スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

最新macOS「Ventura」にアップグレードし痛い目に遭うも神アプリ使用開始でハッピーになった話

気の迷いで「macOS 13 Ventura」へアップグレード

 メインマシンがMacの俺は、比較的にチャレンジャーなので、最新macOSがリリースされるとわりと即アップグレードする。メインマシンがMacだという人は「安全第一」を考えて「最新macOSに手を出さずに安定しているバージョンを使い続ける」のが普通かもしれない。のだが俺の場合「あの新製品使ったらこんなでしたョ~」みたいなコトを書くのが仕事だったりするので、最新macOSの使い心地なども速攻で確かめる必要がある。一種の人柱。

 そして今回も最新macOSへとアップグレードした。日本時間2022年10月25日に正式リリースされた「macOS 13 Ventura」へのアップグレード。「macOS 12 Monterey」からのアップグレードだ。ちなみにVenturaは「ベンチュラ」と読み、米国ロサンジェルス付近の地名が由来だそうだ。

 macOS 13 Venturaについては、追加アプリなどなしで手軽にiPhoneをWebカメラのように使えるという機能が気になっていたクチ。ほかも細々&イロイロ便利っぽくなっているもよう。なので10月25日にすぐアップグレードしようと考えたが、その日は疲労困憊していたので断念。

 翌日26日、疲労が残るなか「きょうmacOS 13 Ventura入れようと思ったけど2件も予定がありつつ原稿の〆切もある!」てな状態に。だがしかし2件の予定を済ませるとまあまあ〆切に間に合う時間がある。ちなみに、この〆切は自分が自分に課したもので実際の〆切までにはまだ余裕がある。ので、無理に守らなくてもいいのだが……。

 でも……先日の疲労も残っているし、今日もそこそこ疲れちゃって眠いしもう夕方だし、じゃあmacOS 13 Venturaでも入れて本日はお開きにしよっかニャ~、とか気の迷いが生じてしまったため、痛い目に遭った。6時間後くらいに「あーmacOS 13 Venturaにしなきゃよガっダぁ~」と後悔したのであった。

 後悔した最大の理由は、(俺的環境だけかもしれないが)macOS 13 Venturaにアップグレードしたらキヤノン「EOS Utility」が接続したカメラを認識しなくなったこと。撮影した写真をPCに自動転送などする“テザー撮影”ができなくなったのだ。

macOS 13 Ventura自体はどうなの?

 macOS 13 Venturaへのアップグレードは問題なくスムーズに完了した。完了したものの、一部のマイナーなアプリは動かなくなり、一部のメジャーなアプリは「壊れてますからゴミ箱へ入れてください」とか言われつつ再インストールする必要が出た。まあmacOSのアップグレードにはままあることなので、対処できるところは対処し、macOS 13 Venturaぜんぜん非対応アプリは諦めて削除した。

 で、macOS 13 Venturaの話題の機能をアレコレ試した。まず試したのは、「システム設定環境」アプリ改「システム設定」アプリ(macOS 13 Venturaからの呼び名)。初期設定をいくつかイジるため、最初にコレに触れたわけですな。

 上はシステム設定の表示例だが、要は「MacもiPadもiPhoneも似たような操作・表示で設定とかできますョ!」ということになったらしい。確かにシステム設定にサイドバーが新設され、だいたい同じような位置に同じような機能設定項目が同じような雰囲気で並んだ。

 最初これに触れたときは「あーもーこういう機能設定部分のUI変えちゃうなんて! こういうの変えないのがmacOSのいいところだったのに!」とイラッとした。のだが、使うと間もなく「あーなるほどiOSやiPadOSへ使用感を寄せたのか」とわかると、「まあAppleデバイスの使い勝手をより共通化していくってことならアリかも」と受け入れることができた。

 また、じつはこのシステム設定、ウィンドウを縦にグイーッと長く伸ばせる。そしてタブで項目を切り替えるのではなく、スクロールで項目を見ていくスタイルになった。ので、カテゴリ毎の項目を一望できるので、よりシンプルで使いやすいUIになった感じが強い。ほか、たとえば多数のBluetooth機器とペアリングしていても、その機器を一望できたりして便利だ。

 いいネ! 新しいシステム設定! と手のひらを返しつつ、続けて非常に気になっていた機能を使ってみた。

 それは「テキスト認識表示」機能。コレって確か、iOS 15やiPadOS 15やmacOS 12 Montereyでは「ライブテキスト(Live Text)」って呼ばれていた機能?

