スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

Appleデバイス向けメカニカルキーボード、ワイヤレスでコンパクト

macOS、iOS、iPadOSで使えるロジクール「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」

ロジクール「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」

 あっこのキーボードいいかも!!! と思った途端にポチッと買う俺は、いつものキーボード探求症候群の発作が出ちゃっているようである。

 今回の発作でっていうか気の迷いで買ったキーボードは、ロジクール「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」ロジクールオンラインストア価格は2万1120円。

カラーはスペースグレーとペールグレーが用意されている

 いや〜またキーボード買っちまったんですな。ちょいと良さゲなキーボードを見つけると手を出さずにはいられないのである。現在愛用中の「REALFORCE R3」から乗り換える気は大してナイのに、「イイかも!!!」と一瞬でお買い上げなのである。

現在愛用中の東プレ「REALFORCE R3 / R3HH21」(Mac用配列のハイブリッドモデル、テンキーレス・英語配列・スーパーホワイト)。税込3万4540円の高級キーボードではあるが、使うほどに「あーコレやっぱりイイなぁ」と満足度がどんどん高まる逸品である

 ↑このキーボードもうサイコーなんスよ。なので予備としてもう1台買ってあるのだ。万が一故障しても「ぐぬぅサイコーのキーボードを使い続けられないなんてサイテー!!!」とならないように備蓄しているのである。

 じゃあ新たに買ったロジクール「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」はナンのため? 備蓄までしてるサイコーのキーボード使っときゃぁいいじゃん。

 確かにそうなのであり、その理屈で言えば「気の迷いでうっかり買った」となるのだが、しかし、万が一ということがある。もし「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」が万が一にも「REALFORCE R3」よりサイコーだったらタイヘン。「REALFORCE R3はサイコーだぜ〜」と思い続けて、真のサイコーである「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」に触れずに過ごすというのは、超絶モッタイなさ過ぎる。

 いや万が一なので「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」が「REALFORCE R3」よりサイコーである確率は非常に低いと思っている。のだが、可能性があるからやっぱり実際「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」を使ってみたいのであり、その衝動が強いのでポチッとイッたということであって、以下、ロジクール「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のレビューをば。

「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」は俺が好む5つの要素を持っていて2万1120円

 まず「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のドコに惹かれたかというと、第1に英語配列でテンキーレスであること。俺は英語配列に慣れまくっており、右手とマウスの距離を無駄に広げるテンキーは嫌いであり、でもマトモな並びのカーソルキーは必要なので、英語配列テンキーレスキーボードばかり好んで使うのだ。

テンキーがないキーボードだと、より少ない動作で手がマウスに届いて快適だョ!

 第2にMac用キー配列であること。俺の場合、WindowsマシンやAndroid端末も使うが、最近はMacやiPhoneなどAppleデバイスをメインに使用中。キーボードがMac用配列だと、macOSではもちろん、iOSやiPadOSでも快適に使えるのだ。

 第3に「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のカーソルキーはマトモなサイズ&並びだから。テンキーレスキーボードよりさらに小さいミニキーボードサイズなので、カーソルキーの位置はやや強引な感じではあるが、大きさも並び方もフルキーボードと同様なので違和感が少ない。右手とマウスとの距離はテンキーレスキーボードよりさらに短い。

左がREALFORCE R3などの一般的なカーソルキー、右が「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のカーソルキー。サイズと並びが同じで違和感が少ない

 第4に、「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」は3台のデバイスとペアリングできるBluetoothキーボードだから。キー操作1発で接続先を切り替えられて便利であり、無線キーボードの利便は言わずもがな。

 第5にメカニカルキーであること。俺の場合、現在はREALFORCE R3などに採用されている「静電容量無接点方式キースイッチ」が最も好みだが、メカニカルキースイッチの類もスゲく好きなのである。

「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のキースイッチはメカニカル・タクタイル(茶軸)。弱めのクリック感がある静かなキースイッチだ

 俺が好む要素が5つある「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」。お値段2万1120円だが、2万1120円を5で割ると4224円であり、1要素4000円チョイなのでまぁそのくらいまでなら出そうかなという気にならなくもないのであり、そういう気持ちは気の迷いにつながり、まあいつものキーボード探求ツアーの旅費ということで価格の件はこれで片付いた。

どんなキーボードなのか? 使い心地は?

