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第375回:携帯電話不正利用防止法 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「携帯電話不正利用防止法」は、犯罪など不正に携帯電話が利用されることを防止することを目的とした法律です。正式名称は「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」と言います。

 この法律には、携帯電話事業者やレンタル事業者には、ユーザーが契約する際の本人確認義務があること、携帯電話事業者に無断で携帯電話を譲渡することを禁止することなどが定められています。

 この法律は平成17年に成立した後、平成18年4月に施行されました。同時に携帯電話不正利用防止法の細則も施行されています。同法が制定された背景には、当時、いわゆる「振り込め詐欺」が横行したことなど携帯電話を使った犯罪が多く発生したことがあります。


不正利用を防ぐための法律

 「携帯電話不正利用防止法」では、具体的に本人確認の義務などの内容を定めています。同法における「携帯電話」とは、PHSを含む、音声通話のできる携帯電話を指します。


  1. 携帯電話事業者に、ユーザーの携帯電話などの契約締結時・譲渡時に、契約者の本人確認を義務付ける

  2.  携帯電話を契約する際に、店頭で免許証などの身分証明書の提示を要求されます。

  3. ユーザーが、本人確認の際に「本人を特定できる情報を隠蔽するため」嘘の氏名・住所などを申告した場合は処罰の対象になる

  4.  たとえば、自分が使うことを隠したいために他の人になりすまして契約する、といった行為は法律に反することになるわけです。もし、違反した場合、50万円以下の罰金が課されることもあります。

  5. 事業者に無断、そして“業として”有償で通話可能な携帯電話などを譲渡する場合、処罰の対象となる

  6.  “業として”、つまり、一定の目的をもってこの行為を継続して行なった場合、法に触れることになります。違反した場合、2年以下の懲役か、300万円以下の罰金が課される可能性があり、他の法律や条文に触れる場合は、それも処罰も合わせられることがあります。また、「情を知って業として有償で譲り受けた」場合、つまり事情を承知しながら、繰り返して有償で譲り受けるような行為も処罰の対象となります。

  7. 自身が契約していない、通話可能な携帯電話等を譲り渡し、または譲り受けることを処罰の対象とする

  8.  つまり、もらったり盗んだりするなどの行為で、他人名義の携帯電話を売買することも処罰の対象となります。

  9. 申込者の氏名などを確認せずに、業として有償で携帯電話の貸し出しなどを行なうことも処罰の対象になる

  10.  この「匿名貸し出し営業」については、貸し出した側と借りた側両方に罰則規定があります。貸し出す行為には2年以下の懲役か、300万円以下の罰金、また事情を知りながら貸し出しを受けた利用者は50万円以下の罰金という罰則が規定されています。

  11. 携帯電話が犯罪に利用された場合などは、警察署長からの求めで、事業者は契約者を本人確認できる


  12. 事業者は、ユーザーが本人確認に応じない場合、サービス提供を拒否することができる


改正案の内容

 また、この「携帯電話不正利用防止法」に関しては、施行から1年後に見直しされることになっていましたが、見直し内容を盛り込んだ改正案が平成20年6月に国会で可決されました。

 改正案は、今後6カ月以内に施行されますが、SIMカード譲渡時の身分証明確認や、レンタル事業者での本人確認記録の保存などが必要となることになりました。

 これまでの同法では、音声端末そのものを契約する際に本人確認することとなっていました。しかし、現在の3G携帯電話などではSIMカードを入れ替えることで本人以外の名義で携帯電話を利用できてしまいます。このため、今回の改正によって、SIMカードの契約、譲渡に関しても本人確認が必要となったのです。

 また、携帯電話のレンタル事業者については、これまでも本人確認が必要とされていました。どのように確認するのか、確認したことをどのように記録するのかなどが示されておらず、たとえば確認したことにして記録を残さないというようなことも実際には可能となり、名義隠しの携帯電話を入手する抜け穴となっていました。そこで今回の改正では、運転免許証などによる本人確認など具体的な方法が明記されることになりました。そして本人確認した記録を3年間保存することを義務づけられることとなったのです。



URL
  総務省 携帯電話不正利用防止法について(2006年施行時のもの)
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/050526_1.html

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(大和 哲)
2008/06/17 12:47

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