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キヤノン「EOS 40D」のアレはどーなのか!?
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。 |
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■ EOS 40Dのアレはどーなのか!?
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キヤノンEOS 40D。APS-Cサイズ・有効1,010万画素のCMOSイメージセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラボディで、ライブビューや撮像素子に付着するゴミを除去する機能等々を搭載する
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デジタル一眼レフカメラにおいて、各社から新機種が発表・発売になっている。これらの新型について、俺における興味の中心はライブビュー機能。レンズから入ってきた像をそのままリアルタイムで液晶モニターに映し出す、いわゆる“スルー映像表示機能”ですな。
ライブビュー機能搭載型デジ一眼として、最も気になったのはキヤノンのEOS 40Dであった。ニコンの2つの新型デジ一眼も気になるところだが、手持ちレンズとかワイヤレス伝送とか手の記憶とか、より身近に感じたのが40D。このカメラのコトを考えれば考えるほど気になってしょうがねえ心意気となったので、思わずこれを買ってみた。
ナゼに40Dなのか、の理由のひとつはライブビュー機能だ。キヤノン謹製ライブビュー機構はどーなのか、と。それから、拙者はEOS 5Dを使っているのだが、そういうユーザーにおいての40D使用感はどんなかナ、みたいな興味もあった。
また、もし40Dのライブビュー機能がイケてるものであった場合、拙者はワイヤレスファイルトランスミッターWFT-E3というオプションがヒッジョーに気になるであろーという予測。いやむしろ、このWFT-E3およびEOS Utilityを使いたいからこそ、40Dのライブビューはナイスであれ!! みたいな勢いで40Dを買ったとも言える。
って、何言ってんのかワカンナイっすよね。
拙者がライブビュー機能搭載のデジ一眼を多用する理由は、小物や商品等の撮影(ブツ撮り)においてヤケに便利だからだ。撮影時にファインダー覗き込まずに済むのでラク。ラクだと効率UPだし楽しくもなる。楽しみつつ仕事ができれば何よりですな。
また、その効率の良さから、撮影直後にPCへと画像を転送できるようにしている。オリンパスの一眼なら、OLYMPUS Studio 2、キヤノンの一眼ならEOS Utilityを使い、撮影とほぼ同時にカメラ→PCへの画像転送を行なえる。撮ったら即、PCの大画面で画像を精査できるので、これもまた効率UPにつながる。
とか話がビミョーに逸れてますけど、ライブビュー機能搭載&ケーブル接続でもワイヤレスでもPCへの画像転送OKなEOS 40Dは、実際使ってみてどーなのか。主にブツ撮りに使っての話だが、約一ヶ月試してきたので、ちょいとレポートしてみたい。
■ EOS 40D雑感
よっしゃ!! 注文したEOS 40Dが届いたゼ!! の直後にブツ撮りを開始するほど仕事好きではない俺である。もちろん、ザザッとイジって40Dの浅めの使用感を嗅いだり舐めたりしてみた。
まず感じたのは、新しくなったメニュー系のインターフェイス。どの世代から新しくなったか知らないんですけど、EOS 5Dと比べての結論から言えば、メチャ使いやすくなっている。
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EOS 5Dのメニュー表示。多数の項目が縦方向にズラリと並ぶ。各電子ダイヤルで表示をスクロールさせ、目的の項目を探していくというタイプだ
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EOS 40Dのメニュー表示。メイン電子ダイヤルでページ(横方向に並ぶタブ)を選び、サブ電子ダイヤルで項目を選ぶタイプ。項目数は必ず一画面内に収まるので、スクロールさせる必要はない
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シャッターボタン手前にあるのがメイン電子ダイヤル。ボディ背面、液晶モニター右側にあるのがサブ電子ダイヤル
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EOS 5Dのメニューは、縦にズラーッと項目が並んでいるタイプで、これをメイン電子ダイヤルもしくはサブ電子ダイヤルで縦スクロールさせて選んでいくというもの。単純明快でわかりやすいが、多数の機能がある=項目数が多いので、目的の項目にたどり着くのに一手間あった。ダイヤル回しまくる必要も出たりして。
一方、EOS 40Dのメニューは、メイン電子ダイヤルでページを変え、サブ電子ダイヤルで項目を選ぶタイプ。色分けでのカテゴライズは5Dとほぼ同様だが、項目が一画面内に収まっている=上下スクロールの必要がないこと、ふたつの電子ダイヤルをページ選択・項目選択で使い分けられることで、非常に見やすいし操作性も高まっていると思う。
それから、連写も気持ちいいですな。40Dは高速時で秒間最高約6.5コマ。EOS-1D Mark IIIの秒間最高約10コマには及ばないが、5Dとかの秒間最高約3コマと比べたらゾウとリスの咀嚼スピードみたいな違いがある。猫ジャンプ写真撮るのにいいかも。って、拙者的にはあんまり連写速度は気にしないんですけどネ。
あと、AF合焦速度と正確さ。これは主にオリンパスのE-330あたりと比べちゃってのことだが、んむむむ~、オリンパス派の俺としては悔しいほどにビシッとキマるAFであった。んぬぬぬ~……蛇足だが、このAF合焦スピード&アキュラシーが、実は拙者のブツ撮りスタイルをけっこー変えたりした。
■ 40Dの液晶モニターとボタン類
ナイスで使いやすいと感じたのは、液晶モニターのサイズと解像度である。40Dには3型・約23万画素のTFT式カラー液晶モニターが実装されているが、ライブビュー使用時も画像再生時も見やすくてグレイト。デジ一眼はやっぱ大型・高精細液晶を搭載すべきですな。
液晶デカくてキレイでイイんですけど、5Dとかから比べると液晶モニター周辺のボタン位置がずいぶん変わっちゃって……序盤、40Dの操作性に小さくない疑問を抱いたりもした。
40Dと5Dの液晶とその周辺にあるボタン。40Dの液晶はデカくて見やすい!! しかし、ボタン類の位置がヘンになって、なーんか40Dはプチ使いづらい!? と思うのは、拙者の手にEOS DIGITALの記憶が刻まれているからか?
