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第98回:MPEG-7 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


MPEG-7とは

 MPEGといえば、MPEG-2やMPEG-4のような動画像や音声のデジタル符号化規格、つまり動画や音声をデータにするための規格がよく知られています。「MPEG-7」も「Moving Picture Expert Group(動画の専門団体)」というISO(国際標準化機構)の中のグループによる標準規格ですが、その目的はMPEG-1/2/4とは大きく異なります。

 MPEG-7は、動画の符号化そのものではなく、動画を使った“応用”のための規格で、「マルチメディアコンテンツを有効に検索する」用途のものです。


MPEG-7の特長

 MPEG-7の正式名称には、「Multimedia Content Description Interface(マルチメディアコンテントの記述インターフェース)」という名前が付けられています。簡単に言えば、映像データがどの様なものであるかを説明するためのデータ作成方法についての規格です。

 この規格に則ったデータを作成することで、映像の中の様々な情報に関する記述データを表現することができます。例えば、サッカーの試合映像があったとしましょう。サッカーの試合では、刻一刻といろいろなことが起こります。後半何分にどちらかの選手がゴールにシュートして点が入ったとすると、記録には「後半xx分、xxチーム、xxx選手、ゴール」というように記述することができます。これらの記述には、さらにそれぞれを修飾するような性質を書くこともでき、例えば「xxチームのユニフォームの色は黄色」「xxx選手の背番号は9番」といったようなことを追記できます。

 ここで、例えばこのファイルが「2002年ワールドカップ決勝」のものであることが予めわかっていればそのことはわかりますが、普通にMPEG-4やMPEG-2の動画データとして存在する場合には、それ以上の情報はわかりません。しかし、MPEG-7のメタデータをソフトなどが検索をかけることで、例えばある映像の中から、あるいは複数の映像の中からでも、「黄色いユニフォームの9番の選手がゴールをした瞬間」の動画を検索してくる、というようなことが可能になるわけです。

 ただし、MPEG-7では映像の中からその映像の特長、例えば「黄色い」などの情報を取り出すための“方法”や、このように記述したデータをどうやって“検索”するかといった実際の技術については、標準が決められていません。これらは各企業や団体が開発し、実装することになります。


ケータイとMPEG-7

 FOMAをはじめとする第3世代携帯電話では、データ伝送速度も速くなるため、大量のデータが必要な映像関連の応用がいろいろと考えられています。そのため、携帯電話とこのMPEG-7という規格も決して無縁ではありません。

 商用化の具体的な時期などは未定ですが、NTTドコモと日本IBMでは、2001年9月にMPEG-7使った携帯電話向けの動画配信技術を開発したと発表しています。これは、MPEG-7による動画内のメタデータを元に動画の自動編集を行ない、ユーザーが見たいと思う箇所だけをダイジェストで配信する技術で、3G以降のサービスをターゲットにしているようです。

 例えば、MPEG-7の動画でサッカーの試合映像があり、どのタイミングにシュートが打たれて決まったかなどの“試合の流れ”が記述されていたとします。携帯電話のユーザーは、見たい映像がどのようなものかを「ワールドカップ決勝、後半、最初のゴール」というように指定し、見たい時間を「40秒」に設定したとします。

 そうすると、映像の送信元はユーザーの指定した情報を元に、MPEG-7で記述された映像のダイジェストを自動編集で作成・配信し、ユーザーは携帯電話上で自分の見たい映像を視聴できるようになるわけです。

 また、自動編集時には、「ゴールの場合はシュート前の時間が重要」などといったように、編集ルールを自分の好みに合わせて指定して、動画を配信させるなど、他にも様々なオプションを設定することで、ユーザーが本当に見たい動画だけを提供することもできます。

 携帯電話の特徴は携帯して持ち運べることですので、テレビのようにダラダラつけっぱなしにしておくのではなく、例えば出先の電車の中など、余った時間で見たい部分だけをささっと見たい、というような要求があることでしょうから、MPEG-7はまさにそうした需要を叶えてくれる可能性のある規格のひとつなのです。


ドコモとIBM、MPEG-7使った携帯電話動画配信技術を開発
第23回:MPEG-4とは


(大和 哲)
2002/07/02 12:46

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