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第122回:SMS とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


文化に影響を与えるほど流行したメッセージサービス

 SMSは携帯電話でごく短い文字メッセージを送信したり受信できたりするサービスで、“Short Message Service”の略です。携帯電話同士で簡単なメッセージをやりとりできる仕組みはいろいろありますが、「SMS」といった場合は、主にGSM向け携帯電話同士でやりとりできるメールや、それに互換のあるメールを指して言います。GSMは、日本国内では使われていませんが、主にヨーロッパやアフリカ、アジア、オセアニアなどの約130以上の国と地域で利用されている携帯電話の方式です。

 GSM上でのSMSは、1回で送ることのできる文字数が最大で160字までと少ないことから、メッセージのやりとりには「SMS用の省略表現」がよく使われています。英語圏では“be”や“ate”のような単語、語尾などが音の似たB(ビー)や8(エイト)で単語で置き換えられて使われています。たとえば、

「I’ll be late.(遅れるよ)」

「IL B L8.」


というようになります。

 この表現がオックスフォード辞書の補遺として掲載されたり、あるいはメールのせいで若者が単語のスペルを覚えない、と嘆く声が新聞に掲載されたりする、というような社会現象も生み出していることからも、SMSというサービスがGSM圏でどれだけ人気のあるサービスであるかが分かるでしょう。


SMSの仕組み、そして特長

2002年11月に発表されたMMS対応のGSM/GPRS端末「Nokia 6800」
 GSM携帯電話でのSMSは、1回のメッセージで最大160文字を携帯電話から携帯電話へ送ることができるセンターメール方式のメッセージサービスで、メッセージはセンターを経由して、送信先の端末に送られます。もし、圏外にいたなどの場合は、J-フォンのJスカイメールの再送機能などと同様に、圏内に入った場合に再度端末に送信されるようになっています。

 その特長は、メッセージがやりとりできる範囲が非常に広いことです。GSMでは、多くの携帯電話事業者が、他のネットワークへSMSを受け渡すゲートウェイを持っていて、他のキャリアの携帯電話へのメッセージも送ったり受けたりすることができるようになっています。そのため、GSMネットワークで利用しているユーザーは、契約しているキャリアが違っていても、メッセージの送受信が可能であり、それが外国の事業者であっても可能なのです。

 SMSは、基本的に携帯電話?携帯電話間でメッセージをやりとりするためのサービスですが、一部のインターネット接続業者の持っているゲートウェイを通じて、キャリアによってはインターネット上のユーザーとのメッセージのやりとりも可能になっています。

 たとえば、あるインターネットプロバイダでは、プロバイダのホームページにSMSの送信フォームがあり、インターネット上からメッセージを携帯電話に送ることもできるようになっています。また、有名なところでは、インスタントメッセージングソフト「ICQ」にもSMSの送受信機能があり、GSM端末とSMSのやりとりができます。

 ただし、GSM携帯電話の場合は、契約によってサービスが利用できない場合もあり、インターネットなどからのメッセージは受け付けないという場合もあります。仕組みとしては可能でも、利用できるかどうかは事業者のポリシーによる部分も大きいようです。

 GSM携帯電話は世界中の国で使われているため、アルファベットやキリル文字、アラビア文字や中国の漢字(簡字体・繁字体)などGSMネットワークを利用しているほとんどの国の文字をメッセージに使うことができます。

 技術的なことを言えば、メールで使われている文字データには世界のほとんどの国で共通に使える文字コード「Unicode」が使われているためで、ゲートウェイや端末さえその国の文字に対応していれば、そのままその国の言葉でメッセージがやりとりできるようになっているのです。このように柔軟な仕様で国際化しやすいつくりになっているのもSMSの仕組み的な特長と言えるでしょう。




 なお、SMSを基本としたメッセージサービスとして、さらにESM(Enhanced Messaging Service)、MMS(Multimedia Messaging Service)という機能拡張が図られたものもあり、それぞれ対応端末で利用することができます。

 EMSはSMSと同様の仕組みで、メッセージ中の文字の大きさや配置を替えたり、メッセージに画像や音、アニメーションなどを入れることができる、というものです。

 MMS(Multimedia Messaging Service)は、EMSに加えてカラー画像、動画を組み込むことができるマルチメディアメッセージサービスです。GSMには、GPRSといって、パケット通信方式で最大115kbpsのデータ通信速度を行う新しい技術があるのですが、このMMSはGPRS以降の高速ネットワークが必要です。

 欧州を中心とした地域では、日本のFOMAなどと同様のW-CDMA方式による第3世代携帯電話のサービス「UMTS」が始まりますが、このUMTS携帯電話でもSMS、EMS、MMSが利用できることになっています。


日本国内でSMSと関係のあるサービスは……

J-フォンの携帯電話レンタルサービス「トラベルフォン」で採用されている米モトローラ製「V66」
 日本では、GSMと関連のあるサービスがあまりなかったためか、SMSに関連するサービスはそれほど多くありません。

 先日、J-フォンが海外でも利用できる3Gサービス「Vodafone Global Standard」を発表しましたが、同サービスでは、SMSがサポートされており、J-フォン同士であれば140バイト(全角70文字相当)までの文字メッセージの送受信が可能です。また、将来は海外事業者ユーザーとの送受信も可能になるとされています。

 また、同じくJ-フォンでのSMS関連サービスとしては、「Global sms」というサービスもあります。これは、J-フォンの携帯電話レンタルサービス「トラベルフォン(Travelfone)」の端末やボーダフォン スペインと契約しているGSM端末との間でSMSをやりとりできるサービスです。利用する場合は、Jスカイメールで宛先に「携帯」を選択し、Global smsの識別番号「1654」+「国番号」+「相手の携帯電話番号」でGSM端末へメッセージを送信することができます。

 また、NTTドコモのFOMAにもショートメッセージサービスと呼ばれるサービスがあります。これはSMSの仕組みを利用したメッセージングサービスで、やはり最大160文字(日本語最大70文字)までのショートメッセージを送受信できます。他の事業者とのやりとりはできませんが、このショートメッセージ機能は、moperaメールで、メールがメールボックスに着信した際、SMSでFOMA端末にリアルタイムに知らせる「メール着信通知機能」などで利用されているようです。


・ GSM WORLD(英文)
  http://www.gsmworld.com/
・ J-フォン
  http://www.j-phone.com/

第15回:GSMとは
J-フォン、海外でも利用できる3Gサービス


(大和 哲)
2003/01/07 12:15

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