客様と本当に近く接していろんなご提案をしていくというプランなので、原点を忘れないようにしていこうと思いますので、この辺りはポジティブに考えながら、対応して行きたいというふうに思っております。

KDDI 代表取締役社長の高橋 誠氏

――povo 2.0の契約数目標などはあるか? auやUQ mobileとどう差別化を図っていくか?

高橋氏

 差別化のポイントは、(povoは)Web専用プランなんですよね。auやUQの契約スタイルと少し違うので、まあそういう意味においては、若干リテラシーが必要なのかもしれませんけれども、そういう意味でちょっと違うターゲットのお客様に向いているサービスだと思います。

 具体的な数字は公表していないですけど、ずっともうちょっとで100万行きますといいながら、2.0の発表もあり大きなプロモーションは控えていたんですけども、実は今の所90万契約となっております。今から2.0がスタートしますので、2.0の目標値についてはコメントを差し控えさせていただきたい。

 povoについては0から始まって、お客様がお好みのプランに仕上げて頂けるという「0から君のやり方で」っていうことでありますし、UQについては、非常にシンプルなプランで打ち出しているほか、auでも新しいことを提案できるよう準備ししておりますので、ご期待いただければと思います。

スペースX「Starlink」との業務提携について

――スペースXとの提携について、今回au基地局のバックボーンの目的で提携というが、エンドユーザーに対するサービス提供などは考えているか? 楽天のスペースモバイルやソフトバンクのHAPSなどは、ユーザーへ直接サービスを提供することも考えているようだが。

高橋氏

 スペースXについては、IoTでの世界に向けて、法人向けなどで活用されるというのが元々のコンセプトになっていると思いますので、あくまでもサービス自体は「Starlink」という形になってくると思います。日本の国内市場については、我々がよくわかっていますので、「Starlink」さんとも話をしながら、スペースXさんと共に市場を広げていきたいというふうに思います。

 (エンドユーザーの)端末自体が直接、衛星へと繋がるということについては、ちょっと今の段階ではコメントはございません。この辺りはスペースXさんの構想などで、将来的には出てくるのかなと思います。

――スペースXとの提携で、まず全国1200カ所から順次導入を始めるということだが、山間部とか島嶼地域の基地局が1200カ所あって、そこから導入するということか。

高橋氏
 離島とか山間部とかに基地局を建てようとすると、光ファイバーなどの伝送路を作らないといけないんですけど、コストの関係でそれほど太い容量の回線を設置することはできないんですね。

 今までも、衛星回線をバックボーンで作っているケースがありますが、それよりも格段に早いスポードを実現できるということなので、ここからスタートさせていきたいと思います。

 加えて、災害時のバックボーンについても苦労しまして、地域の通信会社やNTTさんに一生懸命再構築していただくのですが、時間が結構かかるんですね。これが、衛星、なおかつ大容量の通信で実現できるということは、災害時にも非常にメリットがあると思いますので、それこそ「ずっともっと繋ぐぞ。au」というコンセプトに応じて、よりよいネットワークができるんじゃないかと思います。

KDDI 代表取締役社長の高橋 誠氏

――スペースXとの提携の経緯について、具体的な経緯を詳しく。

高橋氏
 スペースXの幹部の方に数年前にお会いした際、日本における地上局の話になり、衛星と地上をつなぐ地上局がどうしても必要で、インテルサットやインマルサット、イリジウム(KDDIの衛星通信/電話サービス)の経験もありますので、このあたりからお話をし始めました。

 我々自体も、衛星に対して夢を持ってやってきたし、僕自身もイリジウムがスタートしたときの立ち上げメンバーだったんですよね。それで全世界をカバーするとすごく夢があるなというふうに思いまして、ぜひとも日本でサービスをスタートさせるときにご一緒させていただきたいという話をしました。

 今や1500基の低軌道周回衛星が地球上を回っているという本当に夢のような話なので、このプロジェクトにはぜひとも参加したいなと言う思いでこの1年間は話を進めてきました。

 今回、基地局のバックボーンとして使わせていただくことと、地上局で連携させていただけるのは、非常にありがたい話だと思っております。今後も会話を続けて、事業の幅を広げていければありがたいというふうに思っております。