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ソフトバンクGの孫氏が見せた自信と笑み、OpenAIのサム・アルトマン氏やArmのレネ・ハース氏を迎えて語った「AGI」社会への一手とは
2025年2月4日 00:00
ソフトバンクグループとOpenAIは、企業ごとのシステムやデータを安全に統合し、カスタマイズされた企業向けAI「クリスタル・インテリジェンス(Cristal Intelligence)」の開発・販売に関するパートナーシップを発表した。さらに、ソフトバンクグループはOpenAIの製品を全グループ企業に展開するため、年間30億米ドル(約4500億円)を投じ、大規模にクリスタル・インテリジェンスを導入することを発表。
加えて、日本企業向けに最適化されたクリスタル・インテリジェンスの提供に向けた、両社の合弁会社「SB OpenAI Japan」を設立することで合意した。
企業向けAI「Cristal」と合弁会社「SB OpenAI Japan」 日本から世界へ展開
ソフトバンクグループ代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏は、企業ごとに大量のデータが存在し、それを活用することでトレーニングや推論が可能になると述べた。そのうえで、「AGI革命は大企業の中で起こる」との見解を示し、大企業向けの最先端AIを世界で初めて日本から展開することについて、サム・アルトマン氏と合意したと発表。また、このAGIは企業にとどまらず、医療、政府、教育など、あらゆる分野へと拡大していくと語った。
孫氏が重要視する「長期記憶」
発表された企業向けAI「クリスタル・インテリジェンス」は、企業のあらゆるデータを読み込むだけでなく、会議や契約交渉にも参加する。
この際、長期記憶が重要となる。
例えば、会議では過去の議事録を記憶し、過去の情報とリアルタイムのデータをもとに、大雑把な質問に対しても適切なアドバイスや回答を提供できるようになるという。長期記憶を活用することで、AIは過去の経緯を踏まえた精度の高い判断ができるようになる。
孫氏は、自身が2015年に長期記憶に関する基本特許を取得していたことを主張し、この技術が強化学習や、クリスタル・インテリジェンスで重要な部分だと強調した。
データセンターは日本国内に
さらに、クリスタル・インテリジェンスは各企業専用のモデルとして運用されるため、学習に使用されたデータが他社のモデルに流用されることはない。また、学習に使用されるデータは「Stargate」の延長として、日本国内に拡張されるAIデータセンターに保存される。
一方で、クリスタル・インテリジェンスは企業ごとのチューニングが必要であり、導入に一定の手間がかかる。この課題に対応するため、ソフトバンクグループは今年中に1000人のセールス&エンジニアを「SB OpenAI Japan」に投入する予定。また、導入に関しては、まず1業種につき1社に限定して展開し、ノウハウを蓄積したうえで、順次ほかの企業へと広げていく方針を示した。
将来のAIエージェント
続いて、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏が登壇。o3-miniと、3日に東京で発表した「Deep Research」について説明した後、同社のジョシュ・トービン(Josh Tobin)氏がDeep Researchのデモを実施。その後、同社のマイケル・シャーデ(Michael Schade)氏が登壇し、カスタマーサービス向けのAIエージェントに関するデモを行った。営業のコンタクトフォームから送信された内容に対し、AIエージェントが対応し、相手の役職などを確認したうえで、Eメールを作成する様子が紹介された。
また、ArmのCEOであるレネ・ハース氏も登壇。レネ氏は、同社のAIプラットフォームではモバイルからクラウドまで共通のOSが使用されており、AIエージェントがさまざまなデバイスで動作し、AIエージェント同士でやり取りをするようになるだろうと述べた。