【MWC Barcelona 2024】

Orbicがフィーチャーフォンを日本で発売、日本に生産拠点も

 米国に本拠地を置くOrbicは、日本でフィーチャーフォン型の端末を発売する。同社日本法人であるJapan Orbicのダニー・アダモポウロス社長が明かした。

日本での発売を明かしたアダモポウロス社長

 Orbicは、23年6月に日本市場参入を正式に発表。当初の告知していた予定よりは遅れてしまったが、23年9月にはスマホの「FUN+ 4G」やタブレットを発売している。新たに日本に投入するのは、「JOURNEY Pro 4G」というモデルだ。

フィーチャーフォンのJOURNEY Pro 4G

 同機は、フィーチャーフォン向けに開発されたKaiOSを搭載している。KaiOSは、Mozillaが開発を中止したFirefox OSの後継コミュニティが手掛けるオープンソース版OSから派生しており、海外では、フィーチャーフォン型の端末に採用されることが多い。JOURNEY Pro 4Gは、メニューを日本語化できるほか、テンキー操作による日本語入力にも対応している。MWCのOrbicブースに展示されていた端末でも、その動作を確認できた。

メニューは日本語化されており、日本語入力もできた

 スマホと同様、4Gでネットに接続でき、ブラウジングや動画再生などを行える。KaiOSの開発にはグーグルも出資しており、Googleマップなどのアプリも用意される。展示機にも、こうしたアプリがプリインストールされていた。音声通話はVoLTEで行う。展示会場で明かされたスペックによると、Band 18/26やBand 19、Band 8といった日本のキャリアのプラチナバンドにも対応している。ディスプレイは3.2インチと小型だ。

GoogleマップやYouTubeといったアプリも利用できる
主なハードウェアのスペック。プラチナバンドにも対応している

 Japan Orbicのビジネス・ディベロップメント・マネージャーを務める島田日登美氏によると、この端末は「通話がメインで、音声のコミュニケーションを大事にする人たちに向けた端末」だという。フィーチャーフォンの新規モデルはバリエーションが大幅に少なくなっているが、NTTドコモやソフトバンクの3G停波に伴い、機種変更を迫られる人も出てくる。その際の乗り換え先として、選択肢の1つになりそうだ。

 発売時期や価格帯は明かされなかったが、アダモポウロス氏によると、「3色展開だが、ブラックはすぐに投入する」という。展示機では、技適マークも表示でき、発売が近いことがうかがえた。

3色展開の内、まずはブラックを投入するという
技適マークも表示できた

日本に生産拠点

 また、Orbicは、生産拠点に日本を加えることも明かした。同社はこれまで、中国やインドで端末を製造していたが、米国と日本にも拡大する予定。製造を担うのは、ジャパン・イーエム・ソリューションズ(JEMS)。同社はFCNTの経営破綻に伴い、投資ファンドに事業譲渡されていた。島田氏によると、Japan Orbicの入社した元FCNT社員の紹介で工場を見学することになり、「どうしてもやりたくなった」という。

 生産開始時期は決まっていないが、「年内にはと思っている」とした。日本での製造を決めた理由には、品質向上があるという。23年に製品を投入した際には、「品質のことや納期が遅れたことで怒られてしまった」(同)。島田氏は、「このままの状態で、日本で売っていくのは厳しい」(同)と本社に直訴したという。

JEMSに委託し、日本での製造を開始する予定を明かした

 製造コストが上がる懸念もあったが、「今は円が弱いこともあって安かった」(同)。品質を保ちながら価格を抑えられると判断したという。JEMSで生産した端末は、当初、米国などで「Made in Japan」の端末として展開していく予定だという。その後、日本市場などにも日本製の端末を投入していく方針だ。

 Orbicのブースでは、5G対応のオフィス用電話「OFFICE 5G」や、世界初となる5G対応の電動バイクも展示していた。いずれも、日本での発売予定は未定。前者のOFFICE 5Gは、電話だけでなく、ビデオ会議やテザリングなども1台で済ませられるというのがコンセプト。オフィス用電話型ながら、モバイルネットワークに対応していることでケーブルの接続が不要になる。

据え置き型電話ながら5Gに対応したOFFICE 5G

 電動バイクは、ハンドルの中央にタブレットのような端末が備えられており、ここに速度などの情報が表示できる。後方に取り付けたカメラの映像を表示して、安全確認をすることも可能。停車時には、動画を流すといった使い方もできるという。同モデルは米国での発売を予定しており、Verizonと交渉しているという。24年の第3四半期に発売することを目指す。

世界初をうたう5G対応の電動バイク
ハンド部分に取り付けられたディスプレイに、速度などの情報を表示できるほか、タブレットのように使って動画などを見ることも可能になるという