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KDDIとドコモ、1台で両社の5Gミリ波を中継できる新型装置を開発 今夏から上野公園で実験へ

 KDDIとNTTドコモは、ひとつの装置で両社の基地局からの電波を中継できる共用中継器を開発した。京セラも協力したもので、5Gミリ波エリアを効率的に拡大する目的。

 今夏には、上野恩賜公園で新型中継器を活用した実証実験が開始される。

2社のミリ波を中継できる

 5G通信で使われるミリ波は、国内では28GHz帯が利用されている。活用が進んでいなかった分、携帯電話用として広く割り当てられており、高速大容量な通信を実現できる。

 その一方で、これまで携帯電話のサービスエリアを構築する際に用いられてきた800MHz帯や2GHz帯、3.5GHz帯よりも、ミリ波は“高い周波数帯”となる。低い周波数帯であれば、建物の陰に回り込んだり、外から室内にも届きやすかったりするが、高い周波数はまっすぐ進み、1つの基地局から届く範囲が狭くなる。

 つまり、ミリ波で「面」を作るには、低い周波数帯よりも、多くの基地局が必要となる。そこで、KDDIでは中継機を用いて、自律的・連続的にエリアを構築できる無線中経技術を開発。その京セラ製中継機が、今回ドコモ向けの周波数に対応した。

 装置のサイズは変わりなく、これまで個別に実装が必要だったフィルターや増幅回路が共用化され、両社の信号を同時に中継できるよう機能が拡張された。

 各社の基地局から届く信号の向きや強さの違いによる通信品質のばらつきを抑えるため、事業者ごとの信号を検出し、最適なアンテナ面を選択する機能も導入されている。

 共用になることで、各社が個別に中継機を用意するよりも、施工費や設置スペースが削減される。

自律的なエリア形成とルートの最適化

 開発された中継器は、各アンテナが基地局からの電波を受信する「ドナー面」と、端末へ電波を届ける「サービス面」の両方の機能を備える。

 受信状況に応じて、ドナー面とサービス面を切り替えることで、中継器同士が網目のようにつながるメッシュ状のエリアが自律的に構築される。

 アンテナの役割や送受信方向の調整が不要となるため、設置場所の自由度が高まり、工事設計も簡略化される。

 複数の方向から受信するミリ波のうち、最も無線品質が良い中継ルートが自律的に選択される。建物建設や樹木の繁茂といった環境変化によってルートが遮蔽された場合でも、最適な中継ルートが計算され、瞬時に切り替えが行われる。

品質の良いルートを自律的に選ぶ

小型軽量な筐体と今夏の実証実験

 筐体は縦216mm、横216mm、高さ246mmで、重さは4.9kg。一般的なミリ波用基地局と比較して大きさと重さが約7割削減されているという。

 小型な装置とあって設置しやすい側面があり、景観や環境への負荷を低減しながら街路灯などへの設置が可能となる。

 今夏から開始される上野恩賜公園での実証実験では、新型中継器を設置して両社のミリ波エリアが拡大される。実験では、通信速度やカバレッジなどのエリア拡大効果のほか、環境変化に応じた自律的なエリア形成や中継ルートの最適化、設備コスト削減といった運用面の有効性が検証される。