スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

40インチの曲面ディスプレイで表示を最適化してゆくッ!!!

Dell「U4021QW」でここ数年のモヤモヤを解消♪

Dell(デル)のデジタルハイエンドシリーズ・40インチワイド曲面USB-C HUB モニタ-「U4021QW」

 ここ数年、デスクトップコンピュータにおいてモヤモヤを感じていた。使っているディスプレイはDell「P4317Q」で、42.51インチの4Kディスプレイ。これをMac Proと接続している。解像度は3840×2160ドット(UHD)。

Dellの42.51インチ 4Kマルチモニター「P4317Q」(製造完了品)

 このディスプレイ↑は4K表示にしたとき、その画面サイズがナイス。3840×2160ドット表示で、パソコン側で文字などのスケーリングをせず、ちょうどいい文字・画像サイズで表示されて見やすいのだ。

 だが、その一方で、この大きさがちょっとした使いにくさにつながっていた。画面上方の表示を見るときに、「顔を少し上に向けて画面の上のほうの表示を見る」という動作が必要なのであった。普通のディスプレイの場合、顔はほとんど動かさずに視線だけ動かせばどの部分の表示も見えるが、このディスプレイはデカいので顔を動かす必要が出るってわけだ。

 それがやや面倒なので、ディスプレイ上のウィンドウ配置が「あまり使わないウィンドウを画面上部に追いやる」という感じになりがち。多用するウィンドウが上の方にあったりすると、作業中に何度も顔を上に向ける必要が出るからだ。

画面上部にはファイル表示のためのウィンドウ(Finderウィンドウ)を並べている。その下には多用するWebブラウザやテキストエディタのウィンドウを並べている

 こうやって画面上部にそーんなに使わないウィンドウを並べておけば、顔を上に向ける頻度が減らせて快適♪ ……いや、あの、ソレってこのディスプレイが使いにくいってコトでは>俺。いやそうじゃないんだ、このディスプレイは表示情報量が豊富だし表示サイズも適切だし、SwitchやPS4でゲームするにも快適だし、使いやすいんだゼ>俺。でも……画面の上が見づらいっていうのは>俺。いやいやそれは些細なコトで基本的には(以下略)。

 という感じで、顔を上に向けて画面上方を見る件について、モヤモヤしていたのである。いや「画面上方を見るときは顔を動かす必要があるが、そのほかは快適」と自分に無理に言い聞かせ、自分を騙し、自分を欺き続けてきたことについてモヤモヤしていたのかもしれない。

 そこで思い切って前出のDell「U4021QW」を購入。使った結果から言えば、若干の設定的な工夫は必要になったが、以前よりもかなり快適なディスプレイ環境が手に入った。やったァ♪ ということで、今回はこの曲面ディスプレイのレビューをば。

4K以下の解像度には下げたくない~、曲面使いたい~、そしてハブ

 ディスプレイをリプレイスしよう、と思ったきっかけはPC WatchのこのPR記事。「えっEIZOから曲面ディスプレイって出てたんだ!」と知り、EIZO「EV3895」を使ってみたくなった。サイズ的にも良さそう。

EIZO「EV3895」。37.5型・3840×1600ドット表示(UWQHD+)の曲面ディスプレイだ

 安心して使えるブランドだし、じゃあこのEV3895をサクッと買って顔上向けコンピューティングのモヤモヤを解消しようかな……と思った。のだが、しばらく考えてしまった。

 現在使っているディスプレイの解像度は3840×2160ドット。EV3895は3840×1600ドット。EV3895にすると、縦方向のドット数が560ドット減ってしまう。

 まあ使用中のディスプレイの上方をカットして曲面化したのがEV3895ってイメージなので、モヤモヤ解消にジャストマッチなEV3895ではある。ただ、縦560ドットがなくなるのは残念。デスクトップが狭くなるのはやっぱりイヤ。ていうか、より広いほうがいい。

 そこで曲面ディスプレイ製品をイロイロ調べてみた。高解像度の曲面ディスプレイはあるかな? と。

 探してみると、横3840ドット(またはそれ以上)の曲面ディスプレイの多くが、縦1440ドットだったり1600ドットだったり。3840×2160ドットの曲面ディスプレイもあったが、サイズ的に小さかった。

