iPhone駆け込み寺
今年の秋、どのiPhoneからの買い換えなら良コスパ?
2023年9月15日 18:42
iPhoneユーザーにとって新しいiPhoneが発売すると気になるのは「買い換えるべき?」ということだと思う。iPhoneは長く使える傾向にあるので、買い換えタイミングも見極めが難しい。
今回は各iPhoneが搭載するチップセットの性能を元に、どのくらいの世代のiPhoneが買い換えタイミングを迎えているかを解説していく。
iOS 17非対応モデルは買い換えタイミング
今月公開されるiOS 17は、iPhone XR/XS/SE(第2世代)以降が対応している。iPhone XやiPhone 8以前のモデルは非対応となるので、買い換えることを強く推奨したい。これらのモデルはベンチマークスコアも低いが、それ以前の問題だ。
古いiOSもセキュリティアップデートが提供されることがある。1つ古いバージョンくらいならアプリのサポートが切れることも珍しい。しかしそれでも特別な理由がない限り、最新OSを使うべきだ。
とくにiOS 17はiMessageの位置情報共有やAirDropの連絡先交換機能など、コラボレーション機能が強化されるので、たとえば子どものiPhoneなどは、優先的に最新OSを使うべきですらある。子どもにお古のiPhoneを与えている人なんかは、お古のiPhoneを更新するべく、自分のiPhoneを更新した方が良いかもしれない。
iPhone 11シリーズまでは買い換え検討を
iPhone 15シリーズとの性能差を考える上では、スタンダードモデルであるiPhone 15/15 Plusが搭載するA16 Bionicとの比較がしやすい。というのも、A15 BionicはiPhone 14 Pro/14 Pro Maxも搭載するので、現時点でもベンチマーク測定が可能だからだ。もちろんシステムメモリ容量や細かいスペック差がある可能性はあるが、シングルコアのスコアはシステムメモリ容量などに影響を受けにくいので、参考にはなるはずだ。
実際のベンチマークスコアについては、細かい数値やら注釈やらがあるので後述する。
まずiOS 17対応モデルの最下限となるA12 Bionic搭載モデル、iPhone XS/XS Max/XRについては、ベンチマークスコアがA16 Bionicの半分以下となるので、そろそろ買い換えタイミングとなる。
A13 Bionicを搭載するiPhone 11シリーズやiPhone SE(第2世代)も、最新世代の半分と言わないまでも、2/3くらいの性能しかない。下の世代との差は大きいものの、上の世代との差も大きい。
このあたりの世代だと、iPhone XR/SE(第2世代)だけ、システムメモリが3GBなので、マルチタスク的な使い方やリッチなコンテンツを使うとき、パフォーマンス低下を体感しやすいかも知れない。
つまりiPhone 11以前のモデルは、OSサポートが続くものの、いわば「ボーダーラインの下の方」となる。性能差が大きいので、最新モデルへ買い換えたときの効果は高い。OSサポートが残っているうちに売却して買い換えるのも良い選択肢だ。
iPhone 12シリーズ以降はまだまだ使えそう
A14 Bionic搭載のiPhone 12シリーズはというと、新しい世代との差がそこまで大きくない。ほかのチップセットは1世代変わるとベンチマークスコア(シングル)に15~25%の差があるが、A14 BionicとA15 Bionicだけ8%程度と、性能差が小さいのだ。
こうなると買い換えの効果は小さい。筆者個人的な予想だが、iPhone 12世代はあと2年は快適に使えるのではないだろうか。
iPhone 13シリーズやiPhone 14シリーズはというと、さらに買い換える必要性は低い。逆に言うと中古で売却するときの買取価格も高いので、早めの買い換えも悪くはない、とも言える。
筆者の個人的な考えでもあるが、iPhone 12以降のそこそこ十分なスペックのモデルであれば、下手に買い換えるより、別デバイスやアクセサリを買い足した方がユーザー体験は向上しやすい。とくにiPadやApple Watchを未使用の人は、iPhone買い換え資金をそちらに回した方が幸せになれる……かも知れない。
参考データ:過去のiPhoneのベンチマークスコア
参考までに、筆者がベンチマークアプリ「Geekbench 6」で測定したチップセット別のスコアを以下に掲載する。各スコアの右隣の%は、A16 Bionicのスコアを100%としたときの割合だ。搭載iPhoneのうち赤字のものが今回の測定に使ったモデルになる。
ベンチマークアプリはチップセット性能を客観的に判断するためのものだが、ユーザーが体感できる差とはまた異なることなどにご注意いただきたい。
今回は筆者の所蔵するiPhoneコレクションから状態の良いものをピックアップし、iOS 16.6.1にアップデートしてから計測している。同じチップセットを搭載していても、モデルごとにスコアは微妙に違うことがあるが、そもそも同一個体でも計測ごとにスコアは上下する。連続して計測すると発熱で30%とか下がることもある。今回は4回測定し、異常値を除外しつつもっとも大きな数値を採用したが、±5%くらいの誤差はご容赦いただきたい。
Geekbench 6は最新のベンチマークアプリなので、最新のチップセットが得意とするような新しいプログラム技術が多用されているはずだ。また、最新のベンチマークアプリは処理が重ためにもなっているので、古いモデルだと発熱して性能制限もかかりやすい。今回測定した中だとiPhone Xはベンチマークを完走できず、アプリが強制終了することが何度もあったくらいだ。
つまり、ベンチマークアプリは極端な処理をさせることで性能差を計測しようとしているので、実際のアプリよりも古いモデルでパフォーマンスが低下しやすい。普通のアプリはゲームも含め、多くのユーザーに使ってもらえるよう、ちょっと古いiPhoneでも動くようにデザインされるものだ。しかし数年後、古さがちょっとどころでなくなり、各アプリのメインターゲットから外れてくると、このくらいの差が出てくる可能性がある、そんなイメージで見ていただければと思う。
USB-C対応は買い換えの理由になる?
iPhone 15シリーズでの大きな変更ポイントとしては、Lightningポートが廃止され、代わりにUSB-Cポートが搭載される。汎用性の高いUSB-Cケーブルで充電が可能になるのは歓迎するべきポイントだが、買い換えの理由としては薄い。
というのも、iPhone 12以降であれば磁石で貼り付く非接触充電、MagSafeに対応する。そして多くのユースケースにおいて、片手・ノールックで使えるMagSafeの方がUSB-CやLightningより便利だ。Lightningケーブルが面倒くさい、と感じている人は、まずはMagSafe充電器を買いそろえることをオススメしたい。
一方でiPhoneのUSB-C採用により、USB Type-Cのスマートフォンアクセサリが増えることも期待できる。たとえばProモデルは高速外部ストレージがあれば非圧縮動画をそちらに直接記録できるようなので、映像製作などをやってる人は注目するべきポイントかも知れない。