 macOS 12 Montereyでは、画像上のテキストを認識する機能があったが、日本語には対応していなかった。が、macOS 13 VenturaやiOSでは画像上にある日本語も認識するようになった。↓こんな感じ。

macOSの写真アプリで日本語が書かれた書類の写真を選び、日本語部分を範囲選択してコピー。それをテキストエディタにペーストした様子。画像上の文字をテキスト認識できるのが「テキスト認識表示」機能だ。英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、ウクライナ語のテキストで利用できる。

 やったぁ♪ ようやくmacOS上で(もiOS上でもiPadOS上でも)画像の上の日本語をテキストとして扱えるようになった! まあほかのアプリを使えばこれまででもデキていたことではある。ともあれ、これによりAppleデバイスがヒッジョーに便利になった。

 やや余談だが、テキストのコピペを禁じている広報資料PDFとかあるんスよ。企業の広報資料の文字列どおりに記述・伝達するには、そういうテキストをコピー&ペーストするのがいちばん効率的だし間違いもない。メディアも企業もWIN・WINなハズなのに、なぜかコピペ禁止。そんなアタ○カなPDFでもこれからはスクリーンショットして「テキスト認識表示」機能を使えば実質コピペだぜ~と喜んでいる俺であるが、読まれて・伝わってナンボの広報資料PDFの文字列コピー禁止とか早くヤメたほうがいいと思う。

 閑話休題。

 ほかにもmacOS 13 Venturaで追加されたり機能向上を果たした機能がある。macOS 13 Venturaで利用できるすべての新機能についてはコチラにあるが、以下俺的に良かったり微妙だったりした機能をザッと挙げてみたい。

 たとえば話題の「連携カメラ」。iPhoneをMacのWebカメラにできるという新たな機能向上だ。確かに、MacとiPhoneを無線や有線で自動接続し、iPhoneをWebカメラにできるのはナイスである。何しろ画質がイイ。Webカメラというより、Macにミラーレスカメラをつなげたときの画質に近い。そしてたぶん、MacBookユーザーなら「うわっなにこの便利さと画質の良さ!」と実感して、この機能をガンガン使いそうな気がする。

 のだが、デスクトップMacで使うと、画質はイイものの、iPhoneの設置に若干困りがちな俺。また手元を写すためのデスクビュー」アプリまで使う場合は、さらに困りがち。

 たぶん多くのデスクトップMacユーザーは同様に感じると思うが、iPhoneをデスクトップMacのWebカメラとして顔も手元も撮ろうとすると、iPhoneを低めの位置(机上面から30cm前後の高さ)にしたくなる。それ以上高い位置だと「顔は撮れても手元が入らない」ということになりがちなのだ。

 iPhoneとMacの連携は手軽であるものの、デスクトップMacで活用するとなると……iPhoneの位置設定や角度設定にけっこうな試行錯誤&手間がかかり、そうしてもうまくいきづらく、「あーこれなら2台のWebカメラ使う方がいいや」となりがちなのである。たぶん、この機能はiPhoneをMacBookのカメラの位置に据えるのがベストで、それ以外の位置での利用は(いまのところ)あまり考えられてないような気がする。

 ステージマネージャという機能も当初は興味津々であった。これは複数のアプリつまりウィンドウを使っている状態で、アクティブなウィンドウ以外を画面左側にサムネイルとして表示する機能だ。必要なウィンドウだけを手軽に表示させられ、ほかのウィンドウが視野から消えて作業に集中しやすくなる、というものらしい。

俺が使っているのは40インチの曲面ディスプレイDell「U4021QW」。いつもこんな感じで表示している。
macOS 13 Venturaでは、コントロールセンターからステージマネージャの使用・不使用をスイッチできる。
ステージマネージャを使うと、アクティブでないウィンドウが画面左にサムネイル表示される。
画面左のサムネイル表示例。クリックしたサムネイルがアクティブなウィンドウとして開く。

 俺的には「これもMacBook向けの機能かな?」という印象。複数のウィンドウを同時に見られない狭い画面向けの機能という気がする。「もしかしたら仮想デスクトップより便利なウィンドウ管理機能?」と思ったが、そうでもないようだ。

 デスクトップで大型ディスプレイを使っているユーザーの場合、アプリウィンドウの定位置ができていたりして、各ウィンドウを効率よく切り替える「ユーザーなりの方法」が確立されていると思う。そこに敢えて新しいウィンドウ管理方法を導入するとはちょっと考えにくい。