 結局、Dell「U4021QW」が、俺が使っているディスプレイより高解像度の曲面ディスプレイであった。U4021QWの解像度は5120×2160。

Dell「U4021QW」は約40インチの曲面ディスプレイで、解像度は5120×2160ドット

 ただこのディスプレイ、お値段お高め。メーカー直販の標準価格は30万6681円。しかしなんだかんだでいつも割引していて、23万円台で買えたりする。

 23万円台でもちょっとお高めだなぁ……と思いつつ詳細を調べてみたら、あらこのディスプレイ、Thunderbolt 3接続のUSBハブ機能がある。むむむ。む。じゃあ買うか。

 そして直販ページを見てビックリ。いつもやってるっぽい割引に加え、さらに期間限定の20%オフクーポンが適用でき、今だけナンと19万384円!!!

U4021QWを注文したのは2021年10月3日。期間限定でダブルの割引が適用されたのであった

 てな感じでお買い上げ。曲面ディスプレイであること、解像度がより高いこと、USBハブ機能が便利そうなこと、そして期間限定の割引に後押しされて購入したのであった。

 ……問題は、縦方向の解像度が変わらないものの、縦方向のサイズが小さいこと。表示も小さくなるわけだが、老眼にそれが耐えられるのか? まあ表示設定でアプリのフォントサイズを大きくするとかで、どうにかなるっしょ!!!

Macとの相性があるらしい……

 久々に新しいディスプレイを購入ということで、ワクワクが強め。注文から5日くらいで届くということで、楽しみにしていた。

 のだが、ひとつ懸念が。使用中のApple「Mac Pro(Late 2013)」が、U4021QWの解像度に対応しているかどうか。4K(3840×2160ドット)は出せているが、5120×2160ドットは無理かな~。調べたものの、よくわからなかった。

使用中のMac Pro(Late 2013)はU4021QWの最大解像度5120×2160ドットで表示できるのだろうか? 無理っぽい予感!!!

 結果、Mac Pro(Late 2013)だと5120×2160ドットは出力できなかった。3840×2160ドットでの出力となり、U4021QWの左右になにも表示されない空間ができてしまうのであった。また接続方法によっては色も正しく出なかった。

 じゃあ新しいMacを購入!!! じつはU4021QWが到着するまでの間、上の懸念について調べていて、Amazonで売られているU4021QWのカスタマーレビューの情報から、どうやらMac mini(M1)なら対応しそうなのであった。

予感的中でMacも新調!!! Mac mini(M1/2020)を購入した

 ディスプレイの買い替えがMacの買い替えにつながってしまった。ともあれ、Mac mini(M1/2020)とU4021QWをThunderbolt接続したら、アッサリと5120×2160ドットで表示された。

Mac mini(M1/2020)とU4021QWをThunderbolt接続したときのシステム環境設定「ディスプレイ」の表示。5120×2160ドットで表示できた

 余談だが、じつはMac miniじゃなくてMacBook Proを買ってクラムシェルモードでU4021QWにThunderbolt接続しようと考えていた。Thunderboltでパソコンと接続するとUSBハブ機能も使えるU4021QWは、ノートパソコンと組み合わせて使うと利便倍増かナ? とか思ったので。

 しかしMacBook Proを買おうとしていて気付いた。あっそう言えばAppleのイベントが……新しいMacBook Proが発売されそう。どうせMacBook Pro買うなら新しいのがいいなあ、ということで、とりあえず的にMac miniを購入したのであった。「とりあえず」とか言って買ったものの使ってみたら爆速で驚いたって話は、また別の機会に。

いきなり役立ったPBP機能、2台のパソコン併用にも便利

 U4021QWは高性能かつ多機能で、単なるディスプレイの範疇にとどまらない製品になっている。なので、その詳細は公式カタログサイトマニュアル類をご覧いただきたいと思う。ここでは使ってみて「これは良かった」という点に絞ってレビューしていく。

 まずイキナリ役立ったのは、2つの入力ソースを同時に表示する機能。U4021QWには画面上に子画面を重畳表示するPIP(ピクチャーインピクチャ)に加え、2つの画面を横並びにできるPBP(ピクチャーバイピクチャー)機能があり、これが便利だった。

 U4021QW導入にあたって、Mac ProからMac miniへの環境移行が必要になった今回。通常は、1台のディスプレイに両コンピューターを接続して、都度入力ソースを切り替えて画面表示を行ったりする。快適なのは2台のコンピューターにそれぞれ別のディスプレイをつないで、両方の表示を同時に見るやり方だ。

