石川温の「スマホ業界 Watch」

「iPhone 15」シリーズ実機に触れて感じた“3つのサプライズ”

 今年もアップル本社で開催された毎年恒例のスペシャルイベントを取材した。

 コロナによって、現地で取材するメディアは、スティーブ・ジョブズシアターで、あらかじめ撮影・編集された動画を視聴するというスタイルになった。それでもプレゼン終了後にはハンズオンがあり、実機を触って撮影したり、関係者に話を聞けたりと、取材に行く価値は十分にあるのだ。

 ただ、iPhone関連は、事前にネットに噂話が多数、流れており、iPhone 15シリーズの発表に関しても「答え合わせ」に近い感覚もあった。噂通りの内容で「驚きがない」と思われがちだが、実際にiPhone 15シリーズを触ってみると、これが意外と「サプライズ」にあふれているのだ。

今回、一番驚いたのが、光学5倍のカメラが搭載された点だ。噂話でも「iPhone 15でペリスコープが採用される」という情報があった。

 これまでも、Androidメーカーでは光学ズームを搭載した機種は数多かった。ただ、いずれも 「ペリスコープ」として、レンズから入ってきた光をいったん折り曲げてスマホ本体内で距離を稼いでズームを実現する というものであった。まさにこれまで本格カメラがやってきた手法と一緒なのだが、こうした機構は、どうしても本体が大きくなり重くなる傾向が強かった。

 しかし、iPhone 15 Pro Maxにおいては、レンズから入ってきた光を4回、屈折させて距離を稼ぎ、ズームを実現するという機構だった。

 そのため、従来モデルであるiPhone 14 Pro Maxと比べても大きさの違いはないに等しい。従来のデザインやサイズ感を維持しながら、光学5倍ズームを載せてきた点に驚いてしまったのだ。

 実際にハンズオン会場で、光学5倍ズームを試してみたが、画質も悪くない。仕事柄、記者会見に出かけてiPhoneで撮影するものの、どうしてもデジタルズームでは画質に不満があった。これが光学5倍ズームが使えるようになると、記者会見などもiPhone 15 Pro Maxで撮影するというのも可能になってきそうだ。

 もうひとつ驚きがチタニウム素材の採用だ。ネットでも「チタンが来る」と噂されており、その通りになった感がある。

 個人的には噂話によるチタニウムの採用には全く関心がなかったのだが、実際にiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxを持ってみると、ビックリするぐらい「軽い」と感じ、一気に「買い換えたい」と思ってしまったのだ。

 筆者は現在、iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxの2台持ちなのだが(Androidも別に所有)、iPhone 15 ProとiPhone 15Pro Maxはいずれも軽く、本当に虜にさせられている。

 たった19gの違いでしかないが、これが 結構、ハッキリとわかるぐらいの違い なのだ。

 また、チタニウムによって、質感が大きく増しており、まさに「プロ向けiPhone」とも言える仕上がりになっているのだ。ここも驚きのポイントとも言える。

 ハンズオン会場にいた、某キャリア関係者に感想を求めたところ「チタニウムの仕上がりが素晴らしい。チタニウムは製造過程での加熱温度によって色が決まるが、4色展開で安定した色を出すには相当な技術が必要なのではないか」と舌を巻いていた。

 スマホをメーカーに発注してきたプロから見ても、アップルの技術は驚くべきもののようだ。

 3つ目の驚きとしては「USB-C」の採用だろう。

 これもヨーロッパからの圧力でアップルは対応せざるを得ないところまで追い込まれていたようだが、一方で、ユーザーとしても、動画や静止画のファイルが増え、Lightningではデータ転送が遅くという不満があるなか、ようやくUSB-Cにしてくれた感がある。

 そんななか、驚いたのが、アップルのこれまで培ってきたビジネスモデルを捨てたということだろう。

 アップルではサードパーティのメーカーがiPhone対応商品を作るときに「MFi(Made For iPhone/iPad/iPod)」といって、キチンと仕様通りに作ってるかなどを審査し、ライセンス料を取るというビジネスを展開してきた。この経済圏が大きかった故に、なかなかUSB-Cには切り替えられなかったとされる。

 しかし、今回は汎用性のあるUSB-C端子の製品で充電が可能となる。アップルとしては、相当、思い切った英断が必要だったのではないか。

 今回のiPhone 15シリーズに関しては、それなりに驚きがあり、業界にとっても注目に値する新製品といえるだろう。

石川 温

スマホ/ケータイジャーナリスト。月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。