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LINEヤフー決算、出澤氏「AIを起点としたマネタイズモデルを構築」

 LINEヤフーは8日、2025年度(2025年4月~2026年3月)の通期決算を発表した。売上収益は、前年同期比+6.2%の2兆363億6600万円、営業利益は同+8.3%の3413億2200万円、当期利益は+39.9%の2830億9000万円となった。

 決算では、代表取締役社長CEOの出澤剛氏が登壇し、同社の2025年度決算概況や、AIなど今後の取り組みなどを説明した。

代表取締役社長CEOの出澤剛氏

アスクル障害も増収増益を達成

 同社グループのアスクルでは、2025年10月にシステム障害が発生し、2026年2月の完全復旧宣言まで約4カ月間の長期にわたり影響が続いた。出澤氏は、この影響を受けつつも、増収増益を達成したとアピール。前年同期比で+6.2%、アスクルを除けば+13.3%の売上収益を達成した。

 全社では、事業成長と子会社の新規連結化が貢献したと説明。それぞれのセグメントを見ると、メディア事業ではアカウント広告の成長が検索広告の減収を補う形で売上収益は、前年同期比+0.4%の増収となった。LINEミニアプリでは、4月からデジタルコンテンツ課金機能を備えたほか、LINEアプリ上での導線も強化し、月間アクティブユーザー数も拡大しているという。

 コンシューマー向けのサブスクリプションプラン「LYPプレミアム」では、特典強化やNetflixとのセットプランなど機能を拡充した結果、キャリア特典を除く直接会員数は、前年比で28%増加している。

 コマース事業では、アスクルのシステム障害により減益となったが、子会社の連結化と既存事業の成長で増収を達成。Yahoo!ショッピングやYahoo!トラベル、ZOZOが増収に貢献した。今後、Yahoo!ショッピングでは課金モデルを「広告モデル」から「売上ロイヤリティモデル」へ転換するほか、AI対応を進め、収益モデルの改善と多様化を進める。

 戦略事業では、売上収益が前年比+30.6%と高い成長を達成。PayPayの連結を中心に大きく拡大したほか、台湾でのLINE BankやLINE Payの成長が大きかったとしている。

2026年度はAIエージェント化推進の年へ

 出澤氏は、日本における生成AI利用について「ビジネス利用が中心で、生成AIを日常的に使っているユーザーは16%にとどまっている。一般ユーザーの日常利用という観点では、まだ大きな拡大余地がある」と説明。「同社の日常接点と幅広いサービスを活用すれば、生成AIをより多くのユーザーに“自然な形”で届けられる」と、AI時代を見据えたサービスの改革を進めているという。

 4月に発表したAIエージェント「Agent i」は、この変革への取り組みの1つ。LINEアプリやYahoo!のサイトからアクセスできるAIエージェントで、個人向けと企業・店舗向けのサービスを用意している。出澤氏は、「LINE公式アカウントが企業の顧客接点を支える、ビジネスAIエージェントに進化していく」と説明。コンシューマーユーザーにはシームレスなAI体験を、企業や店舗は効率的かつスピーディーに1億を超える同社ユーザーにリーチできるようになるという。

 AI時代においては、収益構造も変化していくと出澤氏は語る。「Agent i」をはじめとした複数の収益機会を今後構築していくという。

 たとえば、コンシューマーユーザー向けにはLYPプレミアムの基盤を活用したAI課金を進める。広告領域では、エージェント特化広告、コマース領域では、AIによる購買支援を通じたコンバージョン課金を進める。公式アカウントでは、AIが接客を支援する「AIモード」による課金を進めることで、「AIを起点としたマネタイズモデル」を構築し、収益機会の拡大を図るとした。

原材料費高騰で「発注しても買えない」ことも

 「Agent i」などAI活用によるコスト上昇について、上級執行役員CFOの坂上亮介氏は「大規模言語モデル(LLM)の利用料は増えていくが、ソフトバンクグループのパートナーシップで調達するため、短期的な心配はしていない」とコメント。

上級執行役員CFOの坂上亮介氏

 また、昨今の原材料費高騰などによるコスト上昇への懸念について出澤氏は「日々サーバーの調達コストなどは上がっていて、発注しても買えないことも起こり始めているのは事実」と説明。坂上氏は「電気代の高騰も過去の流れが続いている」としながらも、「2030年のコストを試算したが、サーバーの調達費は上昇するが、LINEとヤフーの統合による合理化で数自体は減っていく。『単価は上がるが数を減らせる』ため、著しいコスト上昇はないと考えている」と見解を述べた。

出澤氏