 また、試した限りでは、どうもすべてのアプリがステージマネージャに対応しているわけではないもよう。ていうか、もしかしたら全アプリをステージマネージャでサムネイル表示できるのかもしれないが、俺の場合は「ウィンドウ管理は自己流のがあるから新しい管理方法に興味なし」状態なので、ステージマネージャをあまり使い込んでいないのであった。

 それから「年内に登場」とされる「フリーボード」機能。ひとつの画面上にあれこれ書き込んだり貼ったりでき、それを複数ユーザーが同時に利用・共有できるアプリらしい。

 以前、フリーハンドで書き込んだりできるWebサービスがあり(いまもあるかも/名前は忘れた)で、書き込みは複数人数で同時に利用・共有できて、「あらちょいと便利」と感じていたが、それのApple製高機能版が「フリーボード」機能と感じている。Web会議をしつつこのフリーハンドアプリを使えたりすると、なんかオンラインでのやり取りの豊かさがグッと増すような気がしていて、期待している。

 ほかにも細々したブラッシュアップがあるmacOS 13 Ventura。以前からのスタイルでの原稿執筆・情報収集・画像編集・クラウド利用も、まさに今現在までmacOS 13 Ventura上で行なってきているが、違和感やトラブルがなく安定して使えている。

 まあでも動かなくなったアプリがあるとか、Macのパフォーマンスが落ちた人がいるとか、問題はないわけではなさそう。なので、不要不急な感じなら、トラブルなどの情報がひととおり出尽くしてからアップグレードの判断するのが無難かもしれない。

また「EOS Utility」動かねーし!

 macOSのアップグレードでいつも困るのはキヤノン「EOS Utility」の対応だ。俺の場合、EOS Utilityはテザー撮影に常用中。つまりカメラとMacを接続し、撮った写真を即Macに転送するという使い方をしている。これができないと仕事上の画像作成工程の効率が急低下して非常に疲れることになる。

EOS Utilityの機能のひとつとして、PCからEOSカメラを遠隔操作したりEOSカメラで撮った画像をPCに自動転送するというものがある。PCからEOSカメラをリモートコントロールする感じですな。これはリモートライブビュー撮影時のEOS Utility表示例。2007年の表示例だが現在でもそーんなに変わっていない。2007年の表示例を持ち出しているのは、2022年10月現在では俺のPC上で最新のEOS Utilityが動かねー! からである。

 で、けっこうアルんですな、「macOSアップグレードしたらまたEOS Utility動かねーし!」ってコトが。今回のmacOS 13 Venturaでもそうであった。macOS 13 Ventura上でEOS Utilityが動かないのに気づいたのは、macOS 13 Venturaの各機能を試したあとだった。

 んん~macOS 13 Venturaはなかなかイイし、これ使い続けたいけど、EOS Utilityが動かないのはかなり痛いなぁ、と。まあEOS Utilityは公式にまだmacOS 13 Venturaに対応してないから、ただただ俺のチャレンジャー精神が悪いんスけどね。

 ともあれ、それならしばらくmacOS 13 Venturaの新機能とかは諦めて、macOS 12 Montereyにダウングレードしようかな……そうしよう。そう思ったのが、もうすぐ日付が変わる頃であった。

 ダウングレードするのにもそこそこ時間かかるだろうから、もう酒飲んじゃえ。酒飲みながらダウングレード作業しちゃえ~。呑んででも手順間違わない自信があるくらい、こういう作業ばっかり経験してきた俺はもう酔っ払っぱっちゃ~ヒック♪

 だがしかし、1回目のダウングレードは失敗した。Macを向上出荷時の状態に戻してTime Machine(←Macのバックアップアプリだョ!)から環境を復元したわけだが、あれ? OSはmacOS 13 Venturaのままだ。

 でもまだ0時を回ったばかりかだら、もう1回トライ!

 あーコレコレ、この表示。今度はうまくいくハズ!

 と思ったら、またもやOSだけmacOS 13 Venturaのまま。Time Machineバックアップからの復元は完璧だが、あれぇ~? なんで~?

 そろそろ1時を回り、さらにトライしても失敗するような気がしてきた。この頃にはもう「あーmacOS 13 Venturaにしなきゃよかった?」という気分に。

 そして血中アルコール濃度が高まりつつあり、なんかもう「前のOSに戻してEOS Utilityにして、macOS 13 Venturaのナイス機能はそのうちに」みたいな理性的な考え方ができなくなってきた。あ~も~ひたすら面倒くさい。

どぉしょおぉ~? 新しいテザー撮影方法を見つけるしか!

