【MWC Barcelona 2025 】
Orbic、「CAT(キャタピラー)」ブランドのタフネススマホを日本で製造へ
2025年3月7日 03:58
日本のオープンマーケットでスマホやKaiOS搭載のフィーチャーフォンを展開するOrbic(オルビック)は、「CAT」ブランドのライセンスを受け、端末の製造、販売などに乗り出すことを発表した。同ブランドの端末は英Bullitt社が手掛け、その一部は日本でも販売されていたが、経営破綻したことで端末の投入が途絶えていた。新たにOrbicがライセンスを取得して復活する。
MWC Barcelona 2025の最終日にあたる3月6日には、メディア向けの説明会が開催され、Orbic Japanの社長を務めるダニー・アダモポウロス氏が、CATブランドの端末を日本で製造していくことを明かした。端末の製造は、兵庫県に拠点を構えるジャパン・イーエム・ソリューションズ(JEMS)と米国のOrbic本社が担当する。
JEMSは、富士通グループから独立した会社なだけに、高耐久スマホなどの製造には一日の長がある。元々、Orbicが製造拠点の一部を日本に移す過程でJEMSを活用しており、CATブランドの端末にもそのパートナーシップを生かす方針だ。Orbic Japanのビジネス・ディベロップメント・マネージャー、島田日登美氏は「JEMSは高耐久や防水に知見があり、CATの工場にしたいと思っていた」と明かす。
アダモポウロス氏も、「要求は厳しく、各国の工場を検討したが、そこに今すぐミートできるのはJEMSだけだった」としながら、次のように語る。
「単に端末にロゴを貼るだけではなく、一緒に仕事している。CATが期待していることは、デザイン、落下テスト、MIL規格対応、カメラ、充電、バッテリーなどすべてに渡ってレベルが違う」
製造面だけでなく、コスト面でも日本で生産することが有利になるようだ。島田氏は、「円安もそうだが、(中国などから米国への)関税が高くなったので、その影響も大きい。今までの値段でやろうとすると、赤字が出てしまう」と打ち明ける。米国でドナルド・トランプ氏が就任して以降、各国に関税率を上げる措置を発動しているが、これもJEMSでの製造を後押しする形になった。
島田氏によると、製造したCATの端末は、CATとOrbicそれぞれの販路で販売し、世界155の国や地域に展開されるという。アダモポウロス氏は、「ここまでたくさんの端末を日本で作って海外に販売するのは、初めてのケースになるのではないか」と話す。JEMSには、そのロットを満たす生産能力も「ある」(島田氏)という。
当初は、「スマートフォンが2機種、フィーチャーフォンが1機種、タブレットが1機種」(アダモポウロス氏)というラインナップでスタートする。これに加え、米国向けのWi-Fiルーターも開発する。日本へのCATスマホの投入も「(本社からは)売れと言われている」(島田氏)という。キャリアへの納入も「これからがんばっていく」(同)方針だ。