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第294回:MSFP とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


ソフトバンクのX01HT

ソフトバンクのX01HT
 MSFPは、Windows Mobile 5.0向けの拡張パッケージです。名称は「メッセージングとセキュリティー機能パック」を意味する「Messaging and Security Feature Pack」の略です。

 この拡張パッケージは、メーカーがPDAや携帯電話にOSをインストールする際に利用するものです。つまり、Windows Mobile 5.0を搭載するPDAや携帯電話は、機種によって、MSFP対応版と非対応版があることになります。

 2006年10月16日現在、日本で販売されているWindows Mobile 5.0搭載の携帯電話・PHSでは、ウィルコムのW-ZERO3[es]とW-ZERO3(WS004SH)、NTTドコモのhTc Z、それにソフトバンクのX01HTが、このMSFP対応機種になります。


MSFPで拡張される機能

 MSFPは、その名前のとおり、メッセージング機能とセキュリティ機能の強化を施す、企業ユーザー向けの機能が追加されるパッケージです。

 Windows Mobileと同じマイクロソフトから発売されているサーバー用のOSにWindows Serverがありますが、携帯電話に搭載されるWindows Mobile 5.0のMSFPの機能は、Windows Server 2003のExchage Server 2003 SP2、またはExchange 2007と組みあわせることで利用できます。

 ちなみに、Exchange 2003は、Windows Small Business Server 2003やWindows Server 2003 Enterprise Edition などに添付されているサーバーソフトです。Exchange 2007は現在ベータ版が配布されている、Windows Server用の新しいサーバソフトです。

 具体的には、Exchange ServerとWindows Mobile 5.0 MSFP対応機種を組み合わせると、以下のような機能が利用可能になります。


1.Exchange Serverとの直接同期

 Exchange Serverは、パソコンのOutlookと連携して、メールや予定表、連絡表などを管理できます。MSFPに対応したWindows Mobile搭載の携帯電話とExchange Serverには、「Exchange ActiveSync」という機能があり、携帯電話は電話回線経由でサーバー上のデータと同期できるのです。しかも、この機能は、Direct Push Technologyと呼ばれる技術を利用しており、Exchange上で管理しているデータは自動的に携帯電話に送られ、ほぼリアルタイムに更新されるために、ユーザーが携帯電話にサーバのデータを取るよう操作する必要がありません。

 たとえば、メールでは、携帯電話キャリアのメールサービスと同様の使い勝手で、会社宛のメールを携帯電話で受け取れることになります。また、会議の予定などが追加されると、そのデータも配信され、Windows Mobileデバイスの予定に登録する、というようなことも可能です。

2.グローバルアドレス一覧の参照

 Windows Mobileデバイスから、Exchange Serverのグローバルアドレス一覧(GAL)が参照可能になります。GALとは、会社内などの複数のExchange Serverのメールアドレスなどの情報を一箇所に集約したものです。

 通常、Exchange Serverは1サーバー単位でメールアドレスなどを管理していますが、会社単位で全メールサーバー用にExchange Serverを使っているような場合、GALが利用できると、ユーザーは全ての社員のメールアドレスを参照し、部外の同僚宛にメールを送る、というようなことが可能になるのです。

3.セキュリティポリシーのMobileデバイスへの適用

 管理者が、Windows Mobile 5.0デバイスにセキュリティポリシーを適用することが可能になります。たとえば、各デバイスへのパスワードの強度などの設定が可能になります。


4.リモートからのセキュリティ作業の実行

 3番で示した「セキュリティポリシーの適用」が、リモートから実行できます。また、管理者がリモートでWindows Mobileデバイス中の情報を消去することもできます。

 また誤ったパスワードを一定回数、入力するとメモリのデータを消去するといった設定も可能です。場合によっては、リモートからWindows Mobileデバイスを初期化してしまうことさえ可能です。

 万一、社員が会社至急のWindows Mobile携帯電話を紛失しまったときでも、データの漏洩を防ぐことができるわけです。

5.データ圧縮
 Exchange Server 2003からWindows Mobileデバイスへは、Outlookデータを圧縮してやりとりします。これにより、通信料や通信時間を軽減することが可能となります。


 なお、Direct Push Technologyは、論理的には、HTTPS接続を長時間使用し、デバイスを常に最新の状態に保ちます。したがって、プロキシサーバーなどを経由する場合は、その経路がHTTPSの継続接続といった機能に対応している必要があります。携帯電話の場合には、多くの場合、Web接続に携帯電話事業者の中継サーバーを経由することになりますので、これらが対応している必要があるわけです。

 なお、日本の携帯電話事業者の場合、2006年10月16日現在、ウィルコムとドコモはWindows Mobile携帯電話でのDirect Push Technology対応としています。ソフトバンクは、年内中にこのDirect Push Technologyに対応する予定である、としています。



URL
  Windows Mobile 5.0 製品概要
  http://www.microsoft.com/japan/windowsmobile/enterprise/prodinfo/security.mspx

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(大和 哲)
2006/10/17 12:11

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