 この血中アルコール濃度の感じからすると、俺の活動限界はあと2時間くらいで訪れるハズ。40年近く飲酒と活動限界時間を体感してきたので、この2時間は正確なハズ!

 そしてもうmacOS 13 Ventura → macOS 12 Montereyダウングレード作業とかいう成功しなさそうな作業はイヤだゼ!!! ガスッと一発でキマるソリューションが欲しいゼ!!!

 酔いつつも俺の現在の問題を抽出すると、それは1個であった。このmacOS 13 Ventura入りMacでテザー撮影ができさえすりゃぁ、だいたいイイ。EOS R5とMacがつながってテザー撮影ができれば、もうmacOS 13 Venturaでほぼ問題ナシである。

 なんかあったな? アプリ。テザー撮影ができる……えーとえーとえーと、なんかなんかー、あっ、キャプチャ……みたいな名前の……あっそうだ「One Capture」アプリだ! 検索!

 と思って「One Capture」アプリを検索したところ、Google先生は無言で「Capture One」アプリのリンクを提示してくれた。そうそうそうでした、Capture Oneでした。

 Capture Oneアプリについての詳細はリンク先をご覧いただきたいが、有料の画像処理・テザー撮影アプリである。20年くらい前に超スゴ腕のカメラマンに「テザー撮影ならCapture Oneがいろいろ便利ですよ」と教えてもらって試用版を使ってみたら確かに良かった。だが、その頃の俺は「EOS Utilityは無料なのに、同様のことにしか(俺は)使わないCapture Oneが有料(しかもお高い)のはちょっと……」と、その後は手を出していなかった。

 ちなみに現在のCapture Oneの料金は、月間サブスクリプションが4021円、年間サブスクリプションが2万9986円、ライセンス購入(買い取り)が5万89円となっている。やっぱり高いアプリなんスね。

 だが、無料で1カ月試せる試用版を使ってみたら考えが変わった。Capture OneはmacOS 13 Ventura上でもしっかり動作するのに加え、このアプリだけで俺的写真撮影ワークフローをある程度広くカバーできる。これまでPhotoshopを使っていた作業の多くをCapture Oneでできそうだ。

試用した「Capture One Pro」アプリの表示例。テザー撮影のモードがあり、キヤノンEOS R5をMacにUSB接続したらアッサリとつながり、すぐテザー撮影ができた。試用版をダウンロードしてまだ5分経たないのに! なお、EOS R5の設定はアプリからでも行えて、左上にパラメーターが表示されている。
トリミングや「コンテンツに応じた消去」的な機能もあるようだ。キーの「R」をキレイに消せた。トリミングも自在。
色調整なども可能。「かすみの除去」機能もあった。Photoshopで行なっていた多くの処理を「Capture One Pro」アプリでデキちゃいそうだ。

 もうちょっと使ったら買おう……と思っていたら、ナンと「Capture One for iPad」というのもあるらしい。テザー撮影機能もある!

「2022年近日発売」とあるが、すでにApp Storeからダウンロードできるっぽい。

 ヤベぇ、iPadでテザー撮影して、撮影した写真が一気にiCloudにアップされたりしたら(されるんですよねきっと?)、もうスゲい勢いでテザー撮影フィールドが広がりつつ俺の写真処理ワークフローが自由&ラクになる! マジかよCapture One! スゲくイイかも!

 そう思って速攻でiPad版を使ってみたが、iPad版は想像していたほど、デスクトップ版のCapture One Proのような使い勝手ではなかった。テザー撮影も簡単な編集もできるが、iCloudとの連携は少々……あ、なんかmacOS 13 Venturaから話がかなり逸れまくったので、このへんで。

 ともあれ、macOS 13 Venturaは俺環境において意外なほど安定していて、大期待の機能もばっちり使えて、でも俺的には不用な機能もあったりした。だが最終的には「あーmacOS 13 Venturaにしなきゃよかった~」が「ん~macOS 13 Venturaイイんじゃないスか~、すごい不具合も(俺環境では)起きてないし~」みたいな印象に。

 それでも「macOS 13 Venturaは無料なのでお試しあれ」とは言えない。も~しかしたら、インストールしたらスゲい不具合が出たりする可能性があるし、な~んかダウングレードもできるか不明な感じだし(できている人もいるらしいが俺は数トライで諦めた)。でも新しいOSはいろいろ楽しいので、興味があれば……。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。