レビュー

「iPhone 15」シリーズ全4モデルをレビュー、進化したポイントは

 9月22日に発売となるiPhone 15シリーズ全4モデルを数日間、試して使っている。

 ぱっと見の印象はこれまで数年間、発売され続けている従来のモデルとほとんど変わらない。アップルとしては、もはやこのデザイン、サイズ感を「スマートフォンの完成形」としているのだろう。

 9月12日に行われた新製品発表プレゼン動画を見るまでは「代わり映えしないな」と思っていたが、その直後に行われたタッチアンドトライ、さらに数時間、実際に使用してみて「完成度が上がっている」。そんな印象に変わった。

 個人的に満足度が高いのがiPhone 15 ProとPro Maxだ。

 やはり、新たにチタニウム素材によって、高級感が増した印象だ。手触りもしっとりとしていて、いつまでも持っていたい感じがする。

 昨年モデルとなるiPhone 14 ProやPro Maxは角の部分が直角が手に当たってちょっと痛かったりもした。今回のiPhone 15 ProとPro Maxは丸みを帯びており、もちやすく違和感のないのが気に入っている。

 側面部分もマットなテイストになっており、指紋などは目立たなくなっている。実際に使用しているのがナチュラルチタニウムというカラーであったため、他機種よりも目立ちにくいのかも知れない。

 チタニウム素材によって軽くなっているのも魅力だ。実際、前モデルと比べて19g軽くなっており、手に持ってもしっかりわかるほどの変化だ。これまでのProやPro Maxは年々、重量感が増してきただけに、この進化は喜ばしいことだろう。

 チタニウムと聞くと最強なイメージもあるが、当然、使っているうちにキズがついてしまう可能性がある。今回、ファインウーブンケースというカバーをつけて持ち歩いているが、こちらもしっとりしていて、ちょっとだけひっかかりがあるなど、独特な風合いに仕上がっており、これまでの純正カバーにはなかったので、しばらく使ってみようと思っている。

 地味ながら便利な進化といえるのが「アクションボタン」だ。

 これまで静音モードへの切り替えができたスライド式のスイッチがなくなり、長押しすることで機能を起動できるアクションボタンが設置された。

アクションボタン

 長押しすることで、静音モードに切り替えることができるが、設定を変えることで、カメラやボイスレコーダー、拡大鏡などの一発起動にすることができる。特定のアプリも、ショートカット経由で割り振ることも可能で、一般的にはPayPayなどのスマホ決済アプリを割り振っておけば、レジでさっとアプリを起動できて便利だろう。

 個人的には、仕事柄、「会見の受付で並んでいたら、幹部が話しかけてきたので、ボイスレコーダーをすぐに立ち上げたい」とか「普段、見かけないキーマンを見かけたのですぐに動画を撮影したい」とか、取材に関するアプリをすぐに立ち上げられると嬉しいなとは思った。

 残念ながらアクションボタンではひとつのアプリしか割り当てられないので、このあたりはどこかのタイミングでアップデートして対応してほしいものだ。

 ケータイ Watchの読者としてはLightning端子からUSB-C端子への切り替えはまさに待望だったのではないだろうか。AndroidスマートフォンとiPhone、さらにはノートパソコン、タブレットを一緒に持ち歩く「同胞」の笑顔が想像できるほどだ。

 これで、ようやく出先にLightningケーブルとUSB-Cケーブルの2本持ちから解放される。

 今回、全4モデルでUSB-Cになったものの、iPhone 15とiPhone 15 PlusはUSB 2なのに対して、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxではUSB 3という違いがある。

 全4モデルで1メートルのUSB-Cケーブルが同梱されているが、すべてUSB 2対応となっている。つまり、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxでUSB 3を使いたければ、別途、対応ケーブルを用意する必要があるのだ。

 ちなみに「Anker Prime Charging Station」につないで、バッテリー残量が半分程度の本体を充電してみたところ、iPhone 15と同梱ケーブルは5.29Vで1.19A、iPhone 15 Pro Maxと同梱ケーブルでは9.02Vで1.27A、iPhone 15 ProとUSB 3ケーブルでは9.02Vで1.20Aという結果となった。

 ちなみに、それぞれMacBook Proから4GBの動画ファイルを送ったところ、USB 3であれば27秒、USB 2は2分30秒、AirDropで送ったところ1分25秒だった。MacBookユーザーであれば、AirDropが使うのが便利だし、Windowsパソコンとのやりとりをするのであれば、USB 3ケーブルが必須と言えそうだ。

 カメラに関しては、特にiPhone 15 Pro Maxでは、アップルは「7つのレンズを持つ」という言い方をしており、マクロ、13mm、24mm、28mm、35mm、48mm、120mmを切り替えて使えるというアピールをしている。

 これまでiPhoneのカメラは「誰でも簡単に綺麗に撮影できる」というスタンスだっただけに、iPhone 15 Pro Maxはカメラに関して「マニアック」になりつつある。

 実際、1倍での撮影モードでも24mm、28mm、35mmをワンタップで切り替えるユーザーインターフェイスになっている。カメラ起動時にこの3つのうち、どの焦点レンズで起動するかをあらかじめ決められるというこだわりようだ。

24mm
28mm
35mm

 実際、120mmの光学5倍ズームでいろんな場所を撮影してみたが、確かに画質が落ちることなく、ズームできるのは結構、便利だ。また、マクロも申し分なく、ストレスなくキッチリ寄れて撮影できるのは心強い。

光学5倍ズーム
デジタル25倍ズーム
マクロ

 筆者の場合、仕事柄、記者会見やタッチアンドトライ、インタビューなどカメラを使う機会が多いのだが、一眼カメラの場合、ピントが結構シビアで現場で上手く撮影できていたと思ってたら「ろくろを回している指先にピントがあってしまい、顔がぼやけていた」なんてミスが多かったりする。最近ではiPhoneで撮影する機会が本当に増えているのだが、記者会見時は120mm、タッチアンドトライはマクロ、インタビューは35mmといった様々なシチュエーションで、失敗することなく撮影できるiPhone 15 Pro Maxのカメラはかなり重宝しそうだ。

 iPhoneを連絡や事務作業、情報収集、カメラ、Web会議など、朝から晩まで使い倒している人は、軽くてカメラの使い勝手もよく、データ転送も早いiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxを選ぶといいだろう。