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KDDIが中期経営計画を発表、「通信とライフデザインの融合」を引き続き推進

 KDDIは、2019年度から3カ年の中期経営計画を発表した。2018年4月に高橋誠氏が同社社長に就任して以来、事業戦略の核として繰り返し伝えられてきた「通信とライフデザインの融合」をはじめとして、5G時代に向けた取り組みなど事業戦略の方向性を定めた。

 事業戦略の方向性としては、「5G時代に向けたイノベーションの創出」「通信とライフデザインの融合」「グローバル事業のさらなる拡大」「ビッグデータの活用」「金融事業の拡大」「グループとしての成長」「サステナビリティ」の7つが示された。

5G時代に向けたイノベーションの創出

 同社は、2019年9月に5Gプレサービスを開始、2020年3月末までに5G本サービスのための端末販売を開始する計画。世界的に5Gでの利用が見込まれる周波数帯(グローバルバンド)を含む計600MHz幅の割当を受けており、ネットワーク開発や端末調達のコスト面でのメリットが期待される(関連記事)。

 5Gを活用した事業展開のビジョンとしては、パートナー企業との連携によるスマート工場、自動運転、遠隔医療といったイノベーションの創出や、IoTを活用した地方創生などに取り組む。

 同社では既に5GとIoTのビジネス開発拠点となる「KDDI DIGITAL GATE」を2018年9月に開設しているほか、2019年4月には、地方のベンチャー企業を支援し5Gを活用したビジネスを推進する「地方創生ファンド」を設立した。

通信とライフデザインの融合

 「通信とライフデザインの融合」とは、通信事業を核として、コマースやエネルギー(auでんき)、金融といった新しいライフデザイン領域の事業を拡大していくというもの。

 通信とライフデザインの融合に取り組む意味として「ライフタイムバリューの最大化」が挙げられる。通信を中心に複数のサービスをあわせて使ってもらうことで、ARPA(1契約あたりの収入)を上げると同時にユーザーとのつながりを強め、解約率を抑えながら持続的成長につなげるという考え方だ。

 これまでの取り組みで言えば固定回線とのセット割である「auスマートバリュー」に近い考え方で、「ライフデザイン版のスマートバリュー」のようなものだと説明する。

 具体例としては、200万契約に到達した新電力の「auでんき」のユーザーは、通信サービスのみを利用しているユーザーと比べて解約率が半減しているという。

 Wowma!やじぶん銀行、auスマートパス、au WALLET クレジットカードについても同様に、通信単独の契約と比べて高い継続率を示している。

金融事業の拡大

 ライフデザイン領域の中でも今後重点的に取り組む分野として、金融事業の拡大という目標が掲げられている。4月にはKDDIグループの金融関連会社をまとめる持株会社「auフィナンシャルホールディングス」を設立した。

 au WALLETを中心に、スマートフォン決済の「au PAY」や保険、投資運用、証券などのサービスを束ね、スマートフォンからあらゆる金融・決済サービスを利用できる「スマートマネー構想」の実現を目指す。