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第325回:DSRC とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「DSRC」は、“専用狭域通信”を意味するDedicated Short Range Communicationの略で、主に、道路の路側に設置される無線基地局(路側機と呼びます)と、自動車内の車載機のために設けられた無線通信規格のことです。

 各国で、カーナビゲーションシステムの高度化や、IT技術による安全運転技術など、がいわゆる「ITS(Intelligent Transport Systems)」用として規格化されており、現在、有料道路の自動料金収受システムなどに利用されています。

 日本でも、現在、ETC(Electric Toll Collection、自動料金収受システム)やビル地下駐車場の入退管理システムなどで利用されています。また、ガソリンスタンド、コンビニエンストアなどでの自動車向けのDSRC応用サービスの展開が検討されています。


日欧米それぞれに規格

 DSRCの通信方式は標準化が進んでいるため、路側機と車載器はお互い別々のメーカーで製造されていても、互いに正常な通信を行なえます。ただし、DSRCは、実用化が進められている日米欧それぞれで、独自の規格化が進んでおり、国際的な標準はありません。

 その名前の通り、ごく短距離のための無線通信規格であり、路側機数メートルから数十メートルという範囲内の自動車と通信できるという点は似ているのですが、通信で使う電波の周波数帯、変調方式などが異なっています。

 日本方式はARIB(電波産業会)が定める、STD-T75、TR-T17、TR-T88という規格が存在しており、日本で使われるETC装置などは、同規格に則って作られています。

 これらの規格のうち、STD-T75は路側機と車載器の間の無線区間インターフェイスについての規定です。物理層の規格は、2002年7月に承認されたITU-R勧告(ITU-R M.1453)にも反映されています。TR-T17は、インターネットなどへ接続する場合や、1つの路側機で複数のサービスを同時に提供する場合の規定で、STD-T75の拡張仕様です。STD-T88はDSRCのシステム上で、複数アプリケーションを実行できるようにする仕組み(論理構造)を定めたASL(Application sub-layer)の規格です。

 STD-75に合わせて、日本国内のDSRC対応機器は、5.8GHz帯(上り5.815~5.845GHz、下り5.775~5.805GHz)の周波数帯で、路側機300mW以下、車載機10mW以下の電波を使いアクティブ方式で通信します。

 変調方式としては、ASKのほかQPSKが利用されており、ビットレートは、ASKが1,024kbps、QPSKが4,096kbpsです。路側機側からは全二重(同時に上り下りの通信を行なう)通信が、車載機は半二重通信が可能となっており、1台の車載機と約3mの距離で1台だけの車と通信したり、約30m以内で複数の車載機と通信したりするなど、サービスによって通信範囲を調整できます。


日本方式のDSRCは5.8GHz帯で通信を行なう。3m以内では1台、あるいは30m程度の範囲で複数台と通信できる
日本方式のDSRCは5.8GHz帯で通信を行なう。3m以内では1台、あるいは30m程度の範囲で複数台と通信できる

 欧州規格は「CEN 12253」と呼ばれ、日本と同じく5.8GHz帯の周波数を使いますが、パッシブ式の通信で、ビットレートは下り500kbps、上り250kbpsの半二重通信となっています。

 米国規格の「ATSM E2213-02」は日本と同じアクティブ方式ですが、周波数帯が5.9GHzを使い、上下3~27Mbpsの半二重通信となっています。



URL
  DSRC普及検討会
  http://www.arib.or.jp/dsrc/

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(大和 哲)
2007/06/05 13:58

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