 「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」と毎回書くのは長いので、略して「MMMFM」にしよっかナと思ったものの、「M」が多すぎてよくわからないので略さずこのまま行くが、このキーボードはどんな製品なのか? 前述のとおり、英語配列でMac向けのBluetoothキーボードである。まずはキー配列から見ていこう。

「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のキー配列。俺的には、カーソルキーを普通サイズ・並びにしつつ、テンキーレスキーボードのカーソルキー上部のいくつかのキーを右端縦一列に凝縮したのが大きな特徴に見える

 フルキーボードのテンキーおよびカーソルキーのエリアまで省いたミニキーボードだが、カーソルキーは普通サイズで一般的な並びだし、「home」「end」などの使う人は使うキーまで盛り込まれている。なかなかの凝縮感と使いやすさでありナイスといえよう。

 なお、ご参考までに似たサイズのほかのキーボードの配列も掲載しておく。ロジクールの小型キーボード「MX KEYS MINI for Mac」と、Appleの「Touch ID搭載Magic Keyboard - 英語(US)」だ。

ロジクール「MX KEYS MINI for Mac」のキー配列。英語配列キーボードとしてはかなりマトモな並びだが、カーソルキーは小型化されている
Apple「Touch ID搭載Magic Keyboard - 英語(US)」のキー配列。カーソルキーの上下は小型化されている

 キー配列はユーザーの好みではあるが、俺的には「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のキー配列がいちばん好きかも。まあでも上のどのキーボードも英語配列キーボードとしては正統派な部分が多い。一部キーだけ特殊って感じなので、どれも慣れられるキーボードだと思う。

 「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」はBluetoothキーボードだが、3台のデバイスとペアリングしておける。そしてキーボード左上の3つのキーひと押しで接続先を瞬時に変えられる。

キーボード左上の右3つのキー(F1 / F2 / F3)でBluetooth接続先を変えられる。ひと押しするだけでOK。ペアリングはこれらキーのどれかを長押しして行う。なお、別売の「LOGI BOLT USBレシーバー」を使って無線接続することもできる。ただし、Bluetoothを使ってもLOGI BOLT USBレシーバーを使っても、ペアリングできる相手は3つまでのようだ
充電式でUSB-Cポートを使って充電可能。満充電後は最長15日間使用可能(バックライトをオフにすれば最長10カ月使用可能)。また15分の充電で丸1日使用することができる。キーボード右上側面にスライド式の電源ボタンと充電用USB-Cポートがある

 打鍵感はメカニカルキーボード特有の手応えがある押下感触。メカニカル・タクタイルスイッチ(Kalihメカニカルキースイッチ茶軸)は弱めのクリック感がある。打鍵音もわりと静かなキースイッチだが、底突きするときの音がある程度カチャカチャいうので、静音キーボードという印象ではない。

 個人的な印象では「小気味よく、かつ、テンポよく打鍵できる」という感じ。キーにはある程度の重みもあるので、入力を指先で実感しつつ、書くことに集中してタイプできる。キーボード全体の剛性感も高く、ガンガン強くタイプしていてもそれを受け止めてくれる心強さがある。

 キーボードの高さは、俺的観点からすれば「高すぎず低すぎず」という印象。裏面にはキーボードの傾斜を変えるスタンド(折りたためる脚)があり、スタンドを開くとキーボードの角度を8度にできるようだ(足をたたむと5度)。

背面には折りたためるスタンドがある。これを格納・展開することで、キーボード上面の角度を5度か8度に変更できる。また底部手前には横長の滑り止めがある。スタンド部分にも滑り止めがあり、格納・展開どちらの状態でも滑り止めが机面に接するようになっている。滑り止めとキーボードの剛性により、机上では非常に安定する
スタンドを格納・展開するとこんな感じ。上が5度、下が8度

 キーボードとしての使用感は良好で、機能性にもなかなか優れる「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」。とはいっても指先で常に触れて使う道具なので、購入前にはご自身に合うかどうか、ぜひ店頭などで試用してみてほしい。

さまざまな機能があり、Logi Options+アプリでカスタマイズ可能

 「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」はけっこう多機能。たとえばバックライト機能がある。キートップ刻印が光り、暗い環境でも「このキーはなに?」ということがわかる。