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写真の通り、40Dと5Dのボタン類、配置がけっこー変わったんですな。てゅーか、従来のEOS DIGITALのハイエンド以外の機種って、液晶モニター左側に[MENU]や[INFO.]といったボタンが縦に並んでたじゃないスか。40Dでは、この縦並びボタンが液晶により分断され、上下に散ってしまったという印象。これが第一の違和感であった。使い始め当初、あれ? どこだっけ!? と探しちゃう感じ。
それから、改めて思うのは、イージープリントボタン(イージーダイレクトボタン)とかピクチャースタイル選択ボタンとかって、こんなふうにドーンと配置するほど、それらを必要とする人がいるのかな、とか。ま、必要な人は必要なんでしょうな。
ただ、他のより多く操作されるボタンを見つけにくくする要因になっていると思うので、使用頻度に応じた“目立ち方”や“位置”にして欲しかったところ。例えば、40Dなら液晶モニター左上に[再生]と[MENU]が並んでいたほうが直感的に使えると思うのだ。
って、メーカー開発陣多数が長期間に及んで煮詰めたインターフェイスに対し、一個人が文句言っても始まらないんですけどネ。しかし、メーカーのお仕着せな仕様に対する不満を抑えすぎると、メーカーは「あれで正解だったのダ」と勘違いするってのもあるし。
と、細かい違和感はあったが、EOS DIGITALシリーズを使っていたユーザーなら、すぐ使い始められるし慣れられると思える40D。操作感については、EOS DIGITAL純血な感じですな。
■ 便利な人には便利なライブビュー機能
さて、40Dのライブビュー機能はどうか!? てなコトだが、拙者的結論から言えば、40D独自の“オイシげな利便”を少々持つ機能だと感じる。また、実用性もなかなか高そうだと思ったりした。
40Dでライブビュー機能を使うには、事前に若干の設定が必要だが、これを済ませれば本体背面・サブ電子ダイヤル中央のの[SET]ボタン操作で、ライブビュー撮影と通常撮影を切り替えられる。また、ライブビュー中にAFを動作させることもできる。が、この場合はいったんミラーダウン動作が起きる。
オイシイ、とか思ったのは、AF動作時の速度。AF自体がお利口さんな40Dなので、僅かな間でミラーダウン→AF合焦→ミラーアップが済むこと。
AFを使わない場合、手動でピントを合わせるが、この時は液晶モニターの表示を等倍・5倍・10倍に変更できる。この場合も、40Dの液晶モニターはデカくて高精細なので思いのほか見やすい。ピントの山も掴みやすいので、場合によっては光学ファインダーより活躍するかもしれない。
他、ライブビュー時に静音撮影ができたりするのもちょっとしたメリットと言えよう。ミラーダウン等のメカの挙動を省き、静かにシャッターを切れる機能ですな。特に静音撮影モード2を使うと、一眼デジらしからぬ低騒音にてシャッターを切れる。レンジファインダーカメラっぽくて新鮮。とは思うのだが……実際どういうシチュエーションで役立つか、いまひとつピンと来ない。
ただ、ライブビュー機能に関し、大胆な俺的結論を言えば、やっぱりオリンパスのE-330のそれが一番実用的かな~、と。例えばAFのためにミラーダウンしたりしないとか、液晶モニターが可動式であるとか、ライブビュー機能を活かす使い方をするには理想に近いボディだと感じる。
E-330以外のライブビュー対応デジ一眼は、オリンパスのE-410やE-510あたりも含めて、基本的に三脚にカメラを据え付けた時に使う機能、ですな。マクロ撮影しまくりな人には便利だと思うし、やや特殊な環境でのスタジオ撮影にも向くのではなかろうか。ただ、一般撮影シーン&中~上級者においては、そーんなに広く活用される機能ではないような気もする。
■ 40Dでブツ撮りしたら、どうよ?
