■ もう1つのメモリカード規格「TransFlash」
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米サンディスクが今年2月に発表した「TransFlash」
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「TransFlash」は、米サンディスクが提唱する新しいメモリーカードの規格です。かつては「T-Flash」と呼ばれていました。
「TransFlash」は、非常に小さいメモリカードで、その大きさは11×15×1mm(幅×縦×厚)と、大人の人差し指にちょうど乗るくらいのサイズです。日本国内の携帯電話でよく使われているminiSDカードの大きさは、20×21.5×1.4mmですから、幅では半分近く、体積では約4分の1となっており、現在のところ世界最小のメモリカードと言えるでしょう。
規格自体は、世界中の携帯機器メーカーで使われることが想定されていますが、現在のところ、海外のGSM方式の携帯電話などに搭載されてきました。日本では馴染みがありませんが、先日発表されたボーダフォンの新端末「Vodafone 702MO」や「Vodafone 702MOs」において採用されており、主にモトローラ製の携帯電話で特によく使われているメディアです。
■ 内蔵メモリとリムーバブルの中間「セミ・リムーバブル」
サンディスクは、これまでもSDカードやminiSDカードなど、持ち運びが可能(リムーバブル)なメモリカードや、機械の中に組み込んで使う内蔵メモリを作ってきました。「TransFlash」は、ちょうどその中間のメディアとして想定されたメモリカードであり、同社では、「セミ・リムーバブル」と銘打っています。
利用方法は、他のメモリカードと同様です。たとえば、TransFlash対応の米モトローラ製GSM端末「V710」では、電話機本体に備わっているスロットにTransFlashを差し込んで利用するようになっており、カメラで撮影したり、ダウンロードしたりしたマルチメディアデータを保存できます。
サンディスクでは、TransFlashについて「個人で作ったマルチメディアコンテンツ(撮影した画像や動画)を、TransFlashが利用可能な携帯電話同士で持ち運べるようにデザインした」と発表資料の中で説明しています。
miniSDカードなどと同様に見える利用方法ですが、非常に小さなサイズということなどもあって、頻繁に抜き差しするような用途に使われるとは想定されていないようです。そのため、純粋なリムーバブルメディアではなく、「セミ・リムーバブル」と銘打っているのです。
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ボーダフォンの新機種「Vodafone 702MO」
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こちらは「Vodafone 702sMO」。この2機種はTransFlashを利用することになる
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ちなみに「TransFlash」の小さな筐体の裏には、miniSDカードと同じく8個の端子が配される設計になっていますが、カード面積が小さくなったことに従って、端子もこれまでのメモリカードより小さくなっています。
なお、メモリ自体の耐久性は、MTBF(Mean Time Before Failure、故障にいたるまでの平均時間)で100万時間とされており、miniSDカードなどとほぼ同じです。
内部構成を見れば、SDメモリカードやminiSDカードに近く、シリアル転送でデータのやり取りを行ない、チップ内にはメモリを制御するコントローラも含まれています。コントロールチップには、著作権保護機能なども用意されています。
また、NAND型のメモリが使われていますが、初めてMLC(Multi-Level Cell、多値セルという意味)技術が使われたメモリでもあります。このMLC技術は、メモリチップ内の記憶を担当する「セル」1つに、従来1bitしか記憶できなかったものを、多ビットを記憶させられる技術です。これによりカード内にあるメモリチップの容積を減らし、書込速度の高速化に成功しています。
現在、TransFlashは、16MB/32MB/64MB/128MBの製品が存在しますが、いずれもサンディスクと東芝の合弁会社であるフラッシュビジョンにおいて、90ナノメートルプロセス技術で生産されたメモリが使われています。
サンディスクからは、TransFlashをSDカードと同様に扱えるようにするアダプタが提供されており、パソコンにデータを取り込む場合は、アダプタを使うことでSDカードリーダーから読み込めるようになっています。
■ URL
米サンディスク(英文)
http://www.sandisk.com/
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(大和 哲)
2004/09/28 12:39
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