ある程度明るめの環境では、キートップの刻印は黒に見える。視認性はよい
バックライト機能をオンにしている場合、環境がある程度暗くなるとキートップ刻印が白色に光る。環境に合わせた明るさに自動調光される。また、キーボード上部に手が来ているかどうかを認識してバックライトのオンオフが切り替わる
キートップ刻印のすべてが光るわけではなく、一部刻印にはバックライトがない。実際には刻印はそれぞれ光を透過する構造になっているものの、キースイッチ上のLEDが上側にあるため、下側刻印には光が届かず光って見えない

 暗い環境でキーボードを使う必要がある場合、バックライトによりキーをしっかり視認できる。白く光る様子はキレイでもある。

 あればあったでイイ感じのバックライト。なのだが、状況や場合によってはちょっと邪魔になることもある。というのは、バックライトによりキートップ刻印が見づらくなるケースもあるからだ。↓こんな感じ。

環境の明るさとバックライトの輝度、それからキートップ刻印を見る角度の兼ね合いで、バックライトが消灯しているときよりも刻印が見づらくなってしまう。これならバックライト消灯の黒刻印状態のほうが視認性がいい

 白いキートップに白いバックライトによる刻印点灯なので、状況によってはバックライトが視認性の邪魔をするというわけだ。まあ「たまに」ではあるが。また、これはたぶん、本体色が(明るい色のキーが多い)ペールグレーの場合で、本体色が(暗い色のキーが多い)スペースグレーの場合は起きない問題のような気がする。

 ちなみにこのバックライト機能、単に点灯するだけでなく、演出劇な明滅などもする。その切り替えはキーボードショートカットでも、Logi Options+アプリからでも行える。

Logi Options+アプリ(macOS版)の表示例。ペアリングしたロジクール製デバイスを一括して扱うことができ、各デバイスの細かな設定を行える
ペアリングした「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」も登録された。クリックして設定していく
バックライトの項目で、バックライト点灯スタイルを変更できる
点灯スタイルの初期値は「静的」だが、「ブリージング」や「ウェーブ」などを選ぶとバックライトが動的に明滅などする

 ちょっと楽しげなバックライト点灯スタイル、雰囲気を盛り上げるバックライトによるイルミネーション、そんなイメージ。なのだが、俺の場合「これって要る?」とか思ってしまう。正直、一度試して「ふーん」と思って以降は初期値設定のままにしている。さらにいうと、微妙な環境では前述の「バックライトによりキートップがかえって見づらくなる」ということがあるので、バックライトはオフにしてしまっている。そのほうがバッテリーがもつし。

 「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」のバックライト機能は、ちょっと中途半端って気がする。どうせやるならフルカラーにして、バックライト点灯パターンも自由にプログラミングできるようにすれば、ユーザー側の納得感もあるかもしれない。フルカラーLEDなら、微妙な環境下での「バックライトによりキートップがかえって見づらくなる」という問題も克服できそうだ。たとえばバックライトを赤にすればどんなキー色でも赤い刻印は見やすいはずだ。

 この中途半端さは「MX KEYS MINI for Mac」でも同様に感じた。ただ「MX KEYS MINI for Mac」の場合は「キートップの下側刻印に光が届かないので光らない」という問題はあまり感じられない。ともあれ、どちらもお高いキーボードなので、バックライトの中途半端さはちょっと残念である。

 さておき、Logi Options+アプリを使えば「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」をより便利な方向にカスタマイズできる。たとえば16個のキーに対して機能を自由に割り振ることができる。

黒枠で強調表示されたキーは自由にカスタマイズできる
たとえば「F9」キーのメディアキーとして初期値は「マイクのミュート / ミュート解除」になっているが、ここにキーボードショートカットを設定したり、ほかのアクションを割り振ったりできる
アプリケーションごとに違うキー機能を設定できる
ほか、Logi Options+アプリではペアリングしたデバイスを確認できる
Logi Options+アプリで機能ツアーを使い、「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」の独自機能を学んだり、メディアキー/ファンクションキーのどちらを優先するか設定したり、バックライトのより根本的な動作を変更したりできる。

 といった感じの「MX MECHANICAL MINI FOR MAC」。Appleデバイス向けのコンパクトキーボードとして、打鍵感も機能性も良好で、メカニカルキーの気持ちよさもしっかり備えている。英語配列版のみということでユーザーを選ぶ感じではあるが、数少ないMac用キーボードとしてはかなり高品位な部類だと思うので、興味のある方はぜひ触れてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。