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KDDIとJR東、山手線の車両内を5G ミリ波エリア化する実証に成功

 KDDIとJR東日本は、山手線の車両内で5G ミリ波エリアを拡大する実証に成功したと発表した。ミリ波対応ガラスアンテナで受信した5G ミリ波を増幅した上で車内に再放射するもので、車両全体の約97%のエリアで通信速度1Gbpsを達成できた。

 5G ミリ波は28GHz帯の広い周波数幅を活用しており、超高速、超大容量の通信ができる一方、これまでの電波より直進性が強く、遮蔽物の影響を受けやすい特性がある。

 KDDIは、これまでにもこの直進性の壁を越えるべく、無線中継器を活用しビル街など遮蔽物が多い屋外を中心にミリ波エリアを拡大してきた。また、JR東日本とは、高輪ゲートウェイ駅周辺(2025年10月)や東京駅新幹線ホーム上(2026年3月)にミリ波エリアを拡大してきた。

 一方で、鉄道車両では、車体の金属がミリ波の遮蔽物になるため、既設の基地局や中継器ではこれまで改善が難しかった。

 今回の実証では、JR東日本の東京総合車両センターに留置中の山手線車両を使って行われた。車両の窓ガラスにガラスアンテナを設置し、受信した電波をアンプで増幅、誘電体導波路を用いて伝送し、漏洩アンテナとロッドアンテナで電波を発射する流れで、ミリ波の電波を車内に再放射する構成で進めた。

使用した機器の特徴
機器特徴
ガラスアンテナ主に屋内側ガラス面に直接後付けで設置でき、透明性にも優れているため、景観や内装デザインを損なわない。これらの特長により、設置場所の制約が少なく、本構成の設置性の自由度を飛躍的に高める。
アンプミリ波の電波を低雑音かつ高出力で、高利得で増幅できる。
誘電体導波路誘電正接の低い誘電体材料で構成された導波構造。ミリ波帯の電磁波を低損失(0.5dB/m)で伝送できる。従来の同軸ケーブルと比較して1mあたりの損失を約83%低減する。
漏洩アンテナ誘電体導波路の任意の位置に設置され、導波路内を伝搬するミリ波電力の一部を空間へ放射するアンテナ。
ロッドアンテナ誘電体導波路の先端に削り加工を施して形成されるアンテナ。導波路内を伝搬したミリ波電力を効率よく空間へ放射し、広いミリ波エリアを形成する。

 結果、遮蔽の影響を最小限に抑えられ、通信エリアを効率的に拡大できることが確認された。通信速度1Gbpsを達成できるエリアは、車両全体の約40%→97%に改善し、車両内のほぼ全域に拡大した。

 これらの知見をもとに、今後もあらゆる屋内環境へミリ波の活用を広げ、さらなる通信品質とユーザー利便性の向上を目指すとしている。