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第397回:NetFront Browser Widgets とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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NetFront Browser Widgetsの概要
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「NetFront Browser Widgets」は、携帯電話などの組込機器用ブラウザ「NetFront」を開発しているソフトウェアメーカー、ACCESSが提供するウィジェットプラットフォームです。ウィジェットとは、ガジェットとも呼ばれるもので、パソコンのデスクトップ画面や携帯電話の待受画面など、常に表示される画面の一部に、RSSリーダーや天気予報、アナログ時計といったシンプルな機能を表示する小さなプログラムや、そういったプログラムを実行させるような仕組みのことです。
「NetFront Browser Widgets」は、Windows Mobile搭載機器やSymbian S60搭載のスマートフォンに対応しています。ウィジェットを稼動させるためのプレーヤーソフトである「NetFront Browser Widgets プレーヤー」とウィジェットアプリをACCESSのサイトからダウンロードすれば、待受画面上に世界各地の週間天気予報を表示させたり、コミュニティサイトで友人の新着日記の有無などを確認したりできるようになります。
■ ソフトバンク、ウィルコムで導入
Windows MobileやS60以外だけではなく、ウィルコムのPHS端末「WILLCOM 9」で利用できるサービス「ウィルコムガジェット」もこのプラットフォームに基づいています。標準搭載のウィジェットのほか、ACCESSのWebサイトからダウンロードしたウィジェットを表示できます。ちなみに、WILLCOM 9の場合は、待受画面に最大4つまでのウィジェットを表示できるプレーヤーソフトが端末に内蔵されています。
また、ソフトバンクモバイルが発表したばかりの新サービス「モバイルウィジェット」は、携帯電話向けのウィジェットサービスです。技術的には「NetFront Browser Widgets」をベースとしています。
現在のところ、2008年秋冬モデルである「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」がモバイルウィジェットに対応しており、地域情報が取得できる「Yahoo!マチモバ」「Yahoo!天気情報」「S!速報ニュース」「Yahoo!地図」「Yahoo!検索ランキング」といったウィジェットが利用できます。
「モバイルウィジェット」では、NetFront Browser Widgetsと同様に、待受画面でmixi日記の作成、新着情報通知が表示できるmixiウィジェットなども標準で搭載される予定になっています。
ソフトバンクでは、2008年秋冬モデル以降、モバイルウィジェット対応機種を拡充するとしています。
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WILLCOM 9の待受画面。ガジェットが表示されている
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ソフトバンクの「931SH」はモバイルウィジェット対応機種
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■ ウィジェットは一般ユーザーでも開発できる
NetFront Browser Widgets(モバイルウィジェット含む)の開発に必要な情報、ツール類は無料で公開されており、Windows搭載のパソコンさえあれば、誰でも開発し、他のユーザーに公開できます。
仕様を示す書類やツール類は、NetFront Browser Widgetsの場合はACCESSから、モバイルウィジェットの場合はソフトバンクモバイルのサイトからダウンロードできます。
ウィジェットの中身は、Webページなどに使われるのと同じHTMLファイル、CSSファイル、JSファイル、JPEGなどの画像ファイルのほか、設定用に使われるconfig.xmlという名称のXMLファイルからなっています。
HTMLでウィジェットがどのような表示をするのが定義して、デザインや装飾情報をCSSファイルで指定します。インターネットを通じてデータ取得などを行うスクリプトをJSファイルに書きます。つまり、いわゆる“ダイナミックHTML”で書かれた、アクティブなWebページと、よく似た構造のデータになっているわけです。
これらをウィジェット専用のパッケージング用ソフトで、WGTというNetFront Browser Widgets(モバイルウィジェット)独自の配布形式で1つのファイルにまとめれば、ウィジェットアプリが完成します。
この辺りの技術、開発手法はNetFront Browser Widgets・モバイルウィジェットでほぼ共通になっています。ただ、モバイルウィジェットにはNetFront Browser Widgetsから拡張されたAPIが存在しています。
NetFront Browser Widgetsの場合、作成したウィジェットは、ACCESSのNetFront Browser Widgetsサイトでユーザー登録を行って、このサイトにアップロードを行います。完成したウィジェットは、審査が通れば、ACCESSのサイトからダウンロードできるようになります。
一方、ソフトバンクのモバイルウィジェットは、審査を経て、専用サイト「ウィジェットストア」からダウンロードできるようになります。
なお、NetFront Browser Widgets・モバイルウィジェットの違いは、それぞれの会社が審査を行う点のほか、モバイルウィジェットでは、公式サイト配布のウィジェットと、それ以外の配布するウィジェットで扱いが違う、という点があります。
ソフトバンクの場合、公式サイトを開いている企業のウィジェットは有料で配信できます。一般開発者の作成したウィジェットは無料版しか配信できません。また、公式サイトの配布するウィジェット用に、モバイルウィジェットでは端末内のデータにアクセスできる仕組みが備えられています。一方、NetFront Browser Widgetsの場合、基本的にデータはインターネットからしか取ってくることはできません。
ちなみにauが2007年秋冬モデルの一部機種から採用した「au one ガジェット」も似たような機能を提供していますが、Operaのガジェット(Operaウィジェット)エンジンをベースにしたものです。また、ドコモが2008年冬春モデルで導入する「iウィジェット」も類似の機能と言えるサービスですが、仕組みを見るとドコモ独自のJavaの仕様(Starプロファイル)となっています。
■ URL
NetFront Browser Widgets
http://www.access.co.jp/nfbwc/jp/
ウィルコムガジェット サービス概要
http://www.willcom-inc.com/ja/service/contents_service/gadget/
モバイルウィジェット開発ガイド(ソフトバンク開発者向けサイト)
http://creation.mb.softbank.jp/widget/
■ 関連記事
・ ACCESS、Web技術を使ったウィジェット開発キットを紹介
・ Webサービスと連携できる「ウィルコム ガジェット」
・ 本格的なウィジェット機能を提供する「モバイルウィジェット」
(大和 哲)
2008/11/11 12:23
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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