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第164回:改正航空法とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 航空法は、飛行機やヘリコプター、グライダーなどの航行の安全を守り、トラブルを防ぐために作られた法律です。

 確実かつ安全に飛べることを確認するための「耐空証明」が飛行機には必要であることや、航空機を操縦するための免許の種類、免許を保持するために必要な条件、航空路や飛行場の安全施設、機長の権限、違反した場合の罰則などがこの法律で定められています。

 従来から航空各社や、航空会社を束ねている組織「IATA(International Air Transport Association)」は、飛行機搭乗の際に携帯電話の電源を切るように乗客へお願いしていましたが、2004年1月15日から改正された航空法が施行され、地上滞在時を含めて、航空機内では携帯電話やPHS、PDAなどのほかにトランシーバーやヘッドフォンなどを含め、電波を発するものは「常時使用禁止」が法律で定められました。

 最近の携帯電話では「オフラインモード」「セルフモード」というように、電源オンでも電波は発しないように設定できるものもありますが、搭乗前にオフラインに切り替えた場合でも、離着陸時の使用は法律で禁止されます。

 ちなみに、テレビ、ラジオ、ポケットベル、ビデオカメラ、DVDプレーヤー、デジタルカメラなども離着陸時の使用は禁止されます。

 今回の改正では、携帯電話関連以外にも、勝手に扉を操作することやトイレでの喫煙、客室乗務員への嫌がらせ、座席ベルトの未着用、着陸時の椅子の背やテーブルを元に戻さない、手荷物を通路に放置すること、消火器や救命胴衣など備品を勝手に使用することも法律で禁じられることになりました。

 注意されても続ける、あるいは機長からの制止命令を無視するなど、改正航空法に違反した場合は最大で50万円以下の罰金が科せられます。

改正航空法で新たに使用が禁止された機器
■搭乗中は常時使用禁止の機器
作動時に電波を発射する状態にあるもの
携帯電話、PHS、トランシーバー、無線操縦玩具、ヘッドホン、イヤホン、マイク、パソコン、携帯情報端末
■離着陸中は使用禁止の機器
作動時に電波を発射しない状態にあるもの
テレビ、ラジオ、ポケットベル、ビデオカメラ、ビデオプレーヤー、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、カセットプレーヤー、デジタルオーディオ機器、ワードプロセッサー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機、プリンタ、電気かみそり


なぜ機内で携帯電話を使用してはいけないのか

 法律を定めてまで、携帯電話をはじめとする「電波を発する機械」が航空機内で使用禁止となるのは、電波が航空機の機器に影響して運行の安全の妨げになる可能性があるためです。

 航空機には、飛行のために数多くの電子機器が装備されています。たとえば、ボーイング777型機の場合、データバス(データを転送するための配線)が機内中に張り巡らされています。その先には、最大で120個もの機器が接続されており、操縦士の挙動をエンジンにデータとして伝えたり、あるいは翼の先端にある「スラット」が展開しているかどうかをセンサーがキャッチし、データとしてコックピットに伝えたりというように、最大2Mbpsの伝送レートでさまざまなデータをやりとりしているのです。

 このほか電波を扱う機械としては、地上からの電波を受けて、飛行機が現在飛んでいる位置や方向をチェックできるADF(Automatic Direction Finder、自動方向探知機)やDME(Distance Measuring Equipment、距離測定装置)というようなデバイスも搭載されています。

 機械の中にある電気回路では、規則正しく回路上を電気が流れているわけですが、外からの電磁波を受けると、電気の流れが影響を受けてひずんでしまうことがあります。この現象は、電磁波干渉(EMI、Electro Magnetic Interferenceの略)と呼ばれています。

 携帯電話の場合、圏外となっていても端末自身から現在地を基地局に知らせようとして、電波を発します。この電波が干渉を起こし、回路上の信号に誤った情報を流してしまう可能性があります。

 航空機内はボディ自体がアルミニウムでできていることに加えて、さまざまな金属部品があり、電波を発する機械を持ち込むと反射などを繰り返した電波が一部で増幅してしまうことがあり得ます。飛行機の中を流れるデータバスが携帯電話の電波による干渉のために異常な動作をしたり、応答時間が遅くなったりするようなトラブルを避けるため、携帯電話の使用が禁じられているのです。

 ちなみに、航空機のボディは金属でできているため、外部からの電波がほとんど内部には影響しません。従って、空港ターミナルなどでの携帯電話の利用が航空機の運行に影響することはありません。

 航空機の離着陸時には非常にデリケートな飛行状態になるために、多少の誤動作が人命につながる大事故を引き起こすケースもあります。特に離陸後の3分間、着陸前8分間の時間帯は「魔の11分間」とも呼ばれ、航空機事故の多くがこの時間帯に起きていると言われます。

 安全のために、電波を発さない機械に関しても電磁波の漏れによる干渉の可能性も考えて、多くの電子機器の使用を控えるようになっているのです。



URL
  国土交通省 改正航空法の施行について
  http://www.mlit.go.jp/koku/kinaimeiwaku.htm
  定期航空協会 プレスリリース
  http://www.teikokyo.gr.jp/re040115.html
  日本航空 安全情報
  http://www.jal.co.jp/safety/fly/electron.html
  全日空からのお願い
  http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/lounge/
  スカイマークエアライン 機内での電子機器類の使用制限
  http://www.skymark.co.jp/counter/safety_emi.html

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(大和 哲)
2004/01/21 12:50

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