DATAで見るケータイ業界

市区町村の4割強は、キャリアショップがまったくない「空白地域」

 前回に引き続き、MCAの調査資料「キャリアショップの展開状況と店舗一覧 2024秋」から、キャリアショップの動向を探ってみたい。今回は、市区町村単位での店舗有無について、取り上げたい。

市区町村の4割強は、キャリアショップがまったくない「空白地域」

 キャリアショップは減少傾向が続いており、利用者にとって「近くに店舗がまったくない」状況は増加しているとみられる。そこで、市区町村単位でキャリアショップの有無を調査し、現況の確認を試みた。

 集計は、大手3キャリアのメインブランド店舗に対象を絞って実施した。そのため3社のサブブランド店舗や楽天モバイルの店舗は含まれていない。

 また、あくまでキャリアショップ(ドコモショップなど)を対象としており、量販店や併売店における販売窓口は考慮していない点はあらかじめご理解頂きたい。

上記枠組みで集計を行った結果、全国1892市区町村のうち、3社いずれもが出店している市区町村は797で、全体の42.1%だった。

 一方、キャリアショップがまったくない市区町村は787で、全体の41.6%を占めている。市区町村のうち、人口(2024年1月1日時点 住民基本台帳に基づく人口より。以下同)が1万人に満たない自治体が28.1%もあるため、経済合理性からやむを得ない側面もあろう。

人口10万を超える市の一部でも「出店していないキャリアがある」状況

 とはいえ、各社ともに単純に人口の多寡だけで出店を判断している訳ではない。

 出店していないキャリアがある市区町村を人口の多い順位に並べたところ、1位は神奈川県横浜市保土ケ谷区(人口20.3万人)だった。同区には、ソフトバンクとauのショップはあるものの、ドコモショップは出店されていない。同じく20.0万人の神奈川県横浜市南区は、1キャリアしか店舗がない状況だった。

 区部を除いた市町村でみると、大阪府羽曳野市(同10.8万人)や静岡県三島市(同10.6万人)、大阪府泉佐野市(同9.9万人)など、人口が10万人前後の市であっても、出店していないキャリアがある自治体が存在している。

 一方、鹿児島県大島郡和泊町(同0.6万人)には、3キャリアとも店舗を設置している。さらに、今回の調査では、人口が3000人台の村にキャリアショップが出店されているケースも見受けられた。

 通信キャリア各社は、常設の店舗がないエリアに対しても、臨時の出張販売や移動店舗、無人店など、さまざまな方法でサポートを行っている。撤退戦を繰り広げるなかで、各社による全国的な支援体制維持の取り組みにも期待したい。

関連リンク:
調査レポート「キャリアショップの展開状況と店舗一覧 2024秋」
https://www.mca.co.jp/itforecastreport/career-shop-2024-fall/

MCA:受託調査(カスタムプロジェクト)
https://www.mca.co.jp/service/customproject/

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/