レビュー
「Galaxy S25 Ultra」レビュー AI機能の本格的な運用方法が見えてくるハイエンドスマートフォン
2025年2月7日 00:00
2025年1月23日未明(日本時間)に開催されたGalaxy Unpackedにて、サムスンはGalaxy S25シリーズを発表。日本では、例年通り、スタンダードモデルの「Galaxy S25」、最上位モデルの「Galaxy S25 Ultra」が発売される。
日本発売に関しての大きな話題は、ドコモ、KDDIに加えて、ソフトバンクでも取り扱われる点だろう。リセールバリューも高く、人気のGalaxyシリーズを採用することで、他キャリアからの乗り換え促進、新規ユーザーの獲得を狙っている様子がうかがえる。
また、キャリア版と同時に、Galaxy S25シリーズは、オープン市場向けモデルも発売されるため、契約回線にとらわれず、多くの人が手に取りやすいのも特徴だろう。
本記事では、最上位モデルとなる「Galaxy S25 Ultra」を試し、使用感や新機能について紹介していく。
ディスプレイは少し大きく、それでも持ちやすく進化
デザイン面を見ると、「Galaxy S25 Ultra」は、前モデルのGalaxy S24 Ultraから、あまり変わっていないようにも思うが、細かなポイントがアップデートされている。
ディスプレイサイズは、前モデルから0.1インチ大型化し、6.9インチとなった。これはディスプレイのベゼルがより狭くなったことに起因するため、本体サイズ、質量はほぼ変わっていない。
左右側面は、新しくフラットなデザインになっている。前モデルは丸みを帯びていたこともあり、フィット感が心配な変更点だったが、薄型化、軽量化がはかられていることから、握りやすさがアップしている。
そのほかのデザインコンセプトは基本的に変わらず、背面カメラの配置や、下部左側に格納されたSペンなどは踏襲されている。うれしいのは、Samsung.com限定カラーを含み、計7色のカラーバリエーションが用意された点だろう。
今回はチタニウムブラックを試しているが、指紋の付着も目立たず、シックで高級感のあるデザインが気に入っている。
一点気になるのは、Sペンの機能が簡略化されている点。特に今回の「Galaxy S25 Ultra」では、Sペンによるリモートシャッター機能に非対応となったのが話題だ。他メーカーにはない、タッチペン格納式という利便性を享受したいユーザーからすると、機能の削減は少々残念に思う
アプリ間の連携までできるようになった最新のAI機能
これまでも、メールの返信文の作成のように、単一アプリで作業を代行してくれるユースケースはあったが、アプリを超越してAIが作業を行えるようになると、人間が行わなければいけないタスクはかなり簡略化されるだろう。今後は、スマートフォンでどのような操作を行うか、というより、AIにどのような支持を出すかが重要になるのかもしれないと思わされる。
本機能はグーグルとサムスンの共同開発という形で開発されているため、主にグーグルのアプリ、サムスンのアプリで利用できる。中でも、特定のスケジュールをWeb検索し、Google カレンダーに追加するといった使い方は、かなり便利に感じる。
一方、Gmailに届いたミーティングといった予定をGoogle カレンダーに追加することはできないなど、まだまだ不完全さを感じる部分はある。とはいえ、AIの使い方として、本格的に人間のアシスタントとして使えるようになってきたことが感じられる、ワクワクする機能だ。
その他の新しいAI機能としては、アプリの起動中などに、「AIセレクト」を起動することで、画面上の動きをGIF形式の動画として保存できたり、かこって検索では周囲で流れている音楽の検索もできるようになった。
また、AIをより個人の相棒的存在として育てる機能も追加されている。「Now Brief」は、ユーザーの普段の行動や好みを分析することで、必要なタイミングで欲しい情報を提供してくれる。朝起きたタイミングでは、その日のスケジュールや天気、夜寝る前には、明日の予定やその日のニュース、健康記録といったデータが表示される。
