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第351回:ドルビーモバイル とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


SH905iには、ドルビーモバイル関連の設定メニューが用意されている

SH905iには、ドルビーモバイル関連の設定メニューが用意されている
 「ドルビーモバイル」(Dolby Mobile)は、Lake Technologyという企業が開発した技術を基に、米ドルビーラボラトリーズ(Dolby Laboratories)が開発した携帯電話向け音響処理技術です。

 同じくステレオスピーカーやサブウーファーを使った家電向けの音響処理技術として「Audistry by Dolby」が提供されており、シャープ製液晶テレビ「AQUOS」のスピーカー内蔵テレビラックでステレオ音声の音質や聴きやすさの向上、自然な音の広がりと定位感、低域の強化などを実現するサラウンド技術として採用されていますが、ドルビーモバイルは、Audistryの携帯電話版だと思えばいいでしょう。

 携帯端末で、ステレオ音声の音質や聴きやすさの向上を目指して開発された技術であり、端末に搭載されたスピーカー、あるいは接続したヘッドホンで、音楽やワンセグの音声を楽しむときに、音質を高め、臨場感の演出が図られています。

 ちなみに、Audistryは、Lake Technologyを買収・子会社化したDolby Laboratoriesが同社の技術をライセンスするために設立した会社です。

 最近発売されたNTTドコモの「SH905i」と、来年1月~2月に発売される予定の「SH905iTV」には、ドルビーモバイルが採用されており、ワンセグ視聴やミュージックプレーヤー機能などを利用したときに音響効果を得ることができます。

 たとえば、ワンセグ機能を使ってテレビ番組を視聴する時には、「ニュース」「スポーツ」「ドラマ」「バラエティ」「ミュージック」「映画」といった番組のジャンルに合わせて、携帯電話にサウンドの臨場感を高めたり、耳が疲れないように加工してヘッドセットやスピーカから音を出力できます。


ドルビーモバイルを構成する基幹技術とは

 ドルビーモバイルは1つの技術ではなく、Audistryから引き継がれた音響効果を高める5つの基幹技術からなっています。

 「サウンド スペース エクスパンダー」は、ボディサイズが小さい携帯電話では2つのスピーカーの距離があまりとれませんが、音の広がりを実感させる機能です。後述の「サウンド スペース for ヘッドホン」はヘッドホン再生のための技術ですが、こちらはスピーカー再生で音の広がりを強化する技術となります。携帯電話内蔵の専用LSIが、再生音声の左チャネル、右チャネルから入ってくる音声信号から、仮想チャンネルを生成し、仮想的に左・中心・右のオーディオイメージに分けます。そこから左右の音の差異を強調するための方法を計算し、スピーカーから出力することで、ボーカルの明瞭性を落とさずに楽器の分離性を高め、臨場感を高めたワイドなステレオ音場を実現します。

 「サウンドスペース for ヘッドホン」は、ヘッドホン・携帯電話のヘッドセットで再生しながら、目の前にスピーカーがあるかのような広がりのある音にする技術です。

 「ナチュラル ベース」は、低音を強化するための低音波増幅アルゴリズムです。スピーカー再生とヘッドホン再生両方に効果があります。この技術では、音のソースを高音部分と低音部分に分けてデジタル処理し、低音部分をスピーカの特性情報に合わせて増幅加工してから、高音部分と再びミクシング、出力することで、携帯電話のような小さなスピーカーでも音の歪みや部品破損は生じさせないで、スピーカーから深みのある低域再生を行ないます。

 「サウンド・レベルコントローラー」は、音量バランスを自動的に調整する技術です。音をそのまま再生するとある限度を超えた時点でアンプで増加させる率を徐々に減らして音の信号を圧縮したり、ソフト過ぎる音に対しては、強調して聴きやすくしたりする、という役割を果たします。この技術を利用することで、携帯電話の利用者がボリュームを固定したままでも、たとえば人のささやき声のような小さな音から、爆発音まで、あるいはクラシック音楽のような急激に音量が変化するような場合でも、驚きや違和感なしに、携帯電話で聴くことができるのです。

 「モノラル→ステレオクリエイター」はモノラルの音出力信号を分析し、擬似的に広がりのあるステレオ音を作り出す技術です。この技術以外の4つの技術は、ステレオ音声が前提となっていますが、もともとの音声データがモノラルである場合に使われます。ワンセグで放送されているテレビコンテンツでは、今でもモノラル音声の番組が存在しますが、これらを携帯電話でよりよい音で楽しむことが可能になります。

 これら5つの基幹技術のアルゴリズムを元に、DSPをコアにした専用LSIが音をデジタル処理を行うことで、携帯電話でも非常に高い音響効果を得ることを、ドルビーモバイルは、可能にしているのです。



URL
  米ドルビー プレスリリース(英文)
  http://investor.dolby.com/ReleaseDetail.cfm?ReleaseID=272618

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(大和 哲)
2007/12/11 13:12

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