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第369回:Atom とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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小型で低消費電力が特徴のAtom
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「Atom」は、パソコンのCPUなどを製造する米Intelが、小型デバイスや低消費電力用途向けとして、新たに設計した製品シリーズのブランド名です。
Atomシリーズのマイクロプロセッサは、モバイルインターネットデバイス(MID)や、低価格のインターネット対応パソコンに搭載されることになります。
国内では、ウィルコムからW-OAM対応のW-SIMを装着でき、PHS通信が使える小型のWindows Vista搭載PC「WILLCOM D4」が発表されましたが、この「D4」には、1.3GHzのAtomプロセッサが搭載されています。
■ パソコン用プロセッサとしては超小型、超低電力
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6月中旬発売予定のWILLCOM D4
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Atomの特徴は、これまでパソコンに使われていたx86系CPUと互換性がある一方、小型で消費電力を抑えている点でしょう。
Atomは、x86 CPU互換であり、しかも、性能的にも十分通用する性能を持つとされています。そのため、ノートパソコンやデスクトップパソコンで使われているソフトウェアをそのまま利用できます。
ノートパソコンより小型なモバイル機器の場合、Windows Mobileなどのモバイル機器向けOSを採用することが多いのですが、Atom搭載製品であるWILLCOM D4のOSは、パソコン用と同じ、Windows Vista Home Premiumが採用されています。
Atomプロセッサの大きさは、Hi-k メタル・ゲート採用の45nmプロセス技術によって製造され25平方mm未満というサイズです。小指の爪よりも小さなチップに、4,700万個のトランジスターが集積されています。
Atomそのものが小さいことは、パソコン本体を小型化できます。実際、WILLCOM D4の大きさは約188×84×25.9mmで、小型の観光ガイドブック、あるいは筆箱程度のサイズと言え、重さも専用標準バッテリー装着時で約470gと、一般的なパソコンからすれば、大幅に小さくなっています。
電力という点では、Atomは、これまでのパソコンの常識を覆していると言えます。CPUの消費電力は、どの回路もフル回転している状態という想定される最大の消費電力量「TDP」で表しますが、Atomの場合、最も低いSilverthorne 800MHzで0.6~0.7Wですし、WILLCOM D4に搭載されている1.3GHzで2Wとなっています。
最近のノートパソコンで使われている最新のCPU、モバイルCore 2 DuoのTDPは35Wです。WILLCOM D4のAtomプロセッサの2Wという数値と比べると、Atomはきわめて低電力で働くプロセッサであることがわかるでしょう。
■ AtomとCentrino Atom
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Poulsbo(左)とAtom(右)
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Atomシリーズのプロセッサには、携帯情報機器向けの「Silverthorne(シルバーソーン)」というシリーズ、ローコストパソコン向けの「Diamondville(ダイヤモンドヴィル)」というプロセッサが発表されています。このうち、Diamondvilleはシングルコア製品だけでなく、より高性能なデュアルコア製品も開発される予定になっています。
Atomは、CPU単体では「Atomプロセッサ」と呼ばれていますが、Atomをベースとして、周辺回路もセットになっている「Centrino Atom」(コードネームはMenlow)と呼ばれる技術もあります。
Silverthorneは専用チップセット「Poulsbo(プールスボー)」と組み合わせることで、Centrino Atomプラットフォームになります。Poulsboは、グラフィックスエンジンとビデオデコーダー、PCI Expressを含んでおり、DirectX 9やWi-Fiに対応した小型パソコンを開発できます。チップセットをPoulsboにまとめることで、実装面積の縮小と、消費電力の低減を図ることができるのです。
■ URL
インテル 製品情報
http://www.intel.co.jp/jp/personal/products/mids/
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・ ウィルコム、Vista搭載の小型端末「WILLCOM D4」
(大和 哲)
2008/04/22 12:26
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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