提供されるニュースがパーソナライズ化される、周辺の天気が確認できるといった機能は、これまでもそれぞれのアプリで利用できていたが、複数の情報を一括で届けてくれるのが、Now Briefの魅力。使っていくほど、個人に寄り添った情報が表示されていくので、気長に試していきたい機能となっている。
昨今、各スマートフォンメーカーがAI機能に注力しており、大きな競争の軸となっていることは疑いようのない。サムスンとグーグルの共同開発により、スマートフォンでできる最先端のAI機能が利用できることこそ、AIフォンであるGalaxy S25シリーズならではの魅力。
約半年後に発売されるであろう、Google Pixelシリーズにも、似たような機能が搭載される可能性は大いにあるが、One UIにAI機能をうまく組み込み、「AIを便利に使えている」という実感が持てるのは、さすがサムスンだと感じる。
AIの話題で言えば、iPhoneのApple Intelligenceの日本語対応も2025年中を予定してはいるが、どれだけ日本語で快適に使えるのかは未知数。Galaxyも、ボイスレコーダーでの文字起こしなどを使っていると、まだ日本語学習が万全ではない部分を感じることもあるが、先行して日本語でのAI機能に対応しているアドバンテージは大きいだろう。
アウトカメラは超広角カメラと仮想絞り機能に注目
アウトカメラは。2億画素メイン、5000万画素超広角、5000万画素+1000万画素望遠という構成。前モデルと同様に、最大100倍のデジタルズームを含む望遠機能が特徴ではあるが、超広角カメラの画素数もアップし、盤石の布陣になった。
写真の仕上がりは、Galaxyシリーズらしく、AIによって色味をパキっと補正し、きれいになる印象。カメラアプリは、デフォルトでズーム倍率が表示されており、ワンタップでズーム率の変更ができる。メニューボタンをタップすれば、各種設定に簡潔にアクセスできるのも、わかりやすくていい。
画素数のアップした超広角カメラは、端まで鮮明に撮影ができており、歪みなども見られない。光学3倍、10倍のズーム、光学相当の2倍ズームなど、多くのシーンに1台で対応できるのも、ハイエンドスマートフォンならではの利便性だと感じる。
100倍ズームは、どうしても画質の劣化が見られるのに加え、手ぶれによってとらえたい画角をおさめるのが難しいが、撮影後にはAIでの補正が強く入り、「何を撮影しているのか」はしっかりとわかる。
使っていて面白い新機能が、EXPERT ROWモードで使える、仮想絞り機能。仮想的ではあるが、F値の調節ができるようになっている。焦点を当てるポイントをスライダーで調節できるため、自分が撮りたい写真を表現する力が増しているのが魅力だ。
動画撮影にもAI機能が追加されている。便利なのがオーディオ消しゴム機能で、動画撮影時に録音された音声を、声、音楽、風、ノイズといったジャンルごとに識別し、それぞれの音量を小さくする、大きくするといった調節ができる。動画編集者だけでなく、SNSにちょっとした動画を上げる程度であっても、あると嬉しい機能だ。
文句なしのハイエンド仕様
搭載チップセットは、クアルコムのSnapdragon 8 Elite for Galaxyで、メモリは12GB、ストレージは256GB、512GB、1TBの3モデルとなる。チップセットの強化により、前モデル比で、NPU40パーセント、CPU37%、GPU30%の性能アップが見込めるとのことだ。
また、内蔵するベイパーチャンバーも40%大型化している。3Dグラフィックスを伴う、ヘビーなアプリゲームをプレイしていると、背面がほんのりと温かくなっていくのが分かるが、極端に温度が高くなることはない。
ゲーミングスマホなどを比較すると、温度は若干高いが、一般的なスマートフォンとして、最高峰の性能であるのは間違いないだろう。
そのほか、デュアルSIMやおサイフケータイ機能といった、使い勝手をよくする機能には一通り対応。Galaxyのハイエンドモデルということもあり、隙のない構成という印象だ。7世代のOSアップデート、セキュリティアップデートに対応しているのも、ユーザーとしてはありがたいポイントだ。