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第278回:CAS(Conditional Access System) とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


放送における「CAS」は「限定受信」を意味する

 世の中には、英文字3単語の頭文字を取って通称としている仕組みは数多くあり、同じ3文字で違う意味で重複している場合も多くあります。「CAS」も比較的多くの意味で使われており、その文脈で判断しなければならない単語の1つでしょう。

 放送や通信に関する文で使われる「CAS」は、多くの場合、限定受信方式を意味する「Conditional Access System」として使われています。

 限定受信方式「CAS」は、その名前の通り、許可した特定の受信機でのみコンテンツの再生を許すコンテンツの提供方法のことを言います。

 現在、家庭のテレビや携帯電話で受信できる地上アナログテレビ・ラジオ放送では受信機さえ持っていれば誰でも放送を視聴することができます。CASは、日本国内では、BSデジタル放送やCSデジタル放送などの衛星放送、(ワンセグを除く)地上デジタル放送などで使用されています。これらの限定受信放送を視聴するためには、その放送を視聴するための資格を得る必要があります。

 資格を証明するためのものとして「B-CASカード」「C-CASカード」といったものがあり、視聴者はこれらを挿入した受信機を使わないと、BSデジタル放送やCSデジタル放送、地上デジタル放送を視聴できません。

 携帯電話で視聴できる「ワンセグ」では、現在のところ限定受信は行なわれていないため、ワンセグ対応携帯電話を持っていれば、誰でもワンセグを楽しめます。ただし、ワンセグなどでも使えるようなCAS技術はすでに開発されており、NHK放送技術研究所の一般公開などでは携帯電話を使ったワンセグCASの技術デモなども行なわれています。


限定受信の仕組み

 限定受信、CASの仕組みは、簡単に言うと「暗号化した映像コンテンツを流し、正しいキーを持っている受信機だけが映像コンテンツを復号して視聴できる」というものです。

 たとえば、地上デジタル放送などでは、コピー制御データと、放送データの暗号化、B-CASカードというICカードメディアが使われています。地上デジタル放送では、放送コンテンツをデジタル化し、「コピーは1回のみ可能」というような制御信号を付加した上で、暗号化し、電波に乗せて放送しています。

 受信を許可された受信機には、暗号を解くための鍵が知らされており、この鍵を使って受けた電波の暗号を解除して、放送コンテンツを表示します。

 チューナーにセットされる、「B-CASカード」に暗号鍵が格納されています。放送波に載せて送られるデータは、MULTI2と呼ばれる、ブロックサイズ64ビット、鍵長64ビットのブロック型暗号でデータが暗号化されており、視聴を許されたチューナーは、B-CASカード内の暗号鍵で複号してコンテンツを再生します。ただし、デジタル放送の場合、再生したデータを悪用されないように、チューナーやディスプレイ、録画機器の間など、別の暗号化アルゴリズムを使って暗号化されます。


CAS限定受信の仕組み。放送局からはコンテンツに暗号化がかけられた状態で放送が行なわれる。受信が許可されたチューナーには、CASカードなどの形で暗号を複号するための暗号鍵がB-CASカードなどの形で配布され、これがないと放送を再生することができない

コンテンツ提供者には魅力的な「限定受信」という仕組み

 CASとは、その名前の通り、コンテンツを提供する放送局側が受信機をコントロールできる技術です。これはコンテンツの提供、流通、管理などを行なう事業者にとっては魅力と言えるものでしょう。

 CASを導入することによって、「特定の受信者にはコンテンツを見せ、許可を与えない受信者には見せない」ということが可能になり、それは、同時に「放送事業者がユーザーの視聴状況などの管理データを直接把握できる」ということにもなります。

 また、放送データに暗号化をかけることができるので、「放送した映像データを、放送事業者が意図しない用途に使わせない」ということもできることになります。つまり、厳密に著作権管理を行なえるようになるわけです。

 逆に視聴者にとっては、限定受信はこれまでの地上アナログ放送などでは可能だった、個人用途での複製など、視聴・利用方法が限定されるということにもなります。



URL
  B-CAS
  http://www.b-cas.co.jp/

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(大和 哲)
2006/06/20 11:34

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