 U4021QWだと、2台のコンピューターを同時に繋ぎ、それぞれの表示を並べて見ることができる。これがMac ProからMac miniへの環境移行時に、とても快適であった。

奥にあるMac Proのファイルやアプリを、手前にあるMac miniに引っ越しする。macOSの場合、こういった引っ越しはシステム標準の「移行アシスタント」を使えば非常に容易で、新旧のMacを同じネットワーク下でつなぐなどすれば「Macの丸ごとコピー」ができる。バックアップからの丸ごとコピーも可能。iPhoneからiPhoneへの機種変更みたいな感覚だ
U4021QWに2台のMacをつないでPBP(ピクチャーバイピクチャー)機能にて表示している様子。左側にMac mini、右側にMac Proを表示している。作業序盤では、それぞれの画面を見ながらチェックなどする必要があるので、1台のディスプレイのみで作業を行うと入力切り替え操作が煩わしくなる

 こうすることで、U4021QWだけで快適に環境移行を行えた。まあキーボードとマウスは2セット必要になるが、40インチディスプレイ+もう1台のディスプレイとなるとかなり場所を取って大変なので、U4021QWのPBP機能には大いに助けられた。

 なお、U4021QWのPBP機能は2つの入力ソースを左右に分割して表示するスタイル。分割の比率は変えられて、左と右を50%:50%、80%:20%、20%:80%、75%:25%、25%:75%に設定できる。

 U4021QWの場合、解像度は5120×2160ドット(WUHD)なので、PBP機能で2画面表示にしても、各デスクトップは十分広い。50%:50%にした場合、それぞれ2560×2160ドットもある。デスクトップパソコンとモバイルパソコンの併用、異なるOSの2台のパソコンの併用など、色々用途はありそうだ。攻略サイトをパソコンで閲覧しつつ、片側にゲーム機の表示を出して遊ぶ、みたいなことも現実的かもしれない。

最初は戸惑ったが、結局とても快適♪

 Macの環境移行が済んだら、さっそくU4021QWでいつものようにMacを使う。のだが、最初はちょっと戸惑った。

 これまで使っていたディスプレイは42.51インチで、解像度は3840×2160ドット(UHD)。新たに使い始めたU4021QWは約40インチで、解像度は5120×2160ドット(WUHD)。画面サイズは、U4021QWのほうが少し小さい(縦はかなり小さい)。

 つまりは、これまでより表示が少し小さくなる。前のディスプレイの画素ピッチは0.2451 mmだったが、U4021QWの画素ピッチは0.1815mm。表示される各要素は、以前の約74%に縮小されてしまった。

 その差を体感すると「うわ、小さい」と少々不安になった。老眼で見えにくさ進行中なのに、さらに表示サイズ縮小ですとっ!!! さぁ、どうしましょ?

 しかしmacOSやアプリの設定で画像や文字の表示サイズを大きくしていったら、「まぁ大丈夫かな」というところまでもっていけた。U4021QWの表示画素数を変えることなく、使える表示サイズにできた。ともあれ、前のディスプレイとU4021QWでの表示を比べてみよう。

以前の4Kディスプレイ。幅:は973.1mm
新たに導入したU4021QW。幅は946.6mm。幅は以前のディスプレイとそれほど変わらないが、横画素数が3840ドットから5120ドットに増えている
以前のディスプレイでは画面上方を見るのに顔を動かして少し見上げる必要があった
U4021QWでは顔を上に向ける必要なく、視線移動だけで画面のほぼ全体を見ることができる
以前のディスプレイでのウィンドウ配置。画面上部には頻繁に使わないウィンドウを並べていた
U4021QWでのウィンドウ配置。試行錯誤中だが、「どの位置のウィンドウでもスムーズに見られる」という感覚があり、より快適になった。同時に表示できるウィンドウ数も増えたので、かなり効率的に作業できるようになった
こちらは原稿を書いているときのウィンドウ配置。テキスト入力、Webブラウジング、メモ、ファイル操作など、それぞれの作業のどれかがやりにくいという印象はなくなった
こちらは以前のディスプレイでの別画面。macOSでは、Mission Controlを使って操作スペースという追加のデスクトップを作って使うことができるが、ソレ。Windowsの「仮想デスクトップ」に相当する機能ですな。その別画面ではレタッチソフトと画像ブラウザを並べてフォトレタッチ中。しかしこの場合も、画面の上のほうは使っていない
U4021QWでフォトレタッチしている様子。レタッチソフトと画像ブラウザをより大きく表示しても快適に作業できるようになった。また横方向の解像度が高くなったので、両アプリで表示できる情報量も増え、作業効率が高まった
画像ファイル整理中の様子。フォルダからフォルダへのファイルコピーも、これだけのサムネイルを見ながら行えると、かなり効率的だ。クイックルック(スペースバーを押して画像を大きく表示するなどの操作)を使うと、U4021QWの解像度の高さがより活かされ、ピントや色を一瞬で精査できることが少なくない

