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HAPSモバイルの“基地局搭載”航空機、成層圏飛行とLTE通信に成功

 ソフトバンク子会社のHAPSモバイルは、成層圏通信プラットフォーム向けの無人航空機「サングライダー(Sunglider)」が成層圏での飛行に成功したと発表した。飛行中、成層圏からLTEで通信することにも成功した。

 同社では、無人航空機に基地局を搭載し、成層圏から携帯電話のサービスエリアを構築する事業の実現を目指している。

 今回で5回目となったテストフライトは、米国ニューメキシコ州のSpaceport Americaで実施された。総フライト時間は20時間16分で、離陸前に充電したバッテリーとソーラーパネルでの発電だけでフライトを完結させた。

 20時間のうち、約5時間38分が成層圏での滞空時間で、最大風速58ノット(秒速約30m)、最低気温マイナス73度という環境で無事、飛行に成功。

Sungliderの模型

成層圏でのLTE通信も

 さらにLoon社と共同開発した成層圏対応の無線機(ペイロード)によるLTE通信にも成功した。

 ペイロードは一式約30kg。飛行中にMIMO対応のLTE通信を約15時間(成層圏では5時間38分)実施した。

 テストフライト中のサングライダーからは、700MHz帯(LTEバンド28)のサービスリンクで地上の端末と接続。サングライダーと地上のゲートウェイは、70~80GHz帯でフィーダーリンクが構築された。

 地上にいたスタッフは、普段使っているスマートフォンからサングライダーに接続し、低遅延かつ高解像度なビデオ通話を実現できた。ビデオ通話には、インターネットの父とも呼ばれ、グーグルのバイスプレジデントでチーフインターネットエヴァンジェリストのビント・サーフ氏と、日本のインターネットの父と呼ばれる村井純氏がHAPSの意義、ネットの未来を語ったという。

【お詫びと訂正 2020/10/09 9:29】
 記事初出時、フィーダーリンクの周波数帯の単位を誤って記述しておりました。お詫びして訂正いたします。