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KDDI、Starlinkをバックホールに小型基地局を商用化 災害時も“つながる”環境を構築

 KDDIは、衛星ブロードバンド「Starlink」をバックホール回線として活用する小型携帯電話基地局「auフェムトセル」を国内で初めて商用導入した。災害時に迅速に通信を確保することを目的としたもので、千葉県富津市の「ローソン富津湊店」に第1号として設置される。

Starlink活用のauフェムトセル

 今回導入されたのは、電波が届きにくい場所を補完する小型基地局「auフェムトセル」を災害応急用として活用するもの。バックホール回線に低軌道衛星のStarlinkを採用することで、地上回線が寸断された環境でもauの音声通話やデータ通信に対応できるようにする。

屋外にStarlinkのアンテナを設置

 最大の特徴は、運用にあたって無線技士などの国家資格や特別な技能を必要としない点。小型・軽量設計で保管場所を取らず、組み立てや立ち上げも店舗スタッフが行える。低消費電力のためポータブル蓄電池でも稼働でき、停電下でも迅速に通信エリアを構築できるようにした。

au回線を契約していない利用者にはWi-Fiを提供する

災害支援ローソンへ順次導入

 この設備は、同日にリニューアルオープンした「災害支援ローソン」1号店のローソン富津湊店に配備される。平時は店舗で保管し、災害発生時には従業員が設置・運用する体制を想定する。

 KDDIは2030年度までに全国100店舗へ拡大予定の災害支援ローソンに、本基地局を順次導入していく方針。今後は自治体や避難所への提供も検討し、非常時の通信手段確保や防災関係者間の連携支援に活用していく。

背景と実績

 KDDIは2011年の東日本大震災の際、静止衛星とフェムトセルを組み合わせた通信復旧を試みた。ただ、当時の衛星回線は通信速度に制約があった。

 一方、2024年の能登半島地震では、臨時措置としてStarlinkを活用した本基地局を避難所など4カ所に設置。日常利用の携帯電話と遜色ない品質で通信できることを確認した。被災者からは家族と連絡が取れる安心感が寄せられ、防災関係者からも機関をまたいだ迅速な連携に効果があったとの評価があった。こうした実績を踏まえ、今回の商用導入に至った。