【MWC Barcelona 2024】
Orbicがフィーチャーフォンを日本で発売、日本に生産拠点も
2024年3月1日 07:30
米国に本拠地を置くOrbicは、日本でフィーチャーフォン型の端末を発売する。同社日本法人であるJapan Orbicのダニー・アダモポウロス社長が明かした。
Orbicは、23年6月に日本市場参入を正式に発表。当初の告知していた予定よりは遅れてしまったが、23年9月にはスマホの「FUN+ 4G」やタブレットを発売している。新たに日本に投入するのは、「JOURNEY Pro 4G」というモデルだ。
同機は、フィーチャーフォン向けに開発されたKaiOSを搭載している。KaiOSは、Mozillaが開発を中止したFirefox OSの後継コミュニティが手掛けるオープンソース版OSから派生しており、海外では、フィーチャーフォン型の端末に採用されることが多い。JOURNEY Pro 4Gは、メニューを日本語化できるほか、テンキー操作による日本語入力にも対応している。MWCのOrbicブースに展示されていた端末でも、その動作を確認できた。
スマホと同様、4Gでネットに接続でき、ブラウジングや動画再生などを行える。KaiOSの開発にはグーグルも出資しており、Googleマップなどのアプリも用意される。展示機にも、こうしたアプリがプリインストールされていた。音声通話はVoLTEで行う。展示会場で明かされたスペックによると、Band 18/26やBand 19、Band 8といった日本のキャリアのプラチナバンドにも対応している。ディスプレイは3.2インチと小型だ。
Japan Orbicのビジネス・ディベロップメント・マネージャーを務める島田日登美氏によると、この端末は「通話がメインで、音声のコミュニケーションを大事にする人たちに向けた端末」だという。フィーチャーフォンの新規モデルはバリエーションが大幅に少なくなっているが、NTTドコモやソフトバンクの3G停波に伴い、機種変更を迫られる人も出てくる。その際の乗り換え先として、選択肢の1つになりそうだ。
発売時期や価格帯は明かされなかったが、アダモポウロス氏によると、「3色展開だが、ブラックはすぐに投入する」という。展示機では、技適マークも表示でき、発売が近いことがうかがえた。
日本に生産拠点
また、Orbicは、生産拠点に日本を加えることも明かした。同社はこれまで、中国やインドで端末を製造していたが、米国と日本にも拡大する予定。製造を担うのは、ジャパン・イーエム・ソリューションズ(JEMS)。同社はFCNTの経営破綻に伴い、投資ファンドに事業譲渡されていた。島田氏によると、Japan Orbicの入社した元FCNT社員の紹介で工場を見学することになり、「どうしてもやりたくなった」という。
生産開始時期は決まっていないが、「年内にはと思っている」とした。日本での製造を決めた理由には、品質向上があるという。23年に製品を投入した際には、「品質のことや納期が遅れたことで怒られてしまった」(同)。島田氏は、「このままの状態で、日本で売っていくのは厳しい」(同)と本社に直訴したという。
製造コストが上がる懸念もあったが、「今は円が弱いこともあって安かった」(同)。品質を保ちながら価格を抑えられると判断したという。JEMSで生産した端末は、当初、米国などで「Made in Japan」の端末として展開していく予定だという。その後、日本市場などにも日本製の端末を投入していく方針だ。
Orbicのブースでは、5G対応のオフィス用電話「OFFICE 5G」や、世界初となる5G対応の電動バイクも展示していた。いずれも、日本での発売予定は未定。前者のOFFICE 5Gは、電話だけでなく、ビデオ会議やテザリングなども1台で済ませられるというのがコンセプト。オフィス用電話型ながら、モバイルネットワークに対応していることでケーブルの接続が不要になる。
電動バイクは、ハンドルの中央にタブレットのような端末が備えられており、ここに速度などの情報が表示できる。後方に取り付けたカメラの映像を表示して、安全確認をすることも可能。停車時には、動画を流すといった使い方もできるという。同モデルは米国での発売を予定しており、Verizonと交渉しているという。24年の第3四半期に発売することを目指す。