フツー的観点では活用幅があまり広くなさそうな40Dのライブビュー機能だが、拙者環境でのブツ撮りにはイイかも!! と思った。
液晶画面は固定式だが、大きく見やすいし、ライブビュー時の操作性もなかなか良い。また、AF動作時の挙動も速いので、快適にブツ撮りをこなしていけるのでは!? と想像したわけだ。
結果、どうだったかと言えば、思ったよりも快適ではなかった。いや、十分ブツ撮りとかに使える40Dのライブビュー機能で、それ自体は悪くなかった。が、連続ブツ撮りにはあんまり向かない!? というかACアダプタ必須? 電池が意外に保たないのだ。
拙者環境では、40DとPCをUSB接続し、PC側でEOS Utilityを使って、撮影直後にPCへと画像を転送している。ライブビュー機構と転送動作が電気食ってるのか、被写体をセットして、撮影して、画像をチェックして……てな作業を繰り返していると、100カットくらいで電池マーク1個みたいな状況になる。トータルで1時間少々保ってるのかな、保たないのかな、てな印象。ま、単純に予備電池1個用意すれば、撮影中、余った1個を充電してれば撮影し続けられるんですけどネ。
ともかく40Dのライブビュー機能でブツ撮りしまくっていこうかナ、と思ったが、40Dのライブビュー機能は使わなくていいや、という結論に。でも、40Dでしばらくブツ撮って行こう!! というコトにも。
結論から言うと、EOS Utilityがナイスであった。5DでEOS Utilityを使ったことはあったが、その時はあまり便利だとは感じなかった。が、40DとEOS Utilityを連携させてみたら、なんかヤケに実用的&楽しいと感じたのだ。
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EOS DIGITALシリーズで使えるEOS Utilityソフトウェア。カメラから画像を取り込んだり、カメラのリモートコントロール等ができる
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EOS Utilityでカメラの設定/リモート撮影機能を使っているところ。PCに40Dを(USB)接続すると、このような表示になる
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こちらは5Dを接続したところ。40D接続時よりもコントロールの自由度がずいぶん下がってしまう(悲)
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例えば、40Dのライブビュー撮影を、PC上から行なえる。要は、40Dが現在捉えている光景が、USB経由でPCに送られ、その画像がPC上に表示されるのだ。また、その画像は40Dが捉えている光景に合わせ、リアルタイムで変化する。
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EOS Utilityの設定/リモート撮影機能から、ライブビュー撮影機能を呼び出したところ。40Dが捉えている光景が、そのままリアルタイムでPC画面上に表示される。もちろん撮影できる
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グリッド表示を行なったところ。他、画面の回転ができたり、リアルタイムでヒストグラム等の表示が見られる
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ホワイトバランスのリモート変更も可能。他、マウス操作によるフォーカシングもできる
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この機能、プロ仕様の撮影スタジオ&PCがある環境でないと実用性を発揮しないと思うが、40Dのライブビューの別観点からのメリットを感じさる。ていうか、40D買った人は、とりあえずPCとUSB接続してEOS Utility起動して遊んでみると楽しいっスよ。
拙者環境において超実用的なのは、EOS Utilityの設定/リモート撮影機能全般である。まず、40D接続時の画面表示がなかなか便利。リモート撮影というだけに、PC上で撮影やカメラの設定が行なえるのだが、けっこーわかりやすくて良い。
EOS Utilityの設定/リモート撮影機能から、40Dを遠隔的に設定しているところ。シャッターを切ることはもちろん、撮影画像サイズ、露出補正、ピクチャースタイル選択等々、様々な操作を行なえる
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機能名が“設定/リモート撮影機能”なので、PCから40D等を操作するためのソフトに思えるが、カメラ側を操作してしまっても一向にかまわない。また、カメラ側を操作すると、その操作結果が逐一ソフト側に反映される。ので、カメラ側の設定を大きな表示で一望できるウィンドウとしてEOS Utilityを使うこともできますな。
このEOS Utility、拙者的に最も良いと感じるのは、撮影画像の転送速度と安定性。最低圧縮率・最大サイズJPEG(2MB前後)で撮っても、転送は一瞬。待たされる感じはない。RAW+最低圧縮率・最大サイズJPEG(合計で14MB前後)で撮っても2秒弱で済む。実際は40Dのファインダーを覗き、シャッターを切り、その後にPCの画面を見るので、画像転送に時間がかかっているという感覚はほとんどない。
安定性については、このテの画像転送ユーティリティって、例えば設定を超高速でやったり、そうした後に連写したりすると、ストールしちゃうことがある。が、EOS Utilityの場合、設定を変えまくろうが連写しようが、平然と動き続けて画像を転送し続けており、使い始めて一ヶ月程度経つが、不調らしきケースには遭遇していない。
拙宅ブツ撮りにおける40D、ライブビュー機能については全然活躍していないのだが、AFの賢さ、ファインダーの見やすさ、そして何よりもEOS Utilityと連携させた時の使い勝手から、もはや手放せない道具となっている。
■ URL
キヤノン「EOS 40D」製品情報
http://cweb.canon.jp/camera/eosd/40d/
2007/10/15 15:54
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
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