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第109回:DLP とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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GPSを利用、ASPに位置情報を提供するサービス
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Posiseek R
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ケータイWatchの記事にも掲載されましたが、今月5日に、初のDLP専用端末「Posiseek R(ポジシーク アール)」が発売されました。
この「DLP」とは、「DoCoMo Location Platform」の略で、NTTドコモによる位置情報などを提供するサービスです(実際のサービス運用は、NTTドコモが三井物産、NECなど5社と共同で設立した「ロケーション・エージェント」という会社が行なっている)。
基本的には、対応端末を持ったユーザーがどこにいるのかといった情報を提供するためのもので、ASP・企業向けに提供されているサービスです。サービスのスタートからまだ日も浅く、また一般向けのものではないので、直接このサービスが利用されているのを目にすることはあまりないかもしれません。
このDLPでは、端末にDoPaやPHSといった通信機能のほかに、GPS衛星を利用して、現在、端末がどの位置にいるのかがわかる測位機能を搭載します。そして、端末が位置情報を発信して、それをもとにドコモ、ロケーション・エージェントがASPや企業に提供する形となっています。
主な機能としては、
・現在位置確認機能 DLP端末を持った本人がその位置や位置に関する情報を得られる ・位置通知機能 端末から他の誰かに、現在の位置を知らせる ・センタ登録機能 センターなどが端末の位置や走行ルートなどを把握する ・位置提供機能 端末の位置を他の人のリクエストなどに応じて提供する
などがあり、位置とそれに関するいろいろな情報を機能を利用することができます。
他社のサービスを通じて利用する機会もいずれは……
先に、このサービスはドコモが企業やASP向けに提供しているものだ、と書きました。
このASPとはアプリケーションサービスプロバイダの略で、簡単にいうと、コンピュータやネットワークなどの仕組みを利用して他の会社や企業にサービスを提供している会社のことです。おおざっぱに言って「サービス提供会社」だと思えばいいでしょうか。
実際にこの仕組みがどのように使われるかを考えて見ましょう。
たとえば宝石を扱う宝石商の人がいたとしましょう。宝石商は毎日宝石を仕入れなければなりません。しかし宝石は貴重品ですし、盗難などに非常に気を使います。そこで、ある警備会社に運搬をお願いするかもしれません。この警備会社は警備というサービスを提供するサービス提供会社です。
さて、警備会社は、警備のプロですから、当然、この宝石の運搬車が盗まれないように工夫をしなければなりません。車がちゃんと計画通りの時間に決めた場所を走っているのかなどの情報を把握しなければなりません。
そこで、端末を持ったユーザーがどこにいるのか、ということがわかるこのDLPというサービスを、警備会社が導入するというわけです。
上の例はDLPの「センタ登録機能」を利用したサービスの一例ですが、ドコモの資料にはDLPの持つ機能に関して、いろいろな応用例が挙げられています。「現在位置確認機能」に関しては、旅行観光向けASPについてのものもあります。修学旅行先などで旅行者がDLP端末を持ち歩けば、DLP端末に現在位置やその場所、さらに史跡であれば由来や特徴などの情報を得ることができるようになるサービスです。
コストが安くなり、手軽に利用できるようになれば、今は企業向けにしか提供されていないこのDLPというサービスも、意外と使い道がありそうです。
位置情報サービスの統一プラットフォームである、ということ
位置情報サービス自体はDLP以外にもいくつかありますが、このDLPの特徴は、位置情報サービスの「統一プラットフォームである」という点です。
DLPでは、サービスを受けるユーザー?ASP業者?ドコモ?DLP端末利用者という風にネットワークはつながっています。
サービスの内容によってセンターやインターネットにつながったパソコン、あるいはDLP端末自体がユーザーとなって、ASPに情報をリクエストします。DLP端末はGPSや携帯電話、PHSの位置情報サービスを利用して測位した現在位置をドコモに通知し、ドコモは企業やASPにこの現在位置を渡します。そして、ASPではその情報をもとにサービスとなるデータを作り出してユーザーに送ります。
DLPでは、DLPコンソシアムによって、測位方式の統合やASPからドコモへのリクエストの出し方、あるいはドコモから企業やASPに提供する位置情報のデータがどのような形になっているかが決められています。
これまでは、位置情報に関しては、共通化した規格がなく、またサービスも広くオープンに提供されているものはありませんでした。そのため、このような位置情報を利用したサービスを創り出すには、位置情報システムを一からつくり、また、サービスごとにそのサービスに必要なプログラムを作ったりしなければならなかったのです。
たとえば、事業者が位置情報を利用したコンテンツを増やそうと思うと、ひとつひとつのサービス提供者とすりあわせをして、その業者のサービスごとに交換データの取り決めの方法を決めたり、プログラムを作るといった手間が必要だったのです。また、サービス提供会社にとっても、位置情報情報システムを一から作らなくてはならない、端末も用意しなければならない、と、事業者とサービス提供会社双方に非常に手間(とお金)がかかり、サービス参入の障壁となっていました。
DLPという仕組みはこのような障壁を取り除いて、ASPや企業にとってより手軽に位置情報を利用したサービスが創り出せるようになることをめざした仕組みなのです。
・ ドコモ、「DLP」対応の位置情報サービス専用端末「Posiseek R」
・ ドコモ、GPSを利用したASP向けの位置情報サービス
(大和 哲)
2002/09/24 15:09
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