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アンカーが日本独自モデルで蓄電池事業をスタート、ソーラーパネルを含めて一気通貫で取り組むねらいは

アンカーが日本独自モデルで蓄電池事業をスタート

 アンカー・ジャパンは29日、家庭用蓄電池「Anker Solix XJ」シリーズを発表した。価格は、蓄電池単体で100万円後半~300万円弱としており、これに工事費や太陽光パネルなどの諸費用がかかる。

 これまでモバイルバッテリーやポータブル電源など、パワーサプライ製品を手がけてきた同社だが、今回はこれまでの製品よりも規模が大きく、高額な製品だ。加えて、今回の「Anker Solix XJ」シリーズは日本独自のモデルとして展開される。

 大きな挑戦となる今回の事業のねらいはどこにあるだろうか。

JET認証取得、15年間の製品保証

 「Anker Solix XJ」シリーズは、家庭用蓄電池と電力を制御するパワーコンディショナーがセットになったモデル。蓄電池は5000Wh、1万Wh、1万5000Whをラインアップしており、後から5000Wh単位で容量を追加できる(最大1万5000Whまで)。

 たとえば、5000Whでは余剰電力を蓄えておき、災害時など有事の際に冷蔵庫やスマートフォンの充電など最低限の電力を確保できる。1万Whでは、標準的な4人家族に最適としており、日常の使用電力をカバーできるだけでなく、有事の際は冷暖房を含み約2日間電力が供給できる。1万5000Whでは、オール電化の家でも十分に対応できるとし、有事の際に使える最大3日間電力を確保、太陽光発電効率が低くなる冬や梅雨時に活躍する。

 たとえば、4人家族で使用する場合、同社の太陽光パネルで発電し蓄電池で夜間使用分を充電することで、月間1万5500円分の節約になるという。

 蓄電池は、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用。電池パックごとに8つのセンサーを搭載し、製品の異常検知に優れ多重の保護機能を備えている。また、パワーコンディショナー内にも、電圧が高まると発生するアーク放電を素早く検出し、0.5秒以内に電力を落とす機能を備えている。製品は、国内規格のJET認証を取得している。

 製品には15年分の製品保証が備わっている。また、購入特典として、同社ECサイトで利用できる10万円分のクーポンや、家電製品が故障した際に修理費用を補償する「Ankerあんしんサポート」を10年間、同社ECサイトで送料無料特典などが利用できるAnkerマイレージプログラム「プライムパス」(1980円/年)を10年間無償で提供する。

 なお、3月末までに購入すると、同社のセキュリティカメラ「Eufy SolarWall Light Cam S120」(1万4990円)が進呈される。設置工事(1万5000円相当)も無料で実施される。

 蓄電池本体の大きさと重さは、5000Whが約670×600×150mmで約63.8kg、1万Whが約670×960×150mmで約113.8kg、1万5000Wh約670×1320×150mmで約163.8kg。IP65相当の防水防塵性能を備え、海岸から近い場所にも設置できる(海岸から500m以内の場合、保証期間が10年間になる)。

 蓄電池や発電機の状況は、スマートフォンアプリで確認できる。

パワーコンディショナー
蓄電池
左から5000Wh、1万Wh、1万5000Whの蓄電池。左上はパワーコンディショナー
奥行150mmなので、狭い敷地でも起きやすい
発電と使用のイメージ
設置イメージ

見積もりから工事までアンカーが窓口に

 導入は、同社のECサイトや直営店(東京、大阪)で相談できる。ECサイトでは、設置場所や世帯、屋根の形状などを入力すると、簡易見積もりができる。その後、正式な見積もりのために現地調査(無料)が行われ、契約、設置工事のフローで進む。実際に利用できるまで最短1カ月だという。

設置までのフロー
簡易見積もり画面のイメージ

 設置工事は、同社のパートナー企業が担う。実際の設置可否や追加で工事が必要になった場合なども含め、アンカーを通じて電話やメール、LINEで連絡できる。

 「Anker Solix XJ」と組み合わせて使用できるソーラーパネルは、同社製の製品を推奨しているが、他社製品でも対応していればそのまま接続して使用できる。また、発電した電力を売電する際の分電盤など、同社製以外の製品とあわせて使用でき、その工事も「Anker Solix XJ」設置工事の中で実施できる(できない場合もある、別途工事費)。

導入障壁を低くし拡大を図る

アンカー・ジャパン代表取締役CEOの猿渡歩氏

 アンカー・ジャパン代表取締役CEOの猿渡歩氏は、今回の参入について「挑戦だと思っている」とコメント。同社グループの本社Anker Innovationsが深圳証券取引所に2020年に上場したことに加え、パワーサプライ製品やフルワイヤレスイヤホンの出荷台数などで上位に食い込むなど市場で大きなシェア持っており、企業として安定してきたと指摘。15年間という長期の製品保証についても、しっかりと実現できるとした。

 家庭用蓄電池導入の狙いについて「昨今の電気代高騰や災害の増加などで、市場としても需要が非常に高くなってきている。製品の差別化やサービスでユーザーにとってわかりやすいものをやるというところにチャンスがある」と説明。自治体の補助金申請などもサポートするといい、ユーザーの導入障壁を低くすることで、ユーザー獲得を狙っていく。

 今後は、ECサイトや直営店だけでなく、ハウスメーカーなどパートナーと展開することを模索しているという。また、現状は電気自動車への充電やスマートホーム機器との連携機能は無いが、今後検討していくとしている。