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楽天モバイル、法人向け生成AI「Rakuten AI for Business」 使いやすさを武器に普及図る

 楽天モバイルは、法人向け生成AIサービス「Rakuten AI for Business」の提供を開始した。企業におけるAI導入の障壁を取り除き、ユーザーの拡大を目指す。

左から楽天グループ 専務執行役員 CAIDO(Chief AI&Data Officer)ティン・ツァイ氏、楽天モバイル 代表取締役会長 三木谷浩史氏、同 代表取締役 共同CEO 鈴木和洋氏

ビジネスをサポートするAI

 Rakuten AI for Businessは法人向けの生成AIサービス。ユーザーの質問に対して、AIがチャット形式で回答する。メールの作成や資料の作成、翻訳、アイデア出しなど幅広い用途で利用できる。

 楽天が培った知見をもとにした、使いやすい機能をそなえるほか、法人利用に必要なユーザーの監視、セキュアな環境などの特長を備えている。

 1ライセンスあたり初期費用は無料、月額利用料は1100円で入力・出力含めて10万文字まで。10万文字以上の利用は1000文字あたり11円が発生する。サービス開始にあわせ、30日無料のキャンペーンも実施される。

使いやすさでアピール

 楽天モバイル代表取締役共同CEOの鈴木和洋氏は、これまでの企業におけるAIには導入の課題があったと指摘する。導入自体の難しさや環境構築、価格の分かりづらさ、企業利用に不可欠なセキュリティの設定、利用の監視なども欠けていたと話す。また、試験的に導入したものの、社内利用が広がらないケースもあったという。

 今回の新サービスは、こうした従来の企業向けAIサービスが抱えていた課題を解消する。製品を提供するほかに、楽天自身が使用して培ってきた知見をもとにしたコンサルティングサービスもあわせて受けられる。環境構築は不要で、パソコンだけではなくスマートフォンでも同じく利用できる。楽天モバイルの回線契約は必須ではないというものの、鈴木氏は「楽天モバイルの高速・低価格・高品質な回線でRakuten AI for Businessを使うことで大きな価値を生む。楽天モバイルの回線とともに提案していいきたい」と話した。

 さらに、NGワード登録機能で社内の機密情報を、NGワードとして登録してAIへ送信しないようブロックできる。「プロンプトテンプレート」は、鈴木氏おすすめの機能。営業職や企画・マーケティング職、事務職などそれぞれの職種にとって使いやすい、AIへ支持するための文章「プロンプト」が複数用意される。楽天が示す資料によれば、営業資料の作成時間は1件あたり48%削減、ビジネスメールの作成は54%の削減につながるという。

 楽天モバイル エンタープライズ・ソリューションビジネス本部 副本部長の西垣裕文氏は「企業でAIを導入した話は聞くが、3カ月後くらいに話を聞くとパイロット導入で終わってしまっている。実際のビジネスに本格的に使われる段階ではないということが多い」と話す。現場で使いやすいプロンプトがないことが要因のひとつとして、楽天の社内での経験をもとにしたプロンプトを提供することで、活用できる機会を増やすことを狙う。また、セキュアな環境で運用されているといい、すべて日本で制御できるという。

 楽天グループ 専務執行役員 CAIDO(Chief AI&Data Officer)ティン・ツァイ氏は「AIによりビジネスが生産的に効率よく収益性を高められるよう支援していく」とRakuten AI for Businessを提供する意義を話す。また、今回の法人向けサービスのほかにも、コンシューマー向けのAIサービスも進めていく考えを示した。