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第149回:着うた とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


着信音を「CD音源そのまま」で

 着うたはCD音源と同じ、歌手の歌声をそのまま着信音にする機能です。最近の携帯電話の着信音では、音楽の演奏を行なう着信メロディや着信ボイスがよく使われていますが、着信メロディと着うたの違いは、着信メロディが「携帯電話が曲を演奏をしている」のに対して、着うたは「演奏をそのまま流せる」という点にあります。

 着うたでは、各着うたサイトから、CD音源からサンプリングした“サビ”の部分など特徴的な部分が15~30秒分くらいのデータとして提供されており、それを携帯電話の着信時に鳴らすことができるのです。


パケット通信料がかかるが、人気は急上昇中

着信メロディが携帯電話内に電子的な楽譜データを持って演奏することで音楽を鳴らすのに対して、着うたではCDなどの音のイメージをそのまま取り込んでおき、再生することで音を鳴らすという違いがある
 着信メロディでは、音楽用のデータとしてはMIDIファイルをはじめとして、それに類したいわば「電子化された音符」が使われます。携帯電話が内蔵している音色や、ダウンロードしてきた音(たとえばコーラス部分など)を楽譜に沿って演奏します。この方法のメリットは楽譜とせいぜい音色データ程度しかデータが必要ないので、データのダウンロードに必要なパケット通信料が少なくて済み、また携帯電話に登録できる曲数が多くなるということになります。

 反面、音色やそのバランスが完全にそのアーティストのCDと同じになるわけではありませんし、似せてつくってもあくまでも「よくできた似せた演奏」にしかならないわけです。それに大きな弱点としては着信メロディでは「歌」を再生できません。ボーカルパートを電話が歌えるわけではないからです。

 それに対して、着うたでは、着信音を出すときに演奏をするのではなく、CD音源の中の音を切り取って携帯電話の中に取っておき、それを「再生」しています。実際にはCD音源の音そのものでなく、携帯電話程度での通信速度・メモリ容量でも再生できるように、たとえばMP3のようなコーデックで圧縮しており、音質も若干変わってはいるのですが、人間の耳で聞く分には、ほぼCDや放送などで聞き知った曲がそのまま携帯電話から流れてくるのです。

 ただし、着うたにも着信メロディにはない弱点があります。それは通信にかかる費用が着信メロディよりもかなり高くついてしまうことです。着うたでは、演奏に必要なデータ量が100KB以上になることが一般的です。着信メロディでは10KB程度が一般的ですから、比べてみれば非常にデータ量が大きくなることがわかるでしょう。比較的パケット通信料が安くなる割引サービスを利用しても、着うた1曲をダウンロードするのに約80円程度のパケット通信料が必要になります。さらに着うたサイトに支払う情報料として、1曲あたり100円程度の支払が必要になることが多いようです。

 それにもかかわらず、このサービスは徐々に人気を集めはじめ、auでは、着メロ・待受画像に続く第3のヒットコンテンツに育ちつつあります。


サービスの好調を受けて曲のジャンルも急拡大中

 「着うた」という名前は登録商標になっており、このタイプのサービスを利用できるのは、現在、auの着うた対応端末だけです。「A5302CA」「A5303H」などCDMA2000 1x対応の携帯電話の多くが着うたに対応しています。

 実際の着うたの使い方ですが、auの着うた対応端末に購入時に標準で登録されているデータを利用するか、EZwebから着うたデータをダウンロードして、着信音に指定して使います。

 着うたを提供しているサイトは、多くが公式メニューの「音・画像をゲット」→「着うた」(2003年9月9日現在)からアクセスできる有料サイトになっています。着うたサイトで、一番手として登場したサイトは、レーベルモバイルの「レコード会社直営♪サウンド」です。同サイトは、エイベックスやソニー・ミュージックエンタテインメントなど国内メジャーレコード会社から出資して作られた会社が運営しているサイトで、これらの会社に加えてキングレコード、コロムビアレコードなど17レーベルのレコード会社に所属するアーティストの楽曲が着うたデータとして配信されています。着うたは、今まで着信メロディを手掛けてこなかったレコード会社が、自らデータ提供を行なっていることも特徴の1つです。

 KDDIによれば「通常の着メロでは楽曲使用料が作曲家にしか払われないが、着うたならレコード会社に使用料が支払われるため、レコード会社が着うたに対して積極的に取り組んでいる」としており、このことがレコード会社進出の理由の1つとして説明されています。

 また、このサービスの好調を受けて、ダウンロードサイトの数も増え、また曲のジャンルも広がりつつあるのも、最近の特徴でしょう。たとえば、洋楽に関してはモバイルレーベルの「絶対!洋楽」のほか、ティー・オー・エスの「Magic▼Sounds」やミュージック・シーオー・ジェーピーの「ここだけ音楽」があり、インディーズに関しては、オムロンの「インディーズ☆スタイル」やフロンティアワークスの「着BEATS」などが提供されています。最近はアニメソング専門の「アニうた革命~Revolution~」(フロンティアワークス)というようなサイトも出てきています。


ユーザーは自作の着うたを制作できない

 ただ、ジャンルも曲数も増えてきたとはいえ、まだ全てのジャンルをカバーしきれているわけではありません。いわゆるJ-POPと呼ばれるジャンルでは、たとえばジャニーズ事務所など、レーベルモバイルがサポートしていないアーティストの楽曲は、ほとんど提供されていません。このほか、マイナーなジャンルの楽曲を出す会社がないというケースも考えられます。また、一般サイトで着うたを提供するサイトも基本的にはありません。

 それでは、ユーザーにとって好みの楽曲がない場合、自分でCDから自分で着うたデータを作ることができるかというと、技術的に可能としても、そのような環境が整えられることはないのではないかと考えられます。

 先に述べているように、着うたはCD音源を使う関係上、レコード会社に使用料が支払われます。そのため、レコード会社が着うたに対して積極的に取り組んでおり、その結果、ますます利用者が増えているという現実があります。基本的には着うたは、自分でデータを作って登録することを想定して作られた機能ではないと考えておくべきでしょう。



URL
  着うた サービス概要(au)
  http://www.au.kddi.com/ezweb/au_dakara/chaku_uta/

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(大和 哲)
2003/09/09 11:14

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