 それからカーブスクリーン。2500R(mm)という緩やかな曲面ディスプレイだが、デスクワークに使うのにちょうどいいように思う。というか、意識しないと「画面がカーブしている」ということを忘れるレベルだ。

 ほか、最新かつ比較的にハイエンドなディスプレイということもあり、発色や明るさやコントラストにも文句なし。気分よく使えるU4021QWだが、俺の場合は「この表示が微妙に小さいかも」と感じることがあるので、もう少しウィンドウ配置や表示サイズのカスタマイズを続けていく必要があるかも。

ディスプレイ+USBハブ、スゲく便利かも!!!

 U4021QWにはUSBハブ機能が搭載されている。パソコンとUSB(USB 3.2 Gen 2/USB-C)で接続すると、ディスプレイ背面にある各種ポートをUSBハブとして使えるというものだ。ネットワークポート(RJ-45)もあり、ルーターと接続すればネット接続対応のUSBハブとしても機能する。

U4021QW背面の様子。1はセキュリティロックスロット(ケンジントンロックの穴)、2は電源コネクター、3と4はHDMIポート、5はDisplayPort、6はオーディオ出力、7はThunderbolt 3(90 W)/DisplayPort、8はUSB Type-Bアップストリームポート、9と11はUSB Type-Aポート(USB 3.2 Gen2)、10はネットワークポート(RJ-45)、12はUSB-Cポート(USB 3.2 Gen2)、13はスタンド用ロック穴、14は内蔵スピーカー

 U4021QWと接続するPCと、同時にUSB接続もすれば、U4021QWがUSBハブになるというわけだ。7のポートは90W給電に対応しているが、こういうのは「AC100Vから電源を取っているディスプレイ」ならではのリッチな感じの給電機能ですな。

 なお、Mac miniの場合、Thunderbolt接続するだけで映像も表示されるしUSBハブ機能も使えるようになる。Mac miniの少なめのポート類が、いきなりU4021QWで拡張された!!! という良さを痛感した。

 この、U4021QWのポートリプリケーター的機能(っていうかポートリプリケーターそのもの)を使うと、「あーそうかー、MacBook Proをデスクトップでも使うという手が、より身近になったなーコレ」と痛感する。いやむしろ、史上最強に強まりまくった新型MacBook Proを、このディスプレイと組み合わせつつ、デスクトップマシン兼モバイルノート兼イザというときの持ち出し避難パソコンとして、ぜひ買ってゆきたいッ!!! とか思う俺なのであった。

 ほか、細かいところでは、画面下部にある2つのポート(11のUSB Type-Aポートと12のUSB-Cポート)は、ナニゲに使いやすい。ちょっと外部機器を接続、ちょっと充電、てなときにイイ位置にあって便利だ。

本体左側下にある2つのUSBポート。手探りで使うことになるが、慣れるとけっこう便利に使える

 それと、狭額縁だからということなのか、操作ボタンは本体背面にある。右手で背面を探って操作する感じだが、微妙に使いにくい気がする。が、たま~にしか使わないので、まあこれでもいいかな、と思う。

本体背面左側(本体前面右側の裏)にある電源ボタンとOSD(ディスプレイ設定用の表示)操作用のジョイスティック。横一列並びの上下左右ボタンよりは便利だが、操作性はそーんなによくない気がする

 それにしても、こういうディスプレイってアレですな、「手持ちのパソコンと接続してディスプレイの性能を活かし切れるのかどうか?」ってところが、やっぱり重要ですな。非常にナイスなディスプレイなのでオススメではあるが、組み合わせるマシンとの相性をしっかり調べるのが、まず重要だと言えよう。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。